スーパーコン95 (SuperCon '95)

第1回スーパーコンピュータコンテスト概要説明
「優勝は六甲高校,チーム manmaru!」

審査委員長のこの発表を聞いた瞬間, チーム manmaru の池辺 貞郎君,梅津 高朗君(六甲高等学校)は, 思わずガッツポーズをとった. 栄えある第1回スーパーコンピュータコンテストの優勝チームとなり, 副賞のサンディエゴ行きの権利を獲得したのである.

この第1回スーパーコンピュータコンテスト(略称,スーパコン95)とは何か, 彼らはどのように戦ったか, こうした点について簡単にご紹介しよう.

1.スーパコン95を始めたきっかけ

最近, 高校生の理数系離れがいろいろと心配されているが, それにはやはり 理数系の魅力というのを伝えなくてはならない. 幸いコンピュータに関しては 世の中にコンピュータ大好き少年が結構いるようだが, 単なるパソコン少年にとどまらず, コンピュータに関するもっと幅広い世界に関心を持ってもらいたい. たとえば, スーパーコンピュータの世界も体験してもらいたい. また, 彼らにとっても スーパーコンピュータは未知で魅力的な世界に違いない.

ということで, 「高校生の諸君に, 東工大のスーパーコンピュータ,クレイ社の C916 を使って, ある課題に対するプログラムを作ってもらい, その速さ(計算速度)を競ってもらう」 コンテスト --- スーパコン95 --- を企画したのである (参加資格などコンテストの詳細については, 募集要項を参照).

2.スーパコン95実施方法と日程

なるべく多くの高校生にスーパーコンピュータをさわってもらいたい. しかし 使える端末の数など限りがある. そこで予選選抜方式を採用し, 次のように実施した.

7 月 31 日:
参加申込み〆切.高校生3人一組でチームを作り応募.
8 月 4 日:
予選課題ならびに本選課題(予告)の配布
8 月 11 日:
予選課題解答プログラムの〆切
8 月 15 日:
予選通過者決定,予選通過者への通知
8 月 18 日:
(午前)予選通過者に対する講習会
(午後)スーパーコンピュータ使用開始
8 月 24 日:
(正午)本選課題プログラム提出〆切
(午後)本選審査
8 月 25 日:審査結果発表

なお, 8 月 18 日〜 24 日までは, 東工大に来て, スーパーコンピュータを使用してプログラムを開発することができ, また, 東工大生やクレイ社の技術スタッフに協力して頂き, 技術的な相談にものってもらえるようにした.

3.予選課題と予選通過チーム

予選課題 は「2 の自然対数を 3000 桁まで求めよ」というもの. 応募してきた 65 チームのうち, 37 チームから解答プログラムが寄せられた.

審査は, (1) 結果の正確さ, (2) 計算速度の速さ, (3) 解説の明確さ(わかりやすさ), (4) アイデアのおもしろさ, などを総合的にみて評価し (予選結果解説), 最終的に 11 組を予選通過チームに選んだ (予選結果).

4.本選課題と本選上位3チーム

本選課題 は「石選び問題」というパズルのような問題. とはいっても計算機科学や情報セキュリティに深い関わりがある問題だ (本選課題解説).

各チームには, 「石選び問題」を解くプログラムを作成してもらい, それに審査問題 30 題を与え, どれだけ速く解けるか, あるいは 10 分の制限時間以内にどれだけ解けるかを競った.

結果は, 審査委員会の予想をはるかに上回り, 上位 2 チームは, 何と数秒で満点解答. 3 位のチームも 10 分の制限時間内に 28 問を解く健闘ぶり. 特に 1 位のチーム manmaru(六甲高校)は, クレイ C916 の性能をフルに活かした傑作プログラムを作ってくれた. 以下が上位 4 チームの成績である (詳しくは本選結果参照).

1位:チーム manmaru(池辺 貞郎,梅津 高朗@六甲高校)
正解 30 問(満点),所要時間 4.73 sec
2位:チーム duckbill(木内 哲平,山本 修司,洞口 輝和@桐朋高校)
正解 30 問(満点),所要時間 6.94 sec
3位:チーム depend(川口 歩,山本 悟,真中 康幸@東工大附属工業高校)
正解 28 問,所要時間 10 分時間切れ
4位:チーム kawagoe (戸塚 崇夫,小塚 宣秀,片桐 貴志:川越高校)
正解 25 問,所要時間 10 分時間切れ

なお,3位までは入賞, 4位には審査委員会特別賞が贈られた.