平成27年度、平成26年度、平成25年度、平成24年度、平成23年度、平成22年度、平成21年度、平成20年度、平成19年度
課題種別 | 応募数 | 審査数 | 採択数 |
---|---|---|---|
戦略分野利用推進課題種別 「計算化学手法による創薬技術の開発」 |
0 | 0 | 0 |
戦略分野利用推進課題種別 「大規模流体-構造連成解析技術の開発」 |
1 | 1 | 1 |
戦略分野利用推進課題種別 「シミュレーションによるナノ材料・加工・デバイス開発」 |
8(4) | 8(4) | 8(4) |
戦略分野利用推進課題種別 「社会基盤のリスク管理シミュレーションへのHPC応用技術の開発」 |
0 | 0 | 0 |
戦略分野利用推進課題種別 「アクセラレータ利用技術の推進」 |
4(3) | 4(3) | 4(3) |
新規利用拡大 | 5 | 5 | 5 |
商用アプリバンドル型トライアルユース | 10 | 10 | 10 |
合計 | 28(7) | 28(7) | 28(7) |
番号 | 申請課題名 | 会社名 | 課題種別 | 状況 |
---|---|---|---|---|
1 | 超大規模行動データを用いた広告出稿最適シミュレーション高速化実験 | 株式会社電通国際情報サービス | 新規利用拡大 | |
2 | 減衰を考慮した高周波数領域までの音響構造連成シミュレーション大規模化技術の検討 | フォスター電機株式会社 | 新規利用拡大 | |
3 | 密度汎関数法体系における実空間直接数値解析の大規模高速化 | 東芝原子力エンジニアリングサービス株式会社 | 新規利用拡大 | |
4 | 企業研究におけるHPC活用の促進 | 旭硝子株式会社 | 新規利用拡大 | 終了 |
5 | 格子ボルツマン法による航空機離着陸形態の空力特性予測と空力騒音予測法の改良に関する研究 | エクサ・ジャパン株式会社 | 戦略分野「大規模流体―構造連成解析技術の開発 | |
6 | リチウムイオン二次電池正極材料の第一原理計算 | 古河電気工業株式会社 | 戦略分野「シミュレーションによるナノ材料・加工・デバイス開発」 | |
7 | 無機材料開発への第一原理計算の活用 | 株式会社ニコン コアテクノロジーセンター | 戦略分野「シミュレーションによるナノ材料・加工・デバイス開発」 | |
8 | GPUクラスタを利用した電子写真システム設計における電磁場計算の高速化 | 株式会社 リコー | 戦略分野「アクセラレータ利用技術の推進」 | |
9 | 大規模施設内における無線通信システム用アンテナに関する基礎検討 | 株式会社パナソニックシステムネットワークス開発研究所 | 商用アプリバンドル型トライアルユース | |
10 | 三次元電磁界シミュレータを用いた静電気放電イミュニティ試験に於けるPCB/Package/Chipのイミュニティ解析 | ルネサスエレクトロニクス株式会社 | 商用アプリバンドル型トライアルユース | |
11 | 大規模シミュレーションによるレーダの車両搭載時の特性把握 | 古河電気工業株式会社 | 商用アプリバンドル型トライアルユース | |
12 | 大規模・大領域TCADへのHPC応用技術の開発 | 株式会社半導体 理工学研究センター |
戦略分野「シミュレーションによるナノ材料・加工・デバイス開発」 | |
13 | 大規模アレイアンテナの電磁界解析へのGPUクラスター応用 | NEC東芝スペース システム株式会社 |
商用アプリバンドル型トライアルユース | |
14 | 塗布・乾燥プロセスの流体・粒子連成シミュレーション | MPM数値解析 センター株式会社 |
商用アプリバンドル型トライアルユース | |
15 | 波力発電システムシミュレータのTSUBAMEへの移植と高速化 | 株式会社CAE ソリューションズ |
新規利用拡大(1回目) | 終了 |
16 | 数値振動台開発を目的とした大規模FEM 解析のフィージビリティスタディ | 清水建設株式会社 技術研究所 総合解析技術センター | 商用アプリバンドル型トライアルユース | |
17 | 広域都市環境の大規模計算による検討 | 清水建設株式会社 技術研究所 | 商用アプリバンドル型トライアルユース | |
18 | 産業用ゴムベルトの有限要素法による構造解析 | 三ツ星ベルト株式会社 | 商用アプリバンドル型トライアルユース | |
19 | 熱応答シミュレーションにおける計算規模拡大の効果検証 | ローム株式会社 | 商用アプリバンドル型トライアルユース | |
20 | 脆性破壊の予測を目的とした構造解析 | 海上技術安全研究所 | 商用アプリバンドル型トライアルユース | |
21 | フィラー充填ゴムの多目的設計探査 | 横浜ゴム株式会社 | 戦略分野「シミュレーションによるナノ材料・加工・デバイス開発」 |
番号 | 申請課題名 | 会社名 | 課題種別 | 採択年度 | 状況 |
---|---|---|---|---|---|
1 | メソ構造を持つ高分子材料のマルチスケール・シミュレーション | 日本ゼオン株式会社総合開発センター | 戦略分野「アクセラレータ利用技術の推進」 | H23 | |
2 | 衛生陶器設計のための並列GPGPU気液二相流シミュレーション | TOTO株式会社 技術開発センター | 戦略分野「アクセラレータ利用技術の推進」 | H23 | |
3 | 大規模三次元電磁界シミュレーションのトンネルモデルへの適用 | 株式会社構造計画研究所 社会インフラシステム部 | 戦略分野「アクセラレータ利用技術の推進」 | H23 | |
4 | 量子化学計算を活用した企業研究の効率化 | 出光興産株式会社先進技術研究所 | 戦略分野「シミュレーションによるナノ材料・加工・デバイス開発」 | H23 | |
5 | 密度汎関数法を用いたエンジニアリングプラスティックの熱劣化反応解析 | 日立化成株式会社 | 戦略分野「シミュレーションによるナノ材料・加工・デバイス開発」 | H24 | |
6 | 企業の材料開発における計算化学の活用促進 | 株式会社豊田自動織機 | 戦略分野「シミュレーションによるナノ材料・加工・デバイス開発」 | H24 | |
7 | 3次元ナノアーキテクチャの各種光デバイスへの応用の為の光学的解析 | サイバネットシステム株式会社 | 戦略分野「シミュレーションによるナノ材料・加工・デバイス開発」 | H24 |
申請課題名 | 超大規模行動データを用いた広告出稿最適シミュレーション高速化実験 |
利用課題概要 |
現在、消費者の行動はミクロ化され、その広告媒体として利用できる媒体もマスメディア中心であった時代から、ソーシャルメディアに代表される新しい媒体が次々に出現してきている。マスメディアとソーシャルメディアを効率的に組み合わせて、時代に適した企業の広告コミュニケーションプランの作成が要望されている。上記課題は、消費者のメディア行動や嗜好調査、商品のターゲット制約条件、提供可能な広告媒体を組合せマッチングシミュレーションさせるものであり、超巨大な組み合わせ最適化問題に帰結される。この処理を通常コンピュータの直列処理で行った場合、計算に「日単位」の時間を要するのが現状であり、現実的なキャンペーン立案が不可能な状況である。今後消費者行動もライフログ化される状況において本シミュレーションはますます巨大化困難化して行くものと推測される。今回の課題はTSUBAME2.0を用いて、現在の直列処理を並列処理に改修して高速化を図り、「日単位」の計算時間を「分単位」のシミュレーションとして実現できるかどうかを検証し、今後の新しいメディアモデルを構築して行こうというものである。 |
申請課題名 | 減衰を考慮した高周波数領域までの音響構造連成シミュレーション大規模化技術の検討 |
利用課題概要 |
小型の音響機器では、音響伝達経路の断面形状の影響や、発泡多孔質材などの減衰材での空気粘性による減衰効果の、音響特性に与える影響が他の音響問題と比べて相対的に大きい.しかし、一般的な音響解析手法は空気の粘性による影響が少ないものとして、この影響を無視して行われることが多い。従って、この手法を小型の音響機器に適用すると実験とは大きく異なった解析結果となってしまう。さらに、解析対象とする周波数の範囲を、人の可聴周波数帯域とされている20Hz~20kHzとした場合、特に高い周波数で振動を表現するには波長に依存した非常に小さな要素サイズが必要となる。そこで、可聴帯域全般での高精度のFEM音響解析を可能にするため,空気の粘性を考慮したうえで、構造振動と連成させるために変位を未知数として定式化し、かつ要素サイズを小さく設定する。しかし、それらの結果、要素数が膨大となり、計算規模が大幅に増加してしまう問題が生じ実用的な解析は困難であった。本件は空気粘性を考慮した可聴域高周波数帯域までの構造音響連成シミュレーション実用化のための大規模解析手法を検討する。 |
申請課題名 | 密度汎関数法体系における実空間直接数値解析の大規模高速化 |
利用課題概要 |
物質・材料中の多電子系を記述する量子力学の密度汎関数法は、複雑な波動関数となる多電子系の全エネルギーハミルトニアンを電子密度の汎関数で表現する。密度汎関数法はホーヘンバーク・コーンの定理により、最適電子密度を用いると基底状態を正確に記述する。密度汎関数法を用いた具体的解析法として、周期性を考慮しない場合は原子軌道関数を基底関数とする分子軌道法等があり、周期系についてはブロッホ関数を対象とするバンド計算法等がある。密度汎関数法を用いた電子状態解析法は原子、分子、固体やさらに広範囲の実用材料に適用され、有効性は広く受入れられている。現在の電子状態解析法を越える方法も模索中で、著者を含め、量子波動方程式の時空直接数値解法を開発した。この方法は時空の格子点上で量子波動方程式の解を直接数値解析で求めるもので、格子点数を増やすことにより波動方程式の正確な解に収束させる。このため、密度汎関数法と実空間直接数値解析とを組合せてスーパーコンピューターで解析することにより、極限として厳密解となる数値厳密化が可能になる。本利用課題は、スーパーコンピューターを用いて、今後発展が期待される密度汎関数法体系における実空間直接数値解析の大規模高速化を目指す。また、エネルギー分野の高速水素貯蔵や核融合第一壁のトリチウム透過防止に直接関連する水素解離・再結合過程やミューオン触媒核融合、室温核融合、放射性物質の元素変換による消滅処理の可能性解析等、量子ミクロ現象の中から密度汎関数法体系の実空間直接数値解析法による解析可能性を調べ、数値厳密解に関する新たな知見を得る。 |
申請課題名 | 格子ボルツマン法による航空機離着陸形態の空力特性予測と空力騒音予測法の改良に関する研究 |
利用課題概要 |
航空機の環境問題の一つに、高揚力装置を展開した離着陸形態での空力性能の向上と低騒音化があり、設計技術向上のためのより精度を高めた空力解析と騒音予測のニーズが最近の航空機開発では高まってきている。一方、その必要性に反して、現状では、時間のかかる規模の大きな実験と超大規模なシミュレーションを併用することで、この課題に対する解決法を模索しており、現在のシミュレーションによる予測手法は精度や現象把握の観点からも能力が不十分というのが実情である。本課題は、この問題を解決すべく、精度の向上に加えて、中規模程度の計算機リソース且つ短時間での結果取得が可能なシミュレーション手法を確立する事を目的としている。シミュレーション手法には格子ボルツマン法を用い、境界層計算のモデル化、乱流モデルの検討などによって高揚力装置を展開した離着陸時の更なる空力特性及び空力騒音特性を従来よりも高精度で予測することを目的とする。 |
申請課題名 | リチウムイオン二次電池正極材料の第一原理計算 |
利用課題概要 |
リチウムイオン二次電池正極材料の第一原理計算を行う。正極材料の安定結晶構造と電子状態密度、および凝集エネルギーをシミュレーションにより検討する。また、リチウムイオン脱挿入による充放電での結晶構造の変化と安定状態を計算し、系の持つ平均電位計算を行う。また大規模な系の取り扱いを行うことにより、より実際の系に近い計算を行い、実験値との比較を行う。 |
申請課題名 | 無機材料開発への第一原理計算の活用 |
利用課題概要 |
企業における研究・開発で重要な無機材料に注目し、理論計算に基づく材料開発プロセスを確立することを目的とする。近年、第一原理計算(量子力学計算)により、実験結果を用いることなく格子定数・エネルギーバンド構造を計算することが可能になっている。しかし、実用として重要な無機材料の高精度計算において、数十から数百原子程度を含む比較的大規模な系の計算が必要となることも多い。これらの計算にとって、並列計算を有効に利用することは重要な課題である。本トライアルユースでは、TSUBAMEを比較的大規模な結晶系の高精度バンド構造計算に適用し、第一原理計算の有用性とスーパーコンピューターの適用性について検証する。 |
申請課題名 | GPUクラスタを利用した電子写真システム設計における電磁場計算の高速化 |
利用課題概要 |
複写機やレーザープリンタ等、電子写真方式による画像形成システム(以下、電子写真システムと記す)の設計において、電磁場に関わるコンピュータシミュレーションの活用が進みつつある。本利用課題では、電子写真システムの設計プロセスで利用する電磁場計算の速度を、GPUクラスタを用いることで、飛躍的に向上させることを目的とする。電磁場計算の速度向上は、設計計算におけるパラメトリックスタディーをより短時間で実行できるといった効果のほか、計算領域の拡大やより高い分解能での計算など、これまで実施できなかった大規模計算を可能とし、より高精度なシミュレーション結果を電子写真システムの設計に提供する。また、大規模かつ高速・高精度な電磁場シミュレーションが、電子写真システム設計プロセス革新の端緒となることも期待される。 |
申請課題名 | 大規模施設内における無線通信システム用アンテナに関する基礎検討 |
利用課題概要 |
近年、様々な無線通信システムが登場し、多くの研究開発が行われている.これらの無線通信システムには、それぞれのシステムに適したアンテナが必要となる.また、住宅や工場、商業施設等に設置されるアンテナは複数であることが多く、各々の性能や周辺環境による影響を考慮し、設置する場所を決定しなければならない.しかしながら、実際に設置されたアンテナの特性を、建築物を含めて評価するための手段は皆無であることから、大規模な空間を広帯域な周波数範囲において電磁界的に解析する電磁界解析技術の開発に期待が高まっている. |
申請課題名 | 三次元電磁界シミュレータを用いた静電気放電イミュニティ試験に於けるPCB/Package/Chipのイミュニティ解析 |
利用課題概要 |
半導体デバイスの低電圧化、高速化に伴い、静電気が原因の誤動作が発生しやすくなってきている。静電気放電(ESD)による破壊や誤動作を防止するため、静電気放電イミュニティ試験が規格化され、製品に適用されている。加えて、低コストで静電気放電イミュニティ耐性を高めることは、メーカにとって重要な課題である。 |
申請課題名 | 大規模シミュレーションによるレーダの車両搭載時の特性把握 |
利用課題概要 |
予防安全用の車載レーダの設計要件は、絶対的な信頼性の実現であり、膨大な試作や試験により、その信頼は担保されるところである。具体的にレーダ特性はその搭載環境において影響を大きく受ける部分に関して注意深い検証が必要である。その信頼性への取組みは不変であるが、電磁界シミュレーションを用いた検証は、試作による網羅的な試験を軽減させる可能性を持っており、期待は大きい。但し、その期待を実現するには、車体の電磁波に寄与する領域を、FDTD法であれば最低でも適用波長/10 で解析する必要があることから、数10 億メッシュオーダでの大規模解析が必要となる。当社ではその実現性は未検証であり本トライアルユースにて、当該問題の大規模解析の実現性の検証を行うこととする。実現性の検証が良好の際には、解析結果と実験値との整合性の確認により実用性の検証を行う。 |
申請課題名 | 大規模・大領域TCADへのHPC応用技術の開発 |
利用課題概要 |
本課題の対象とするIGBT(絶縁ゲート型バイポーラ・トランジスタ)はインバータ回路を構成する半導体素子である。本来IGBT は高い耐圧性能を有するが、ハイブリット車等の高性能化により、より高耐圧かつ低導通損の性能を求められている。しかし高耐圧のIGBT の開発には、多大な開発コストが必要となるとともに製造工程の歩留まりの向上が求められている。 |
申請課題名 | 塗布・乾燥プロセスの流体・粒子連成シミュレーション |
利用課題概要 |
機能性液体を基材上の均一な薄膜として形成するための塗布プロセス、また、液体から溶媒を蒸発させて固体化するための乾燥プロセスは、印刷メディア等の効率的大量生産技術として化学工学の分野で培われてきた要素技術である。従来の塗布・乾燥プロセスの数値解析は主に流体のみの挙動に着目していたが、近年の電子デバイス製造への応用、プリンタブルエレクトロニクス等の精密分野では、液体中に含まれるポリマーや微粒子の挙動を最適化することも求められる。そこで、液体の自由表面流動に粒子挙動を連成することが望まれるが、莫大な粒子数を含む非定常3次元解析が必要となるため、スパコンを活用することでブレークスルーを目指す。尚、本プロセスを適用した最終生産物としては、リチウムイオン電池、燃料電池、太陽電池等のエネルギー分野や、フラットパネルディスプレイ等の先進的電子デバイス分野が含まれる。 |
申請課題名 | 波力発電システムシミュレータのTSUBAMEへの移植と高速化 |
利用課題概要 |
2013 年6月までに、オープンソース流体解析システムOpenFOAM を利用した振動水柱型波力発電システムの数値シミュレータを開発してきた。このシステムでは、3次元波浪計算と波力発電システム内の流動計算を同時に実施可能であり、水槽実験や2 次元計算では困難な性能把握が可能である。現状では設計条件1ケースの解析に多くの時間を要しているため、開発中のシミュレータをTSUBAME に移植して解析の高速化をはかる。 |
申請課題名 | 数値振動台開発を目的とした大規模FEM 解析のフィージビリティスタディ |
利用課題概要 |
我が国は地震国であり、一昨年の東日本大震災など過去の地震被害を踏まえて、建築構造物、土木構造物、そこに設置される設備・内外装などの耐震性を一層向上させることが要求されている。大型振動台における振動実験は耐震性の実証に最も有効なツールであるが、実験用試験体の規模に制約があり、相当の費用や時間がかかることから、数値シミュレーションを併用して研究開発を行うことが重要となってきている。そこで弊社技術研究所では、保有している大型振動台における振動実験の予備解析に加えて、実験結果を応用した実大規模構造物のシミュレーション・パラメトリックスタディも実施できる「数値振動台」の開発を目指している。解析は大規模なものとなるため、数値振動台の開発に必要となるハードウェア/ソフトウェア環境の検討が急務である。本利用課題では、「商用アプリバンドル型トライアルユース」としてFEM解析ソフト「NASTRAN/MARC」が利用可能であり、これを活用して数値震動台のための大規模並列FEM 解析の実現性・有効性に関するフィージビリティスタディを実施したい。 |
申請課題名 | 広域都市環境の大規模計算による検討 |
利用課題概要 |
新たに高層建物、あるいは大規模構造物を建てる際には,風の状況変化に従う影響は無視できない場合が多く,風環境や風騒音などの問題が生じる場合もある.こうした建設による問題や障害の発生を未然に防ぐためには,風環境の変化や風騒音の発生状況を風洞実験や数値流体計算などの方法により予測し,事前に調査・検討および対策の立案を行う必要がある.都市部では,高層ビルが密集し,周辺から受ける影響が大きくなるが,実験装置の制約などにより風洞実験による予測は限界があり,広域を考慮できる大規模数値流体計算の実施が必要となる.本利用課題では,「商用アプリバンドル型トライアルユース」に提供された,建築環境問題の評価に多くの実績を持っているアプリケーションを活用し,TSUBAME2.5 計算資源の利用による大規模数値流体計算を実施し,従来予測困難とされてきた広域都市環境の評価を可能にすることで,合理的な都市環境の整備を目指す. |
申請課題名 | 産業用ゴムベルトの有限要素法による構造解析 |
利用課題概要 |
当社は自社製品である産業用ゴムベルトの開発段階において有限要素法による構造解析を実施し、性能および耐久性を評価している。しかしながら社内のパソコンレベルの計算機では、製品全体を高精度な要素分割で実用的な時間内に計算する能力が無く、精度の面で妥協するか、製品の一部を切り出した部分モデルでの計算に留まっている。そこで本利用課題では、その構造解析についてTSUBAMEによる並列計算を適用し、製品全体を高精度で高速に解析できる可能性を検討する。なお、解析計算に用いるソフトウェアとしては、エムエスシーソフトウェア株式会社が開発・販売する商用有限要素法解析ソフトウェア「Marc」を、商用アプリバンドル型トライアルユースにて利用する。 |
申請課題名 | 熱応答シミュレーションにおける計算規模拡大の効果検証 |
利用課題概要 |
サーマルプリントヘッドの応答特性・省電力化などの性能向上のために、構造の最適化が必要となるが、試作実験による評価・再設計では時間・精度に問題があり、さらには、原理の理解が非常に困難である。そこで、非定常熱伝導解析により、温度分布履歴、熱移動経路の確認などを行ってきた。しかし、デスクサイドワークステーションでは、計算終了までの時間が長いため、モデルの簡略化や対象領域の縮小などで対応せざるを得なかった。一方、スパコンを利用することで、計算時間やメモリ量による計算規模・精度の制限が大幅に改善することが想像できる。今回のトライアルでは、計算資源投入量と計算時間短縮、及び、精度の向上効果の確認を行い、今後のスパコン利用の検討資料を得たい。 |
申請課題名 | 脆性破壊の予測を目的とした構造解析 |
利用課題概要 |
一般に脆性破壊は、有限要素法(FEM)での解析で予防できる座屈や変形と比べ予測が難しく,疲労亀裂と異なり突発的に発生するため予防が困難である.さらに,頻度は少ないものの,船舶の脆性破壊事故の被害は甚大であり,船舶関係者にとって最も不安な要素としてあげられる.1997年にコンテナ船MSCカーラ号が航海中に折損沈没した事故も,溶接部から生じた脆性破壊が原因であり,社会問題となった.特に近年では船舶の大型化に伴い鋼板が厚手化の傾向にあり,またLNGの輸送ニーズの拡大やメタンハイドレートなどの新たな低温物質の輸送,さらには北極海航路や氷海ガス田開発などによる氷海域での船舶や海洋構造物の使用が拡大しているが,脆性破壊が厚板,低温側で発生しやすいことを考慮すれば,近年の動向は脆性破壊のリスクを高めているといえ,今まで確認されていなかった脆性破壊事故が生じる可能性がある.本課題では様々な構造体の亀裂先端での変形挙動を解析的に求め,より正確な脆性破壊の予測に資する. |
申請課題名 | フィラー充填ゴムの多目的設計探査 |
利用課題概要 |
環境問題(CO2 排出規制)や省資源化の社会的要請の中で、タイヤの低燃費化が進められている。そのような背景をもとに、タイヤの材料開発では、ゴム(フィラー充填ゴム)の粘弾性特性に起因する転がり抵抗の低減と、背反する他性能の向上が大きな課題となっている。カーボンブラックやシリカなどナノスケールのフィラーが配合されたフィラー充填ゴムでは、フィラーの量やフィラーの分散状態(モルフォロジー)がその力学応答に大きく寄与することが知られている。そこで本課題では、フィラー充填ゴムのモルフォロジーと力学応答との因果関係解明を目的とし、TSUBAMEを用いて大規模非線形シミュレーションを用いた多目的設計探査の実証実験を行う。 |
申請課題名 | リガンドベースの仮想スクリーニングシステムの大規模システムによる実用実験 |
利用課題概要 |
英国Cresset Biomolecular社の創薬支援ソフトウェア、FieldScreenは、スクリーニングするヒット化合物やリード化合物と同じ生物活性を有し、構造的に多様性をもつリード候補となる新規分子の発見を支援します。大規模な化合物データベースから、分子のフィールドという概念を使って、正確に、高速に候補化合物をスクリーニングします。製品自体は十分な計算能力を発揮するには最低25コア(ローカル、リモートを問わず)以上が必要であり、実際の応用ではさらに大規模なシステムをを活用することでより高速なスクリーニングが可能になります。今回、TSUBAME 2.0を使用して、ベンチマークテストを行い、大規模計算機による可能性を検証します。(本製品はCPUによる分散処理を行います) |
申請課題名 | 密度汎関数法を用いたエンジニアリングプラスティックの熱劣化反応解析 |
利用課題概要 |
省エネルギー化を進めるために、自動車・飛行機などの金属製部材を樹脂部材に置き換えて軽量化を図る試みが盛んになっている。熱・光・水などによる樹脂の劣化・破断は重大な事故につながるが、初期の劣化反応を実験的に追跡することは困難であるため、計算を用いた反応解析を通じて、より耐久性を高める化学修飾法を探索する必要がある。本課題では、TSUBAMEにインストールされている分子軌道計算用フリーソフトウェアGAMESSを用いて、高強度樹脂の熱劣化過程における反応解析を行う。計算手法には、計算負荷と精度のバランスが良い密度汎関数法(DFT)を用いる。炭素繊維強化樹脂(CFRP)の基材などに広く使われているエポキシフェノール樹脂を対象として、酸素、過酸化物、ラジカルとの反応の遷移状態や中間生成物を求め、耐熱性・耐酸化性を向上させるための基礎的な知見を集める。 |
申請課題名 | 個別要素法を用いた粉末充填の大規模シミュレーション |
利用課題概要 |
原料に粉末を用い、これを添加物と混合、成形して最後に焼結することで製造される粉末冶金製品は、各種の機械装置に部品として組み込まれており、現代の我々の生活において必要不可欠である。粉末を金型に充填する給粉工程におけるプロセス技術が製品の性能に大きく影響するが、これまで暗黙知に依存する部分が大きかった。新たな製品開発やさらなる生産性向上を図るにはシミュレーション技術の開発が重要な課題である。そこで、有力なシミュレーション手法として、お互いに相互作用する個々の粒子の運動をコンピュータ上で逐次追跡する個別要素法によるプロセス設計が検討されている。個別要素法では粒子の挙動をニュートンの運動方程式を数値積分することで求めるが、その時間刻みは非常に短いために、膨大な計算時間を要する。また、シミュレーションモデルを現実に近づけるためには扱う粒子数を増やす必要があるので、さらに膨大な計算時間が必然となる。本利用課題では大規模並列化を駆使して、実プロセス規模の解析の可能性を明らかにすることを目標とする。 |
申請課題名 | 企業研究におけるHPC活用の促進 |
利用課題概要 |
企業でのHPC(High Performance Computing)の活用による材料開発・物質設計分野での研究開発活動の促進・効率化を目的として、一般社団法人 企業研究会 における「コンピュータによる材料開発・物質設計を考える会(略称『CAMMフォーラム』)」のメンバ企業とともに、昨年度、産業利用トライアルユースにて「みんなのスパコン」TSUBAMEを利用させていただいた。その結果、参加した約半数の企業においては、量子化学計算パッケージ(GAUSSIAN、GAMESS)や分子動力学計算パッケージ(GROMACS)などの分子科学関連アプリケーションを用い、演習的問題にて、TSUBAMEおよびアプリケーションの操作方法を習得するとともに、メンバ間でのノウハウの共有が図られた。また本取組みに参加したメンバ企業の1社が、本取組みをきっかけに今年度よりTSUBAMEを有償にて活用するに至っている。本年度は、昨年度の取組みを継続し、テーマを演習的問題から実務的問題に発展させるとともに、メンバ企業間での勉強会等を通じた情報共有、および本フォーラムが関与するセミナー等において、TSUBAMEを活用した事例の情報発信を行い、企業でのHPCの活用による材料開発・物質設計分野での研究開発活動の促進・効率化を訴求していく。 |
申請課題名 | FPUの周波数移行に向けたアンテナの特性解析 |
利用課題概要 |
現在,マラソンや駅伝の中継番組の制作のために700MHz帯の移動中継用FPU(Field-Pickup Unit:無線伝送装置)が用いられており,中継車で撮影した映像,音声はこのFPUを用いて伝送し,臨場感のある生中継の映像を放送することを可能としている.この周波数帯は総務省の周波数アクションプランにおいて2018年頃をめどに携帯電話事業者が使用することが決まっており,FPUは1.2GHz帯,2.3GHz帯に周波数を移行することが検討されている.周波数移行先が現行の700MHz帯よりも高い周波数帯であるため伝搬損失が大きくなることから,新しい伝送方式の開発,送信出力の増大,アンテナの特性の改善などによってその損失を補償することを検討している.今回はアンテナの特性改善に向けて,中継車の形状を考慮した大規模なアンテナ解析を行うことで,中継車に搭載する際の最適なアンテナ位置,アンテナの放射特性,およびアンテナから送信される電波の人体への影響を明らかにする. |
申請課題名 | 大規模アレイアンテナの電磁界解析へのGPUクラスター応用 |
利用課題概要 |
高利得、大口径のRLSA(ラジアルラインスロットアンテナ)では、解析対象となる素子数が数万素子に及び、それらを実機に相当するフルモデルで解析するには数億メッシュの解析が必要となる。アンテナの性能の改善、機能の高度化のためには、実験と合わせて解析による最適化が必要となるが、その場合、CPU単体で解析することは困難であり、GPUクラスターシステムの応用が必要である。 本課題では、商用電磁界解析プログラムCST STUDIO SUITEを解析エンジンとして用い最大20億メッシュに及ぶ超大規模モデルについて解析を行い、実験結果との検証含めその有効性を検証する。特に20 億メッシュを超える微細なメッシュによる解析精度の向上と投入できる計算機リソースのバランスを考慮して、効率的な解析手法について検討を行う。 |
申請課題名 | 超大規模三次元高周波電磁界シミュレータを用いた民生電子機器から発せられる不要電磁波問題の研究 |
利用課題概要 |
電子機器の不要電磁波ノイズ問題を考える際、放射源となるプリント基板のみの解析や、筺体、ケーブルの個別要素のみの解析では、対策や現象の把握が難しい。 この原因はプリント基板や機器の筺体、外部ケーブルとの相互作用よっても、不要電磁波ノイズが発生するためである。 したがって、実際の電子機器の放射ノイズ問題を扱う場合は、プリント基板、筺体、ケーブルをすべて含めた状態での大規模な解析が必要となる。 さらにプリント基板のミクロンオーダーの微細な構造から、長さ数メートルの配線をモデル化しなければならないため、計算規模は非常に大きく、簡単に数億要素の規模となり、デスクトップPCレベルでの計算が困難となる。 そこでTSUBAME上で動作するCST STUDIO SUITEにて、これらを一括して計算し、プリント基板や筺体、ケーブルの相互作用による不要電磁波ノイズのメカニズムを研究すると共に、有効な対策を検討する。 |
申請課題名 | 静電気シミュレーションにおけるモデルの簡略化に関する一考察 |
利用課題概要 |
電子機器の製品開発では、電磁界解析を利用してEMC(Electro Magnetic Compatibility)に関する問題に取り組んできている。通常、大規模なモデルを扱う場合には、計算を実行するハードウェアに合わせて、計算可能な規模に解析モデルを簡略化していく必要がある。しかしながら、簡略化しすぎてしまうと問題となる現象を正確にシミュレータ上で再現できなくなってしまうこともある。解析しようとする問題に対して、原因が推測できる場合には、経験によって適切な簡略化が可能であるが、製品開発における試作評価(実機試験)段階で起こる問題の場合には、原因究明に多くの時間を要することもある。このような場合には、簡略化を最小限に抑えた大規模なモデルを高速に計算する必要がある。 近年、CPUクラスターやGPUにより計算機資源が格段に上がってきているため、大規模なモデルを高速に計算できるようになった。本利用課題では、原因究明に時間を要する問題の例として静電気試験を挙げ、現象を理解するとともに簡略化の知見を得ることを目的とする。 |
申請課題名 | 企業の材料開発における計算化学の活用促進 |
利用課題概要 |
EV、PHVなどの次世代自動車向け構成要素においては、電子化・電動化によって、機械的特性だけでなく電気・化学的特性といった機能を持つ材料の開発が必要である。また、このような材料の開発においては希土類元素、いわゆるレアアースの使用量低減がコスト・調達リスクの観点から大きな課題である。これらの課題を解決するためには、実験や分析で得られるマクロ挙動や中間情報だけでなく、分子の挙動そのものを知ることが重要である。この挙動を第一原理に基づき詳細に計算するためには、大型の計算機が必要である。しかし、スパコンのような大型計算機を、一企業が購入・維持することは、費用および運用体制の面で現実的でない。そこで本トライアルユースにおいては、材料開発における計算化学の企業内での活用促進を目的として、材料開発のためTSUBAME上で量子化学計算を実用的に行う上でのモデル規模や環境の検討を行い、有用性を検証する。さらに、研究開発における計算化学のプロセス確立を目指す。計算にはバンド計算法や分子軌道法に基づく既存プログラムを用いる。また一連の試用を通じて、TSUBAMEのようなスパコンの利用、および外部のインフラ環境を使用する知見も獲得する。 |
申請課題名 | 3次元ナノアーキテクチャの各種光デバイスへの応用の為の光学的解析 |
利用課題概要 |
ナノ構造を利用した光学デバイス(太陽電池やLED等)の光学的特性を解析する。解析においては、材料や構造で今迄と異なる物理的振る舞いが予測され、実際の振る舞いを制約条件の少ない状態で計算する事が望まれ、忠実な物理現象の再現が重要なポイントとなる。このため条件に最も合ったRSoft(FullWAVE)FDTD法(有限差分時間領域法)を使用する。これらの構造の光学的特性を解析する事で、より効率の良いデバイスの検討および設計が可能になる。しかし、ナノ構造では干渉の効果を厳密に計算する必要があり、計算の分解能を構造または光源波長の1/10以下に設定する為、100μm角の小さな領域でも計算規模が大きく、計算時間が膨大となり単体の計算機や数台規模のクラスター計算機では解析が困難である。また、(エネルギー損失の少ない)理想的な設計には、ナノ構造と材質との膨大な組合せを考慮した解析が必須となり、規模を限定した2~6並列程度の小規模クラスター計算でも、数日~数週間の時間が必要となっていた。この為、大規模計算における分解能に起因するメモリ量増大に伴う分散計算の効率などの特性の把握、大規模計算を行ったときの結果の評価を行う。 |
申請課題名 | 自動車搭載ミリ波レーダの超大規模電磁界シミュレーション |
利用課題概要 |
77GHzという高い周波数を使うミリ波レーダは、反射波のドップラー効果により、対象物の相対位置・速度を高精度に測定します。これまで、自動車の衝突時の安全性能は、エアバック、アンチロックブレーキシステム、衝撃吸収ボディ等の技術普及により大幅な向上を果たしてきました。今後、歩行者、自動車、障害物との衝突回避による、更なる安全性向上を実現するキーテクノロジの一つとしてとして、ミリ波レーダの車載普及が期待されています。本トライアルユースではスパコンTSUBAMEにて、車に搭載されたミリ波レーダの障害物検知のシミュレーションを、20億メッシュ程度の精緻な超大規模モデルにて試みるとともに、車体構造物からの多重反射の影響についても、シミュレーションにて解析を試みるものといたします。 |
申請課題名 | 超大規模三次元高周波電磁界シミュレータを用いた医用アームロボットのEMC特性解析 |
利用課題概要 |
医療現場で使用される医用機器の誤動作は人命にかかわる為、周囲の電磁環境の影響を受けず常に正常な動作をする高度なEMC性能が要求される。 多軸アームロボットは、当社で開発中の癌治療用高精度ロボット型動体追跡Ⅹ線システムの重要な構成要素機器である。この多軸アームロボットは製造現場での使用が想定された産業用のものであり、医療現場での使用については医療機器に関する国際的なEMC規格に適合する必要がある。 これを達成するためには、形状が動作によって変わるアームに装着された複数のサーボシステムのEMC特性を三次元電磁界解析技術で解析し、多軸アームロボットのEMC特性を把握したうえで、適切な接地回路やサーボ回路の実装を実現することが急務である。 本課題では、マニピュレータ、コントローラ、ケーブルに至る実際の多軸アームロボットシステムに近いモデリングを行い、サーボドライバを励振して伝導エミッションと放射エミッションを電磁界解析する。また、システム内外の電磁界分布を可視化することでEMC特性の現象の理解を深める。 |
申請課題名 | PCクラスタミドルウェア「HarmonyCalc」の、TSUBAMEでの動作実証実験 |
利用課題概要 |
本課題では、自社開発のWindowsベースPCクラスタミドルウェア「HarmonyCalc」の動作実証を行う。HarmonyCalcは、並列処理の実現に必要な通信機能、マルチスレッド機能、ノード管理機能、データ管理機能、スケジューリング機能を持つ、DLL形式の並列処理ミドルウェアである。その設計にあたっては、アプリケーションの開発・保守・配布しやすさを特に重視した。そのためHarmonyCalcアプリケーションは次のような性質を持ち、商用にも供しやすいという特徴がある。 |
申請課題名 | 個別要素法を用いた粉末充填シミュレーションプログラムの並列化とその評価 |
利用課題概要 |
原料に粉末を用い、これを添加物と混合、成形して最後に焼結することで製造される粉末冶金製品は、各種の機械装置に部品として組み込まれており、現代の我々の生活において必要不可欠である。粉末を金型に充填する給粉工程におけるプロセス技術が製品の性能に大きく影響するが、これまで暗黙知に依存する部分が大きかった。新たな製品開発やさらなる生産性向上を図るにはシミュレーション技術の開発が重要な課題である。そこで、有力なシミュレーション手法として、お互いに相互作用する個々の粒子の運動をコンピュータ上で逐次追跡する個別要素法によるプロセス設計が検討されている。個別要素法では粒子の挙動をニュートンの運動方程式を数値積分することで求めるが、その時間刻みは非常に短いために、膨大な計算時間を要する。また、シミュレーションモデルを現実に近づけるためには扱う粒子数を増やす必要があるので、さらに膨大な計算時間が必然となる。本利用課題では大規模並列化およびGPUコンピューティング技術を駆使して、実プロセス規模の解析の可能性を明らかにすることを目標とする。 |
申請課題名 | 建築物の室内外環境の連成解析とその高速化技術の開発 |
利用課題概要 |
建築物の快適な室内環境の創出及び居住性の向上の他、その建築物の運用による環境への負荷を最小限に抑えるために、屋外の自然環境の活用及びその環境の変化に応じる室内設備の制御による室内外環境の連成解析の実施が必要となる。その連成解析は非常に大規模となり、通常の計算機で実施することは困難であるため、大規模計算クラスタや高速な計算方法の確立が必要となる。本件利用申請は、TSUBAME2.0クラスタの計算資源を利用することで、建築物の室内外環境の解析モデル及び連成解析システムを構築し、超並列CPU及びGPUによる数値解法を開発するとともに、大規模計算による建築物の室内外環境の評価を可能にする。 |
申請課題名 | 移流/抵抗/放電を考慮した3次元電界計算の電子写真設計への適用 |
利用課題概要 |
電子写真装置内でのトナー挙動を3次元で高精度に計算し、設計開発上の課題に貢献することが大目的である.まず、ローラや中抵抗部材が形成する電場内でのトナー挙動解析シミュレーションを行うために、移流/放電/抵抗を考慮した一般化座標上での3次元電界計算手法の新規開発を行う.トナー粒子は4~10μmであり、それよりも小さな計算メッシュを用いて、トナーが移動する領域(数mm×数mm×数100μm)の計算を行う必要があるため大規模計算となるが、TSUBAMEによる並列化計算で実現可能が期待される.平成22年度、TSUBAME1.2および2.0利用にて、3次元化およびOpenMPによる並列化を実施し、実現可能性を確認した。本年度、更にMPI並列化を行うことで実現可能が期待される。また確立したシミュレーション技術を用いて、電子写真装置の設計上の課題に適用することで、試作台数低減、開発期間短縮となり、もの作りの革新につながり、日本のもの作りの基盤を支えるものと期待される. |
申請課題名 | GaussianとGAMESSの実行を支援するGUIソフトの開発 |
利用課題概要 |
WindowsPCで動作する分子科学計算用GUIのWinmostarはアカデミックフリーで公開されており、その使い易さから、教育研修用として広く利用されている。商用版は、企業の研究開発用途としても充分な機能を有するので、数多くの導入実績がある。平成23年度の課題では、Winmostarから計算サーバーへのジョブサブミット機能を改良し、汎用的な機能を開発することで、PC から スパコンまでシームレスな利用方法を提案することができた。昨年度の課題は、Windowsアプリとしての機能開発であったが、これとは別に、Webブラウザだけで利用できるWeb版Winmostar(Webmostar)を(株)アンクルと共同開発している。今年度は、WebmostarからのTSUBAME利用方法を中心に開発する。さらに、実際のユーザーからの意見を取り入れてWinmostarのジョブサブミット機能の改良(Webmostarとの連携を含む)も行なう。 |
申請課題名 | メソ構造を持つ高分子材料のマルチスケール・シミュレーション |
利用課題概要 |
産学連携プロジェクトで開発された ソフトマテリアルに対する統合的なシミュレータであるOCTAシステムを用いて、ナノ構造を有する高分子材料の物性発現機構の解明を行なう。既存のOCTAシステム(http://octa.jp)では、十分な並列化がなされておらず大規模系のシミュレーションができない。本利用課題では、高分子の高精度・大規模・高速な動的平均場法の並列化コードの開発を行う。開発したコードを用いて高分子のミクロ相分離構造を発生させ、それを初期構造とした粗視化分子動力学計算を行い、高分子材料の相分離構造と物性発現のメカニズムを解明し、より高性能な高分子材料の開発を数値シミュレーションにより行うことを目標とする。 |
申請課題名 | Li-グラファイト層間化合物のステージ構造変化に関するハイブリッド量子古典シミュレーション |
利用課題概要 |
Li-グラファイト層間化合物に対して、挿入Li とその周辺グラファイト原子とを電子状態計算(=量子)領域とし他の炭素原子は経験的原子間相互作用モデルを用いる古典領域とするハイブリッド量子古典シミュレーション法を適用し、Liの移動に従って量子領域を再選択することでグラファイト中のLi拡散過程を計算する。電子状態計算には実空間差分型の密度汎関数法を適用し大規模並列計算を可能とする。実験データから、Li-グラファイト層間化合物は、挿入Li量によって様々なステージ構造を形成することが知られている。本利用課題では、単一ステージ構造でのLi拡散に加えて、ステージ構造に依存したLi間相互作用の特性と、そのステージ構造の変化(相変化)に及ぼす影響についても調べる。 |
申請課題名 | 強誘電体電子材料の電子物性発現に関わるナノレベル構造設計シミュレーション |
利用課題概要 |
酸化物強誘電体は電子デバイス産業用途の基本材料として広く用いられているが、ごくわずかな欠陥や不純物に起因する材料内部のナノレベルの構造変化によってその電子物性を大きく変化させる事が知られている。本利用課題では、実験のみのアプローチでは理解が困難な強誘電体酸化物のナノスケールの構造変化(欠陥、不純物、及びそれらのマイグレーションや欠陥クラスリングなど)、並びに粒界や表面で起こる現象に焦点をあて、ナノレベルでの構造変化が生じるメカニズムと電子物性(電子状態)との関係を明らかにし、計算科学による欠陥構造設計ならびに界面構造制御設計技術の確立を目指す。 |
申請課題名 | 量子化学計算を活用した企業研究の効率化 |
利用課題概要 |
企業研究に計算化学を適用することで研究活動が促進されることを確認する。更に、大型計算機でなければ現実的でない実際の系に近い化学反応、精度を上げた物質の特性の推算を量子化学計算で行い、実験結果と対比する。計算化学の結果を研究開発に活用することを実証する。具体的にはGAUSSIAN2009、GAMESSなどを用いて反応を推算し、化合物の物性を推算する。計算対象は溶媒効果を考慮した合成反応(用語1)における遷移状態を求め実験と対比する。また物性においては数10種の化合物のイオン化ポテンシャル、電子親和力、吸収波長、吸光度、燐光波長、蛍光波長を推算し、実験との相関を明確にする。尚、本検討は新化学技術企業推進協会(注釈1)の先端化学・材料技術部会 コンピュータケミストリ分科会:次世代CC ワーキンググループに参画する約40社及び大学関係者が共同で将来の計算化学のあり方を考える上で、共同利用スパコンの活用方法を修得し、有効性を把握することも目的としている。 |
申請課題名 | 衛生陶器設計のための並列GPGPU気液二相流シミュレーション |
利用課題概要 |
TOTOでは2017年環境ビジョン「TOTO GREEN CHALLENGE」を掲げ、全商品にわたる節水化およびそれに伴うCO2削減を強力に推進している。トイレ等の衛生陶器では、「GREENMAX4.8」と銘打ち、「少ない水でもしっかり流す。」をコンセプトに商品を展開している。衛生陶器節水化の技術課題の一つとして、陶器表面に付着汚れを残さず洗い流すための効率的な流し方の確立が挙げられる。流体解析を用いることにより試作を繰り返すことなく様々な陶器形状や給水方法を事前検討できるが、陶器表面の薄膜の流れは気液二相流体解析では非常に細かいメッシュ分割および高精度な気液界面追跡計算手法が必要である。当社では保存型CIP法を核とした固気液三相流体解析ソフトを自社開発しており、近年ではMPI並列計算技術とGPGPU技術を実装することで大容量化と高精度化を図っている。今回、並列GPGPU技術を核とした「グリーンスパコン」TSUBAME2.0を用い、大規模メッシュにおけるスケーラビリティおよび実際の薄膜流れの再現性を検証する。 |
申請課題名 | 大規模地震における強震動評価と屋内収容物の被害評価 |
利用課題概要 |
3月に発生した東北地方太平洋沖地震では、かつて無い程の非常に広い範囲で甚大な被害が発生した。今後、発生確率が高いと言われている東海・東南海・南海地震が起こった場合も同様に、都市部を含めた広い範囲で被害が発生すると予測されている。このような被害を軽減するためには、事前に、地震による揺れや被害を予測し、対策を立てておくことが重要である。 本課題では、地震による揺れを理論的に評価するプログラムと、屋内にある機器や商品等の地震時の挙動を評価し、屋内被害を予測するプログラムをTSUBAMEに移植し、計算時間やメモリの制限から、従来では困難だった計算を実行できる環境の整備を行なう。 地震による揺れの評価としては、東海・東南海・南海地震を対象に、地震波の波動伝播を理論的に計算することで、地震の強さがどのくらいになるのかを面的に評価する。屋内被害の予測については、数多くの商品を積み上げて格納している倉庫を対象に、地震の揺れにより積荷が崩れたりして、屋内の状況がどのようになるのかシミュレーションを行なう。 |
申請課題名 | 大規模三次元電磁界シミュレーションのトンネルモデルへの適用 |
利用課題概要 |
近年、自動車や鉄道などの交通分野においては、トンネル内での通信利用が盛んに行われており、トンネル内での電磁波の振る舞いを事前にシミュレーションすることが必要となってきている。これまで1億メッシュを超えるような大規模なモデルのシミュレーションでは処理時間的に限界のあった電磁界解析プログラムは、近年のGPUクラスタによるマルチスレッド処理が可能な計算機リソース環境で、トンネルのような大規模問題でも計算が可能となった。そこで本課題では、FDTD法による市販の電磁界解析プログラムXFdtdを用いて、大規模なトンネルモデルの数値シミュレーションを実施し結果の評価を行うことで、トンネル内での電磁波シミュレーションの有効性を検証する。また、大規模モデルのシミュレーションにおけるGPU並列処理による計算速度向上のため、メッシュ数等の計算条件に対して高度なスケーリング性を実現する方法とその高速化効果を検証する。 |
申請課題名 | 排ガス浄化触媒材料開発における第一原理シミュレーション |
利用課題概要 |
密度汎関数法を用いて、新規排ガス浄化触媒開発のため検討を行う。 |
申請課題名 | 酸化物分散強化鋼の密度汎関数理論による界面エネルギー計算 |
利用課題概要 |
耐高温と耐クリープ強度に優れる酸化物分散強化型鋼は、数nm以下の酸化物粒子がフェライト中に分散している特長を示す一方で、その酸化物析出過程は未知の部分が多い。今回は金属/金属酸化物界面エネルギーを見積もり、この析出過程について知見を得ることを目的とした。本課題ではフェライト鋼と代表的酸化物(Y2O3, Al2O3, TiO2)の接合界面について調査する。 |
申請課題名 | アジアモンスーン地域の津波・高潮メガリスクに関する防災シミュレーション |
利用課題概要 |
本利用課題では、三次元VOF法解析コード等を用いて、日本及びアジアモンスーン地域における津波・高潮・洪水における氾濫浸水挙動の解析を行うと共に、詳細の地形条件による浸水予測区域図の作成を行う。従来の浸水予想区域図は、数十m~数百mの直交格子により平面二次元解析により行われてきたが、本課題では、建物の詳細の条件および流体力を正確に評価することを目的として三次元解析により氾濫挙動を解析評価する。 |
申請課題名 | リチウムイオン二次電池正極の材料設計 |
利用課題概要 |
リチウムイオン二次電池正極の電極電位を、密度汎関数理論(Density Functional Theory, DFT)に基づく第一原理擬ポテンシャルバンド計算により評価する。遷移金属の局在軌道での電子間相互作用を考慮するためにDFT+U法を採用し、定量的な比較を試みる。さらに、電極電位のパラメーターU依存性や原子配置最適化の影響を調べる。 |
申請課題名 | 鋼材強化に資する微細析出物成長の計算機シミュレーション |
利用課題概要 |
鋼材の強度設計に影響を及ぼす微細析出物の成長機構解明のためのシミュレーションを実施する。具体的には、NaCl型析出物について、クラスタ状態、整合析出物、部分整合析出物の安定性を第一原理計算によって見積り、従来計算では未着手であった析出物の成長過程を調べる。 |