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2013年3月7日

GSIC・ユネスコEducation Research Institutes Network (ERI-Net) 共催国際シンポジウム


2013年3月7日~8日、タイバンコク市内においてユネスコ教育アジア太平洋地域事務所(ユネスコバンコク事務所),東京工業大学学術国際情報センター共催によるEducation Research Institute Network (ERI-Net) 専門家会合が韓国信託基金の協賛により開催された。2009年に設立されたERI-Netは現在15カ国11の大学およびシンクタンクをメンバーとしており、毎年地域レベルでの教育政策の合同研究を実施している。本会合では、「教育政策へのNon-cognitive skills (非認知スキル)の導入」および「中等教育から高等教育への進学過程」を研究テーマとし、7カ国25名の参加者による各国の発表を基に活発な議論が展開された。また、本会合では、今後の比較研究の枠組みにも言及し、平成25年度に実施予定の「アジア6各国における21世紀型スキルの教育政策への導入」の関する研究法に関する情報共有が行われた。
第一日目は「教育政策へのNon-cognitive skills (非認知スキル)の導入」をテーマに活発な論議が行なわれた。ソフトスキルとも呼ばれる「非認知スキル‐non-cognitive skills」は創造力やコミュニケーション能力、批判的能力や倫理観など多様な能力に代表される。この様な能力を教育の現場で育むことの重要性は各国で認識されているものの、アジア太平洋地域における共通の定義は存在していない。ユネスコバンコク事務所教育政策改革部部長、Dr Gwang-Chol ChangはこれまでのNon-cognitive skills(非認知スキル)についての研究結果を要約し、アジア太平洋地域の国々において非認知能力がどのように定義され、また教育政策およびカリキュラムに反映されているのかを理解・共有することの重要性を強調した。また、東工大の山口しのぶ教授が日本における新学習指導要領「生きる力」について発表し、「21世紀型スキル」の向上を目指す上で、ICTが教育現場で効果的に活用されている事例を提示した。参加した専門家から教育現場における非認知スキル向上のための興味深い指導例として受け止められた。また韓国からはKICE(韓国教育課程評価院)による「性格教育」の例が、またマレーシア教育省による「21世紀型スキルと教育」の例が発表されるなど、Non-cognitive skills (非認知スキル)を重視した多様な教育政策の在り方が議論された。
第二日目は「中等教育から高等教育への進学過程」をテーマに議論が行なわれた。アジア太平洋地域の教育において大学入試は大きく位置づけられており、激しい競争によるプレッシャーや「shadow education」と呼ばれる塾や予備校への過度の投資などが問題視されている。ユネスコバンコク事務所「教育の革新と発展のためのアジア太平洋地域プログラム」担当部長Dr. Libing Wangは大学入試システムが教育全体に及ぼす影響が多岐に渡ることについて言及し、アジア太平洋各国の大学入試制度を比較研究することの意義を強調した。その後、中国(浙江大学)、マレーシア(マレーシア大学ケランタン校)、フィリピン(フィリピン教育大学)による事例が発表され、今後の比較研究の手法について意見交換がなされた。
本会合での議論に基づき、ユネスコバンコクは研究の枠組みの最終版を作成し、最終的な研究の参加者をERI-Netメンバーから募る予定である。各国の研究結果は2013年10月に行なわれるERI-Net年次会合において発表され、ユネスコのネットワークを通じて広く発信される予定である。



教育専門家会合の参加者


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