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開催報告: Gaussian ワークショップ 2012

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Gaussianワークショップ2012  開催報告

写真1: 講義の様子

 平成24年2月20~24日の5日間に渡り、南4号館3階実習室において、Gaussian ワークショップ2012を東京工業大学 学術国際情報センター 計算化学研究会とGaussian社の共催、および富士通株式会社の協賛で開催した。海外からの15名を含む115名の参加者があり、これまでのGaussianワークショップの中でも最大級の盛大なワークショップとなった。

 Gaussian 09は、スパコンTSUBAME2.0にもインストールされ、非常に多くのユーザにご利用いただいている量子化学計算プログラムであり、ノーベル賞を受賞したJ.A.Pople博士(注1)らによって開発され、現在も全世界で圧倒的シェアを誇っている。元々は計算化学の分野で利用されていたが、PCの高速化により計算化学が身近になったことや、量子化学の理論とプログラムの改良によって実験値を高精度で再現可能となったことにより、現在では多くの実験家も日常的に利用するようになっている。

 Gaussian ワークショップは年1回のペースにて世界各地で開催されており、今回、東アジア・オセアニア地域における開催地に東工大が選ばれた理由として、世界トップレベルのスパコンTSUBAME2.0の存在、大人数による演習が可能な整ったPC端末利用環境、東工大の所属者以外も利用可能なGaussianライセンスの保持、そして海外からの参加者のためのアクセスの良さなどが挙げられる。

写真2: Gauss Viewを用いた演習風景

 ワークショップのスケジュールは、午前9時~午後3時に講義、その後6時まで演習があり、参加者多数のために第一、第二演習室を繋いで行われた。講義は英語で行われ、分子軌道法の基礎的な理論から応用研究に利用可能な新機能までの幅広い内容について、Gaussianを開発している4名の教授陣による丁寧な説明があった。参加者からは理論的な質問のみならず、実際の計算において直面している具体的な質問も数多く出され、プログラムの利用方法を踏まえた詳細な回答がなされた。演習では、全ての参加者がPC端末のGaussian 09とGauss Viewを用いて、実践的な計算方法を学んだ。

写真3: 中辻先生(左)と諸熊先生(右)の特別セミナー

 ワークショップの3日目と4日目には、Gaussian 09の開発者でもある中辻博先生(京都大学名誉教授、量子化学研究協会 研究所長)、諸熊奎治先生(エモリー大学名誉教授、京都大学福井謙一記念研究センターリサーチリーダー)の両先生による特別セミナーもあり、最先端の研究成果をご講演いただいた。

 また今回は新たな試みとして、参加者によるポスターセッションも企画された。ポスターセッションでは参加者が実際に扱っている研究対象において、Gaussianを利用してどのような成果を上げているかを、講師の先生方や他の参加者と議論した。ワークショップで取り上げるのは一般的な内容となるが、ポスターセッションを行うことで参加者が直面している個々の問題を詳細に議論することができ、より理解を深めることに繋がる良い取組みと好評だった。

 4日目の夕方にはTokyo Tech Front 蔵前会館のロイアルブルーホールにて懇親会(協賛の富士通株式会社のご厚意で無償)が行われ、講師の先生方や多くの参加者の間で、量子化学の話を超えた様々な話題で盛り上がった。
また本ワークショップは大学院理工学研究科の講義「量子化学シミュレーション2」を兼ねており、ワークショップの翌週2/27(月)には「電子構造論による化学の探究」の著者でもあるペンシルバニアYorkカレッジのJames Foresman教授による講義もあり、多くの大学院生が量子化学の基礎理論とGaussianを用いた実際の量子化学計算を学んだ。

 ワークショップ初日の受付時の混乱時には、1週間が非常に長く感じたが、実践的な講義や演習の内容に加え、参加者の反応に対応して質問を受け付ける回数を増やすことで質問し易い雰囲気を作るなど、これから計算化学を始めたい実験化学者から量子化学を専門とする研究者までの多くの参加者にとって非常に密度が濃くて学ぶべき所の多い充実した1週間となった。

写真4: Gaussianワークショップ参加者 集合写真

注1 J.A.Pople博士: 実験データに基づく経験的パラメータを一切用いない非経験的分子軌道法の普及の功績により1998年にノーベル賞を受賞。

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