You are here

令和5年度採択実績および利用終了課題報告書

採択情報

令和6年度令和5年度令和4年度令和3年度令和2年度平成31年度平成30年度平成29年度平成28年度平成27年度平成26年度平成25年度平成24年度平成23年度平成22年度平成21年度

令和5年度申請実績

利用区分 カテゴリー 応募数 採択数
学術利用 成果公開 26 26
産業利用 成果公開 0 0
成果非公開 10 10
合計 36 36

PageTop

令和5年度採択利用課題一覧 (学術利用)

番号 所属機関 申請課題名 (課題概要) 利用区分
(カテゴリー)
利用 口数 報告書
1 電気通信大学 並列アプリケーションにおけるプロファイルおよびトレース予測手法の評価 学術利用
(成果公開)
3 提出免除
2 千葉大学大学院薬学研究院製剤工学研究室 計算科学による Eudragit E PO の薬物可溶化メカニズムの評価 学術利用
(成果公開)
2 PDF
3 大阪公立大学工学研究科 粘性の温度依存性を考慮した乱流熱輸送現象のモデル化 学術利用
(成果公開)
1 PDF
4 立命館大学理工学部 固体酸化物電解セルにおける電極表面反応の第一原理計算 学術利用
(成果公開)
1 提出免除
5 日本大学医学部生体機能医学系薬理学分野 臨床情報統合データベースの機械学習解析 学術利用
(成果公開)
10 公開延期
6 東北大学大学院薬学研究科 GPCRとシグナル分子の相互作用機構の分子動力学シミュレーション 学術利用
(成果公開)
1 PDF
7 大阪公立大学大学院理学研究科 超流動ヘリウムにおける量子乱流の数値的研究 学術利用
(成果公開)
1 PDF
8 東京大学先端科学技術研究センター MDシミュレーションと機械学習を用いた分子間相互作用の解析 学術利用
(成果公開)
5 PDF
9 大阪公立大学大学院工学研究科 フェーズフィールド法と分子動力学法の連携による多結晶組織形成解析 学術利用
(成果公開)
7 公開延期
10 東京理科大学理学部第一部化学科 計算化学を利用した有機薄膜材料の構造解析 学術利用
(成果公開)
1 PDF
11 京都大学化学研究所 機能性ペプチド提示エクソソームの創製 学術利用
(成果公開)
1 公開延期
12 東北大学大学院工学研究科 低温電子顕微鏡4次元イメージング法の高度化 学術利用
(成果公開)
5 PDF
13 東京医科歯科大学難治疾患研究所 深層学習を用いた分子動力学シミュレーションの高速化 学術利用
(成果公開)
2 公開延期
14 国立感染症研究所病原体ゲノム解析研究センター 分子動力学シミュレーションによる新興再興感染症に関する研究 学術利用
(成果公開)
18 提出免除
15 産業技術総合研究所計量標準総合センター ナノ構造体を含むバルク材料のマルチスケール構造・熱輸送解析 学術利用
(成果公開)
8 提出免除
16 産業技術総合研究所 量子アニーリングにおける近似的断熱ショートカット 学術利用
(成果公開)
2 PDF
17 法政大学情報科学部 時空間並列アルゴリズムを用いた物理シミュレーション 学術利用
(成果公開)
1 PDF
18 東京医科歯科大学難治疾患研究所 深層生成モデルによる人工タンパク質設計 学術利用
(成果公開)
21 公開延期
19 アストロバイオロジーセンター 量子化学計算による水を酸化可能な近赤外吸収分子の探索 学術利用
(成果公開)
4 提出免除
20 東京農工大学 機能性メタレンズのマルチスケール解析 学術利用
(成果公開)
1 提出免除
21 星薬科大学薬品物理化学研究室 MDシミュレーションと量子化学計算を用いた医薬品開発支援 学術利用
(成果公開)
1 PDF
22 大阪公立大学大学院工学研究科 溝付き超高速テイラー・クエット乱流の大規模数値解析 学術利用
(成果公開)
33 PDF
23 九州大学応用力学研究所 集風レンズ付き風車の中型200kw機とそのマルチロータシステムの技術開発 学術利用
(成果公開)
20 PDF
24 国立研究開発法人情報通信研究機構 GPUクラスタを用いたミリ波帯大規模広帯域電波伝搬シミュレーション 学術利用
(成果公開)
14 PDF
25 国立研究開発法人物質・材料研究機構 超多粒子焼結シミュレーションによるミクロ組織変化の統計的データ解析 学術利用
(成果公開)
6 公開延期
26 理化学研究所革新知能統合研究センター 継続的ベイズ推論の改善 学術利用
(成果公開)
13 提出免除

令和5年度採択利用課題一覧 (産業利用)

番号 所属機関 申請課題名 (課題概要) 利用区分
(カテゴリー)
状況

令和5年度採択利用課題一覧 (産業利用:成果非公開)

番号 所属機関 利用区分
(カテゴリー)
状況
1 大鵬薬品工業株式会社 産業利用
(成果非公開)
終了
2 モジュラス株式会社 産業利用
(成果非公開)
終了
3 株式会社リコー 産業利用
(成果非公開)
終了
4 株式会社クレハ 産業利用
(成果非公開)
終了
5 中外製薬株式会社 産業利用
(成果非公開)
終了
6 中外製薬株式会社2 産業利用
(成果非公開)
終了
7 住鉱資源開発株式会社 産業利用
(成果非公開)
終了
8 株式会社アグロデザイン・スタジオ 産業利用
(成果非公開)
終了
9 日東電工株式会社 産業利用
(成果非公開)
終了
10 協和キリン株式会社 産業利用
(成果非公開)
終了

利用課題概要

組織名 : 電気通信大学
申請課題名 並列アプリケーションにおけるプロファイルおよびトレース予測手法の評価
利用課題概要   本研究課題では,並列アプリケーションを大規模実行した際のプロファイルおよび通信トレース収集に必要な時間コストと計算資源を削減するために当研究室で開発した,プロファイル予測手法と通信トレース予測手法の評価を行う. 
組織名 : 千葉大学大学院薬学研究院製剤工学研究室
申請課題名 計算科学による Eudragit E PO の薬物可溶化メカニズムの評価
利用課題概要   難水溶性薬物の溶解性改善手法として、添加剤による可溶化が広く用いられている。近年、我々はアミノアルキルメタクリレートコポリマー (Eudragit EPO)が、強い薬物可溶化効果を示すことを見出した。さらに、その可溶化効果は溶液のpHによって大きく異なり、これは塩基性ポリマーであるEudragit E POのpH変化に伴う構造変化によると推察されているが、詳細は不明であった。そこで、本課題では、Eudragit E POの薬物可溶化メカニズムを明らかにすることを目的として、計算化学(主に分子動力学シミュレーション)を用いて、水溶液中の薬物とEudragit E POの相互作用を評価する。 
組織名 : 大阪公立大学工学研究科
申請課題名 粘性の温度依存性を考慮した乱流熱輸送現象のモデル化
利用課題概要   一般的な数値シミュレーションでは,動粘度をはじめとした物性値は一定値として取り扱われることが多い.しかし,燃焼など急激な温度変化を伴う流動場では,物性値が流体温度に応じて変化し,流動場に影響を及ぼす.そのような流動場を現実的なコストでシミュレーションするためには,物性値の温度依存性を考慮した乱流モデルが必要であるが,物性値の温度依存性が乱流場に与える影響は十分に理解されておらず,対応する乱流モデル・壁モデルも少ない.本研究は,粘性の温度依存性を考慮した乱流熱流動の直接数値解析を行い,物性値の温度依存性を考慮した乱流モデルの構築に必要な基礎的なデータベースを作成することを目的とする. 
組織名 : 立命館大学理工学部
申請課題名 固体酸化物電解セルにおける電極表面反応の第一原理計算
利用課題概要   温室効果ガスであるCO2をCOに変換できる固体酸化物形電解セル(SOEC)を用いたCO2電気分解が注目されている。しかし、SOECのCO2電気分解では,電極表面において酸化反応や炭素析出反応など望まない副反応を伴う場合が多く,その抑制が課題となっている。本研究では、第一原理計算を用いてCO2電気分解反応,カソードのCO2酸化反応,炭素析出反応を明らかにし、これら副反応を制御できる電極構造因子を明らかにする。 
組織名 : 日本大学医学部生体機能医学系薬理学分野
申請課題名 臨床情報統合データベースの機械学習解析
利用課題概要   課題責任者は日本大学医学部臨床情報統合データベースから医学的知見を抽出するために機械学習アルゴリズムを開発してきた。課題責任者のグループでは昨年度、情報処理の効率性に関してブレークスルーを与える新手法の開発と複数GPUを備えた大型計算機を最大限活用した大規模実装に成功した。そしてこれを用いてデータベースから薬剤効果判定や疾患進行予測を既存手法を超える精度で行うプロジェクトを策定し日本大学医学部倫理委員会において承認を得た。そこで、本共同利用課題を利用して実際に解析を進めるべくここに応募する。 
組織名 : 東北大学大学院薬学研究科
申請課題名 GPCRとシグナル分子の相互作用機構の分子動力学シミュレーション
利用課題概要   Gタンパク質共役受容体(GPCR)は細胞膜上に発現し細胞外側から細胞内側へシグナルを伝達する。このシグナル伝達はGPCRと他のシグナル分子が相互作用することで引き起こされており、GPCRの状態に応じて相互作用するシグナル分子が変化することで生体内におけるシグナル応答の変化をもたらしている。さらに、シグナル分子の活性化の程度もGPCRの置かれた環境に応じて変わることが知られている。本課題では、複数の状態をとりうるGPCRとそれに対応するシグナル分子との相互作用の動態を分子動力学シミュレーションによって明らかにし、状態依存的な相互作用をもたらす機構を探る。 
組織名 : 大阪公立大学大学院理学研究科
申請課題名 超流動ヘリウムにおける量子乱流の数値的研究
利用課題概要   超流動とは非粘性の流れのことであり、量子凝縮系の物理学における重要な研究対象である。超流動の乱流は量子乱流ともよばれ、いまでも盛んに研究されている。量子乱流の長年の未解決問題として、T1-T2遷移という超流動の2段階乱流遷移がある。T1-T2遷移をシミュレーションするためには、大規模数値計算が必要だと考えられている。本利用課題では、TSUBAMEの性能を活用してそのような大規模数値計算を行い、量子乱流の重要な物理の解明を主な目標とする。 
組織名 : 東京大学先端科学技術研究センター
申請課題名 MDシミュレーションと機械学習を用いた分子間相互作用の解析
利用課題概要   分子間相互作用は、材料開発から医薬品開発まで幅広い分野で重要な役割を果たしている。例えば、生物学的には、分子間相互作用がタンパク質機能や疾病に大きく関与している。本研究では、対象系の分子間相互作用をMDシミュレーションと機械学習を用いて特徴付ける手法を開発し、タンパク質系・材料系への応用を試みることを目的としている。分子間相互作用の特徴が明らかになることで、疾患の治療や新規材料の開発に貢献できると考えている。 
組織名 : 大阪公立大学大学院工学研究科
申請課題名 フェーズフィールド法と分子動力学法の連携による多結晶組織形成解析
利用課題概要   多結晶材料の高特性化のためには,製造工程における相変態,再結晶・粒成長などを通じた組織形成の高精度制御が鍵となる.本研究では,高効率な組織計算が可能な現象論的手法:フェーズフィールド法と,物性値等の入力不要で組織発展を扱える原子論的手法:分子動力学とをデータ科学により融合し,複数GPU並列計算を併用することで,原子レベルの物理を反映した大規模・定量的な多結晶組織予測を初めて可能とする.令和5年度は,前年度までに構築した純金属粒成長の大規模計算法および材料物性値の取得法を,固相変態や合金・機能材料などのより複雑な現象・系に適用できるよう拡張することで,計算駆動による多結晶組織制御の技術深化を図る. 
組織名 : 東京理科大学理学部第一部化学科
申請課題名 計算化学を利用した有機薄膜材料の構造解析
利用課題概要   次元性の有機薄膜材料は不溶性の場合が多い.ゆえに,有機化学における一般的な溶液での構造解析は困難である.従って,固体として測定したスペクトル情報と計算化学的なシミュレーションを組み合わせによって構造解析をおこなう必要がある.本課題では,我々がこれまでに合成した薄膜材料について,計算化学を用いたスペクトルシミュレーションの方法を開拓し,実験値との比較を用いた構造解析へと応用する. 
組織名 : 京都大学化学研究所
申請課題名 機能性ペプチド提示エクソソームの創製
利用課題概要   エクソソームは、細胞から放出される50nmから150nmの細胞外小胞の一種である。エクソソームは、マイクロRNAやタンパク質などを内包しており、細胞間コミュニケーションツールとしての役割を果たしており、がん診断や薬物送達キャリアとしても注目されている。一方で、薬物キャリアとして活用するには、エクソソームを標的細胞に特異的に送達する必要がある。そこで、エクソソームの表面に機能性ペプチドを導入することで、新たな機能性エクソソームの創製を目指す。 
組織名 : 東北大学大学院工学研究科
申請課題名 低温電子顕微鏡4次元イメージング法の高度化
利用課題概要   低温電子顕微鏡実験データからタンパク質の構造変化をイメージングする「4次元イメージング法」を、実際の実験データに適用できるように高度化することを目指す。具体的には、(1) 実際の実験データに含まれるノイズに対応するために、プログラム「Noise2Void」を4次元イメージング法に取り込む、(2) タンパク質の構造変化だけでなく、構造変化に伴う自由エネルギー曲面を求めるために、分子動力学法の手法の1つである「アンブレラサンプリング法」を4次元イメージング法に取り込む。 
組織名 : 東京医科歯科大学難治疾患研究所
申請課題名 深層学習を用いた分子動力学シミュレーションの高速化
利用課題概要   タンパク質が持つ機能を解析するため、分子動力学シミュレーションによりタンパク質立体構造のダイナミクスを解析する研究が広く行われている。しかしながら、分子動力学シミュレーションには大きな計算コストを必要とするという問題点があり、長時間・大規模なシミュレーションを行うにはスーパーコンピュータを用いても膨大な時間を要する。そこで本課題では、深層学習をベースとしたデータ駆動型のアプローチを用いることで分子動力学シミュレーションを高速に行う手法を開発し、効率的な大規模・網羅的シミュレーションの実現を目指す。 
組織名 : 国立感染症研究所病原体ゲノム解析研究センター
申請課題名 分子動力学シミュレーションによる新興再興感染症に関する研究
利用課題概要   易変異性RNAウイルスによる新興・再興感染症は、社会や経済に多大な損失をもたらす。そのため、その対策は世界が共有する公衆衛生上の重要課題になっている。我々は、計算科学により易変異性ウイルスの理解と制御に向けた基礎・応用研究を進めている。ウイルスの性質は、ウイルスタンパク質の構造により決定される。本研究では、TSUBAMEにおいてAmberによる分子動力学シミュレーションを実施し、変異がウイルスタンパク質の動的性質や宿主因子との相互作用に及ぼす効果を解析する。得られた情報を、病原体の性質変化の分子基盤解明、リスク評価、リスク変異予測、創薬標的同定、ワクチン抗原設計等に活用する。 
組織名 : 産業技術総合研究所 計量標準総合センター
申請課題名 ナノ構造体を含むバルク材料のマルチスケール構造・熱輸送解析
利用課題概要   熱特性が異なるナノ粒子やナノワイヤ等を複合化し、放熱特性やエネルギー変換効率の向上を図る試みが注目されている。このような構造による熱伝導制御では単一のナノ構造体のみならず、ナノ構造体から成る階層構造など、異なる長さスケールにおける熱(フォノン)輸送を包括的に理解することが重要である。本研究課題では、原子・分子シミュレーションで求めたナノ構造体及びナノ構造体間のフォノン輸送の素過程をメゾスコピック熱輸送に組み込むことで、ナノ構造体とバルク材の熱伝導性の相関を明らかにするとともに高(低)熱伝導など工学的価値の高い熱機能材料の設計指針を得る。 
組織名 : 産業技術総合研究所
申請課題名 量子アニーリングにおける近似的断熱ショートカット
利用課題概要   量子アニーリングは,組合わせ最適化問題を量子効果によって解く手法として近年大きな注目を集めている.組み合わせ最適化問題をイジング模型として表現したとき,その基底状態から励起状態の非断熱遷移は量子アニーリングの性能の低下を招く.そのため非断熱遷移を抑制するためには十分長い時間をかけ量子アニーリングを行う必要がある.しかし現実のデバイスにおいては量子ビットのコヒーレンスタイムという律速があるため,短い時間で量子アニーリングを行う必要がある.本研究課題では量子アニーリングにおいて非断熱遷移を抑制する近似的カウンター項の構成を行い,量子アニーリング時間を短縮させるプロトコルを構築する. 
組織名 : 法政大学情報科学部
申請課題名 時空間並列アルゴリズムを用いた物理シミュレーション
利用課題概要   利用課題の一番の目的は、超並列GPUコンピュータ用の新しい時空間局所化アルゴリズムの開発することである。これまで我々のアルゴリズムはメモリバウンド物理シミュレーション問題に既に利用されており、これには、ステンシルスキームなどのローカル依存関係を持つ数値スキームを用いることで様々な課題を解決してきた。これをさらに進めるためには、計算が処理順序やデータアクセス局所性、メッセージ通過速度などの更に多くの要因を考慮し、アルゴリズムの改良、検討を行う必要がある。研究対象を拡大することで時空間並列アルゴリズムを改良していくことが我々の研究テーマである。 
組織名 : 東京医科歯科大学難治疾患研究所
申請課題名 深層生成モデルによる人工タンパク質設計
利用課題概要   本研究では、深層生成モデルと分子動力学シミュレーションを用いて、特定の作用をもつタンパク質をde novoで設計する技術を開発する。特に、特定のタンパク質モジュールを阻害する人工タンパク質に焦点を当て、ロボット技術と実験検証を組み合わせることで、これらのタンパク質を自動で設計、構築、検証、学習するプラットフォームを開発する。最終的に、設計されたタンパク質を用いた新たながん治療法の開発を目指す。 
組織名 : アストロバイオロジーセンター
申請課題名 量子化学計算による水を酸化可能な近赤外吸収分子の探索
利用課題概要   色素増感太陽電池やバイオイメージングなど、近赤外光を利用する機能性分子の需要は高まっている。本課題では近赤外光を吸収する分子が光合成色素に代替可能かを、量子化学計算を用いて調べる。これまで広い条件で分子の光合成色素として重要な物性を調べており(Komatsu and Takizawa, PCCP, 2021)、これに引き続いて大きなπ共役系分子を対象に単量体、2量体の励起エネルギーや酸化還元的性質を推定する。計算結果を学習データにして機械学習によって水を酸化可能な近赤外吸収分子を提示するシステムを構築する。 
組織名 : 東京農工大学
申請課題名 機能性メタレンズのマルチスケール解析
利用課題概要   本課題では、機能性光メタレンズの設計に供するための、誘電体ナノ構造の光学的な応答解析を行う。現在、誘電体ナノ構造からなる可視波長域で動作するメタサーフェスレンズの開発を進めている。構造の最適化のためには光学特性の計算が必須であるが、必要なメモリが膨大となるため、従来所有していたワークステーションでは十分な計算を行えなかった。そこで、TSUBAME 3.0上でマルチフィジックス計算ソフトを利用することで、本課題の本格的な展開に取り組むことを目的として、申請を行った。2023年度には,偏光選択性を有するメタレンズに関するマルチスケール解析を行う。 
組織名 : 星薬科大学薬品物理化学研究室
申請課題名 MDシミュレーションと量子化学計算を用いた医薬品開発支援
利用課題概要   本研究では、MDシミュレーションと量子化学計算を組み合わせた医薬品開発支援法を研究する。MDシミュレーションにより医薬品候補の物性を予測し、量子化学計算により分子の電子構造や反応性を評価する。TSUBAMEの高性能計算能力を活かし、複雑な分子システムの解析をおこない、医薬品の設計や効果予測に貢献する技術の確立を目指す。 
組織名 : 大阪公立大学大学院工学研究科
申請課題名 溝付き超高速テイラー・クエット乱流の大規模数値解析
利用課題概要   省スペース,省資源,高効率化の観点から自動車用電動モータの高速回転化が求められている.モータのロータ・ステータには電磁場の最適化のために溝が設けられており,高速回転時にその間で誘起される流れが回転トルクの増大やステータコイルの発熱による問題を招くおそれがある.ロータ・ステータ間で生じる流れは,いわば溝付きのテイラー.クエット流れとみなすことができるが,超高速回転する溝付きのテイラー・クエット流れの熱流動現象は明らかにされていない.本研究では格子ボルツマンによる大規模並列乱流解析を行うことで構造が及ぼす影響を明らかにする. 
組織名 : 九州大学応用力学研究所
申請課題名 集風レンズ付き風車の中型200kw機とそのマルチロータシステムの技術開発
利用課題概要   高い発電性能を持つ風車として集風レンズ付き風車が注目されており,九州大学応用力学研究所では定格出力200kWの中型レンズ風車,およびその2基マルチロータシステムの技術開発を進めている.本利用課題では,数値流体シミュレーションにより,①台風などの強風時における風抵抗の評価と強風対策の検討,②2基マルチロータシステムの最適な風車隙間間隔の検討,③レンズ風車空力弾性解析に必要となる翼端損失モデルやディフューザー増速モデルの構築のための基礎データの取得,を行う. 
組織名 : 国立研究開発法人情報通信研究機構
申請課題名 GPUクラスタを用いたミリ波帯大規模広帯域電波伝搬シミュレーション
利用課題概要   ミリ波帯電波は他の周波数帯と比較して,電波の直進性が大きく,見通し伝搬の形態が多い。しかし,ひとたび電波伝搬のフレネルゾーン内に該当帯域電波の吸収体・散乱・反射体などが存在すると,受信電力の予測手法の複雑さが増大し,不確かさが大きくなる。また,ミリ波では,物質表面の凹凸の寸法が波長に比べて同程度となれば,その散乱特性がかなり影響を受ける.そこで,本研究では,屋内伝搬環境において受信電力を高精度に予測するために,大規模電磁界シミュレーションを新たに開発する。加えて,電波散乱壁やリフレクトアレーなどの反射体・散乱体を考慮できるようにする。 
組織名 : 国立研究開発法人物質・材料研究機構
申請課題名 超多粒子焼結シミュレーションによるミクロ組織変化の統計的データ解析
利用課題概要   焼結で作製される多結晶材料の種々の特性は、内部のミクロ組織構造に依存する。そのため、熱処理中のミクロ組織変化を予測することを目的として、近年ではフェーズフィールド(PF)法を用いた数値シミュレーション手法の開発が活発化している。本研究では、世界最大規模の超多粒子系用いた固相焼結PFシミュレーションを実施する。これにより、焼結体の巨視的密度、粒径分布、結晶方位分布などの統計量の時間変化を明らかにするとともに、種々の材料物性値がこれらの統計量変化に及ぼす影響を調査する。 
組織名 : 理化学研究所革新知能統合研究センター
申請課題名 継続的ベイズ推論の改善
利用課題概要   深層学習では全てのデータが揃った状態で学習を行い、一度学習したモデルは更新できないのが一般的である。本利用課題では、継続的に学習しつづけるモデルの開発を目指す。また、継続的な深層学習に関する試みもいくつか存在するが、技巧的な手法を用いて経験的な性能向上を重視するものが多い。本利用課題では、数学的に厳密なベイズの原理に基づく理論により継続学習を根本的に見直すことを目的とする。ただし、ベイズ的な深層学習には通常の深層学習以上の膨大な計算量を要するため、TSUBAME3.0 のような大規模な計算資源が必要である。 
組織名 : 電気通信大学
申請課題名 MPIアプリケーションにおけるプロファイルおよびトレース予測手法の評価
利用課題概要   本研究課題では,MPIアプリケーションを大規模実行した際のプロファイルおよび通信トレース収集に必要な時間コストと計算資源を削減するために当研究室で開発した,プロファイル予測手法と通信トレース予測手法の評価を行う. 
組織名 : 千葉大学大学院薬学研究院製剤工学研究室
申請課題名 計算化学による薬物とトリメチル化シクロデキストリンの相互作用評価
利用課題概要   難水溶性薬物の溶解性改善手法として、過飽和溶液の調製が広く研究されている。一方、過飽和溶液は熱力学的に不安定であるため、その安定化を目的として結晶化抑制剤が用いられている。シクロデキストリン類は薬物をその空洞内に包接することで、薬物を可溶化する。近年我々はトリメチル化シクロデキストリンが可溶化作用に加えて、強い結晶化抑制作用を有することを見出した。本課題では、トリメチル化シクロデキストリンの結晶化抑制メカニズムを明らかにすることを目的として、計算化学(主に分子動力学シミュレーション)を用いて、過飽和溶液中の薬物とトリメチル化シクロデキストリンの相互作用を評価する。 
組織名 : 東北大学大学院薬学研究科
申請課題名 アレスチン分子の活性化機構の分子動力学シミュレーション
利用課題概要   アレスチン分子の活性化は細胞膜上の受容体の内在化を引き起こし、脱感作を仲介する。この活性化にはリン酸化された受容体との相互作用が重要であると考えられてきたが、受容体との相互作用様式や受容体以外の分子との相互作用の有無によっても活性化の程度が異なることがわかってきた。本課題では、種々の相互作用形式における活性化因子の寄与を分子動力学シミュレーションによって検証し、アレスチンの活性化機構を調べる。 
組織名 : 立命館大学理工学部
申請課題名 固体電解質セルによるCO2電気分解反応の第一原理計算
利用課題概要   カーボンニュートラル社会に向けて固体酸化物形電気分解セル(SOEC)を用いたCO2電気分解が注目されている。しかし、CO2はSOECのカソードで用いられるNi系電極を酸化するため、電極酸化による性能劣化が課題となっている。本研究では、第一原理計算を用いて、CO2電気分解反応とカソードのCO2酸化挙動を原子レベルで明らかにし、CO2酸化耐性のあるカソード構造を提示する。 
組織名 : 名古屋大学大学院医学系研究科
申請課題名 新規BRCAness 誘導阻害剤開発に向けた理論研究
利用課題概要   Domainfocused CRISPR スクリーニングから得られた合成致死性を示す機能的ドメイン近傍のタンパク質構造を予測し、当該領域に対して⼩関が有する独⾃のin silico 創薬デザイン戦略を適⽤することで、ドメイン活性特異的な新規阻害剤を設計する。この研究の一環として、TSUBAME上で、Alphafold2を用いて様々な候補タンパク質の構造予測と、分子動力学シミュレーションによるタンパク質の生体内分子挙動をサンプリングすることを計画している。 
組織名 : 東京農工大学
申請課題名 メタサーフェスレンズのマルチスケール解析
利用課題概要   本課題では、光メタサーフェスレンズの設計に供するための、金属・誘電体ナノ構造の光学的な応答解析を行う。現在、誘電体ナノ構造からなる可視波長域で動作するメタサーフェスレンズの開発を進めている。構造の最適化のためには光学特性の計算が必須であるが、必要なメモリが膨大となるため、従来所有していたワークステーションでは十分な計算を行えなかった。そこで、TSUBAME 3.0上でマルチフィジックス計算ソフトを利用することで、本課題の本格的な展開に取り組むことを目的として、申請を行った。2022年度には,ナノスケールの電磁場解析とマクロな光学応答を対応付けるマルチスケール解析を行う。 
組織名 : 新潟大学工学部工学科
申請課題名 揺動電磁気シミュレーションを用いた光放射現象に関する研究
利用課題概要   半導体発光素子(light emitting diode : LED)を用いた Thermophotonics(TPX)発電システムの数値解析を行う.TPX発電システムとは,LEDでの発光エネルギーをPVセルで受光し,発電しながらその一部のエネルギーをLED駆動に回すことで継続的に発電が可能となるデバイスである.しかし,現状ではTPX発電システムに最適な半導体・デバイス構造や熱力学的性質について十分に理解が進んでおらず,実現のためには揺動電磁気シミュレーションにより,半導体デバイスおよび熱力学的な数値設計および現象の解明を行う必要がある. 
組織名 : 日本大学医学部生体機能医学系薬理学分野
申請課題名 臨床情報統合データベースの機械学習解析
利用課題概要   課題責任者はこれまで構築してきた臨床情報の統合データベースから生活習慣病についての医学的知見を抽出するために機械学習アルゴリズムを開発している。データベースは非常に大規模であり、効率的な機械学習を行うためには変数選択や事後分布の推定においてアルゴリズム面での大幅な効率化が必要である。課題責任者のグループではこの点でブレイクスルーを与える新手法の開発に成功しており、これを複数GPUを備えた大型計算機上で動作するよう新たに実装し、既存のアルゴリズムと比較検討する。そして、データベースに基づく生活習慣病の薬剤効果判定や疾患進行予測を既存手法を超える精度で行えることを示す。 
組織名 : 大阪公立大学大学院工学研究科航空宇宙海洋系専攻
申請課題名 海洋底探査を加速するAIとシミュレーション技術の開発
利用課題概要   海溝型地震や熱水活動観測による資源評価など,調査船を用いた海洋底探査の重要性が増している。外乱が複雑に変化する状況下では,革新的な船舶制御が求められるため,深層強化学習にもとづく自律操船AIの開発を行う。スパコンを利用した学習環境を構築し,パラメータの最適化と分散型の強化学習を目指す。また,探査・開発の対象となる海底環境は,砂,泥,礫などの離散体で構成されており,採掘・揚鉱装置の開発を加速させるためには,連続体である海水との連成シミュレーションが求められる。本研究では,個別要素法と粒子法を組み合わせた離散対・連続体の連成シミュレーションを開発し,スパコン上で実行可能なツールとして確立する。 
組織名 : 理化学研究所革新知能統合研究センター
申請課題名 継続的ベイズ推論の改善
利用課題概要   深層学習では全てのデータが揃った状態で学習を行い、一度学習したモデルは更新できないのが一般的である。本利用課題では、継続的に学習しつづけるモデルの開発を目指す。また、継続的な深層学習学習に関する試みもいくつか存在するが、技巧的な手法を用いて経験的な性能向上を重視するものが多い。本利用課題では、数学的に厳密なベイズの原理に基づく理論により継続学習を根本的に見直すことを目的とする。ただし、ベイズ的な深層学習には通常の深層学習以上の膨大な計算量を要するため、TSUBAME3.0のような大規模な計算資源が必要である。 
組織名 : 東京農工大学大学院工学研究院
申請課題名 データ同化援用フェーズフィールド計算による高精度多結晶組織予測
利用課題概要   多結晶材料の性能を引き出すためには,製造工程における再結晶・粒成長等の組織発展現象の高精度予測が鍵となる.本研究では,高効率な組織計算が可能な現象論的手法:フェーズフィールド法と,物性値等の入力不要で組織発展を扱える原子論的手法:分子動力学とをデータ科学により融合し,複数GPU並列計算を併用することで,原子レベルの物理を反映した大規模・定量的な多結晶組織予測を初めて可能とする.令和4年度は,フェーズフィールド計算と分子動力学計算とを同じ時空間スケールで実行し,データ同化により結晶粒界・多重点の異方性物性を系統的に取得することで,フェーズフィールド法による組織予測の定量化を図る. 
組織名 : 長岡工業高等専門学校
申請課題名 ヒト血清アルブミン-環状ペプチド複合体の相互作用解析
利用課題概要   低分子医薬品、抗体医薬品に続く第3の医薬品として環状ペプチド医薬品が注目を集めている。しかし、環状ペプチドは腎臓でろ過され、体外へと急速に排出されてしまうという課題がある。この課題を克服するためには血漿中に存在する輸送体であるヒト血清アルブミンとの結合が重要になってくる。結晶構造解析によって得られたヒト血清アルブミンと環状ペプチドの複合体構造に対して分子動力学シミュレーションおよび相互作用解析を実施し、ヒト血清アルブミンとの結合に重要となる相互作用を明らかにする。 
組織名 : 埼玉県環境科学国際センター
申請課題名 廃棄物最終処分場における間隙内流体挙動の数値解析
利用課題概要   廃棄物の研究において、埋立地からの浸出水やガスの量を予測し、制御するということは埋立地の設計及び管理における最重要課題である。これら流体の流動挙動は、埋立層間隙の幾何構造と密接な関係があり、間隙内での渦の発生や界面張力等の効果として流動挙動に大きく影響しているものと考えられる。そこで、本利用課題では、間隙の幾何構造に焦点を当て、廃棄物試料から取得したマイクロフォーカスX線CT画像に基づいた間隙内流れの数値シミュレーションを行い、間隙構造の特徴と流れの関連性を明らかにすることにより、埋立地における浸出水・ガスのより高品質な予測制御の実現を目的としている。 
組織名 : 国立感染症研究所病原体ゲノム解析研究センター
申請課題名 分子動力学シミュレーションによる新興再興感染症に関する研究
利用課題概要   易変異性RNAウイルスによる新興・再興感染症は、社会や経済に多大な損失をもたらす。そのため、その対策は世界が共有する公衆衛生上の重要課題になっている。我々は、計算科学により易変異性ウイルスの理解と制御に向けた基礎・応用研究を進めている。ウイルスの性質は、ウイルスタンパク質の構造により決定される。本研究では、TSUBAMEにおいてAmberによる分子動力学シミュレーションを実施し、変異がウイルスタンパク質の動的性質や宿主因子との相互作用に及ぼす効果を解析する。得られた情報を、病原体の性質変化の分子基盤解明、リスク評価、リスク変異予測、創薬標的同定、ワクチン抗原設計等に活用する。 
組織名 : 法政大学情報科学部
申請課題名 LRnLAアルゴリズムを用いた物理シミュレーション
利用課題概要   超並列GPUコンピュータ用の時空間局所化を用いた新しい並列化のアルゴリズムを開発・改良を継続する。これまで我々のアルゴリズムはステンシルスキームなどの局所依存関係をもつ数値計算手法を用いて、メモリバウンド型の物理シミュレーションで既に活用されている。また、効率向上ため、計算が処理順序やデータアクセス局所性、メッセージ通過速度などの多くの要因を考慮し、アルゴリズムの改良、検討を行っている。これにより活用可能な分野を拡大するため、LRnLA法のアルゴリズムの改良、検討をさらに進める。 
組織名 : 日本大学医学部生体機能医学系薬理学分野
申請課題名 発達期多元自発活動の数理モデルとその学習理論の構築
利用課題概要   申請者の科研費課題「発達期多元自発活動の数理モデルとその学習理論の構築」を遂行するために本利用課題を策定した。本課題は、発達初期の脳神経回路の数理モデルを構築し、発達初期にみられる多元自発活動を数値シミュレーションにより再現しようとする。そして機械学習を行う人工神経回路との比較や生理学者・数学者との共同研究を経て、それらの多元自発活動の意義・機能を解明しようとする。これにより、発達初期の脳神経回路の状態が後の動物の学習に与える影響の一端が解明され、さらには機械学習を行う人工神経回路のデザインについての知見も得られると期待される。 
組織名 : 名古屋大学大学院医学系研究科/東京医科歯科大学
申請課題名 深層学習を用いた分子動力学シミュレーションの高速化
利用課題概要   タンパク質が持つ機能を解析するため、分子動力学シミュレーションによりタンパク質立体構造のダイナミクスを解析する研究が広く行われている。しかしながら、分子動力学シミュレーションには大きな計算コストを必要とするという問題点があり、長時間・大規模なシミュレーションを行うにはスーパーコンピュータを用いても膨大な時間を要する。そこで本課題では、深層学習をベースとしたデータ駆動型のアプローチを用いることで分子動力学シミュレーションを高速に行う手法を開発し、効率的な大規模・網羅的シミュレーションの実現を目指す。 
組織名 : 大阪公立大学大学院工学研究科
申請課題名 電気コイル隙間内に流れ込む冷却液挙動に関する大規模数値解析
利用課題概要   モータのステータコイルの除熱には,非電気伝導性の冷却液を直接流下する方法がとられる.その流体挙動については不明な点が多かったため,これまで簡易モデルを対象とし,その流動特性を格子ボルツマンによる二相流解析により解明してきた.今年度は継続課題として,簡易化ステータコイル構造の熱問題解析手法を構築するとともに,ロータ・ステータ間の流れ場をも対象とし,構造が及ぼす影響を明らかにすることを目的とする. 
組織名 : 東北大学大学院工学研究科
申請課題名 深層学習を用いた分子動力学法ベースの水和熱力学量計算法の高速化
利用課題概要   分子動力学法を用いてタンパク質周りの水のエントロピーとエネルギーの分布を求めるグリッド不均一溶液理論を、深層学習を導入することで計算時間を大幅に短縮する(2日程度→1分程度)ことを目指す。そのために、本研究では、まず100個程度のタンパク質の分子動力学計算とグリッド不均一溶液理論を行い、その後、深層学習のモデル構築を行う。深層学習モデルとしては、我々が提案しているもの(K. Kawama, Y. Fukushima, M. Ikeguchi, M. Ohta, and T. Yoshidome, bioRxiv: 2022.04.18.488616)を使用する。 
組織名 : 大阪公立大学工学研究科
申請課題名 粘性の温度依存性を考慮した乱流熱流動の直接数値解析
利用課題概要   一般的な数値シミュレーションでは,動粘度をはじめとした物性値は一定値として取り扱われることが多い.しかし,燃焼など急激な温度変化を伴う流動場では,物性値が流体温度に応じて変化し,流動場に影響を及ぼす.そのような流動場を現実的なコストでシミュレーションするためには,物性値の温度依存性を考慮した乱流モデルが必要であるが,物性値の温度依存性が乱流場に与える影響は十分に理解されておらず,対応する乱流モデル・壁モデルも少ない.本研究は,粘性の温度依存性を考慮した乱流熱流動の直接数値解析を行い,物性値の温度依存性を考慮した乱流モデルの構築に必要な基礎的なデータベースを作成することを目的とする. 
組織名 : 国立研究開発法人情報通信研究機構
申請課題名 GPUクラスタを用いたミリ波帯大規模広帯域電波伝搬シミュレーション
利用課題概要   ミリ波帯電波は他の周波数帯と比較して,電波の直進性が大きく,見通し伝搬の形態が多い。しかし,ひとたび電波伝搬のフレネルゾーン内に該当帯域電波の吸収体・散乱・反射体などが存在すると,受信電力の予測手法の複雑さが増大し,不確かさが大きくなる。また,ミリ波では,物質表面の凹凸の寸法が波長に比べて同程度となれば,その散乱特性がかなり影響を受ける.そこで,本研究では,屋内伝搬環境において受信電力を高精度に予測するために,大規模電磁界シミュレーションを新たに開発する。加えて,電波散乱壁やリフレクトアレーなどの反射体・散乱体を考慮できるようにする。 
組織名 : 茨城大学大学院理工学研究科
申請課題名 ベイナイト変態中の準安定オーステナイトにおける固溶元素と炭素原子の相関の解明
利用課題概要   超高強度、高延性鋼板を開発することは建物や自動車をはじめ鉄鋼を用いた工業製品の性能を向上させるために重要である。そのために鉄鋼中炭素位置と固溶元素の相関を解明する必要がある。Fe-1.5Si-1.5Mn-0.15C鋼を用いたこれまでの研究で、全量γ相となる温度からの急冷によるオーステンパー処理中でのベイナイト変態進行を観察し、処理温度を573-773Kとしたすべての条件でγ中炭素濃度の二極化が観測された。この炭素濃度二極化のメカニズム解明として、固溶元素と炭素原子との相関を第一原理計算によって明らかにする。 
組織名 : 中央大学理工学部応用化学科
申請課題名 量子化学計算に基づく CO2吸収性アミン非水溶液の理論設計
利用課題概要   本課題ではNEDO-Green Innovation プロジェクト(2022-2030)「LNG未利用冷熱を活用したCO2分離回収技術開発・実証」に関連し、量子化学計算と情報科学技術の連携により、高効率な CO2 吸収液の迅速探索を実施する。カーボンニュートラル社会の確立を目指す CO2 吸収液の設計分野では、従来、揮発性のアミン水溶液を用いた研究開発が実施されてきた。だが、エネルギー効率・環境影響の両観点から、不揮発性 CO2 吸収液の開発は、国際レベルの課題である。実験的にわかっている化学反応予測経路について、そのエナジェティクスを検証、実験的に追跡が困難な遷移状態の電子状態情報を収集し機械学習を実施することで、未来社会を支える不揮発性アミン非水溶液の早期具現化に貢献する。 
組織名 : 中央大学理工学部応用化学科
申請課題名 大規模量子化学計算による機能性液体の溶液構造と反応性探索
利用課題概要   申請者らは従来、フラグメント分子軌道法に基づく大規模第一原理分子動力学計算を開発し、その生態関連系への応用を行ってきた。本課題では、当該手法の材料系に水平展開すると同時に機械学習の手法と組み合わせることで、各種機能性溶液の溶液構造と物性の相関を解明することを目指す。 
組織名 : 京都大学化学研究所
申請課題名 機能性ペプチド提示エクソソームの創製
利用課題概要   エクソソームは、細胞から放出される50nmから150nmの細胞外小胞の一種である。エクソソームは、マイクロRNAやタンパク質などを内包しており、細胞間コミュニケーションツールとしての役割を果たしており、がん診断や薬物送達キャリアとしても注目されている。一方で、薬物キャリアとして活用するには、エクソソームを標的細胞に特異的に送達する必要がある。そこで、エクソソームの表面に機能性ペプチドを導入することで、新たな機能性エクソソームの創製を目指す。 
組織名 : 産業技術総合研究所デジタルアーキテクチャ研究センター
申請課題名 人工画像を用いた大規模事前学習
利用課題概要   NEDO「人と共に進化する次世代人工知能に関する技術開発事業/実世界に埋め込まれる人間中心の人工知能技術の研究開発」,小項目③-(3)-C 「二次最適化を利用した分散深層学習による汎用学習モデルの構築」では,分散深層学習技術を用いて人工画像による画期的な事前学習方法を大規模で実施する.そのためには,TSUBAMEのような大規模GPUスパコンを用いる必要がある. 
組織名 : 産業技術総合研究所デジタルアーキテクチャ研究センター
申請課題名 人工画像データ及び事前学習モデルのリポジトリ化によるAIハブ構築
利用課題概要   NEDO「人と共に進化する次世代人工知能に関する技術開発事業/実世界に埋め込まれる人間中心の人工知能技術の研究開発」,小項目③-(3)-A 「AI資源のリポジトリ化によるAIハブ構築技術」では,深層学習のための大規模データや事前学習モデルをレポジトリ化し,AIハブの構築を目指す.そのためには,ABCI上にあるレポジトリをTSUBAMEから利用する試験を行う必要がある. 
組織名 : 九州大学応用力学研究所
申請課題名 集風レンズ付き風車とそのマルチロータシステムの流体シミュレーション
利用課題概要   高い発電性能を持つ風車として集風レンズ付き風車が注目されており,九州大学応用力学研究所では定格出力200kWの中型レンズ風車の技術開発を進めている.本利用課題では,数値流体シミュレーションにより集風レンズ付き風車の発電性能と風抵抗を評価し,中型機用の集風レンズ形状の空力設計を行うことを目的とする.また,集風レンズ付き風車を同一構造上に2基配置するマルチロータシステムに対し流体シミュレーションを行い, システム全体の発電性能と抵抗を評価する.流体シミュレーションには大規模計算とGPU計算に適した格子ボルツマン法を利用する. 
組織名 : 日本大学医学部薬理学分野
申請課題名 動的均衡にある神経回路の機械学習とその場の理論的解析
利用課題概要   申請者の科研費課題「場の理論にもとづく動的均衡にあるレザボワ計算神経回路の設計」を遂行するために本利用課題を策定した. 本課題は, 人工神経回路の機械学習性能を, 数値実験および理論解析によって解明しようとするものである. 非常に高い学習性能で近年注目を集めている人工神経回路は, 生物の脳の仕組みからヒントを得て, 大幅な性能向上を遂げてきた. 一方で, 生物の脳の顕著な特徴のうち, まだ学習との関わりが解明されていないものがいくつかあり, その一つが「動的均衡」である. 申請者は自身の先行研究で構築した理論を用いて, 「動的均衡」が学習にどのように役立つかを明らかにしようとする.  
組織名 : 成蹊大学
申請課題名 大規模ソフトウェア分散共有メモリシステムにおける高性能計算の研究
利用課題概要  大規模計算機クラスタシステムにおいて,複数の計算ノードに分散したメモリを一つの大容量共有メモリとして扱うことのできる大規模アドレス空間を実現し,より容易で直感的な並列プログラム開発を可能にするシステムソフトウエアmSMSを開発している.これにより,従来のMPIを利用した分散メモリ型アルゴリズムや,配列データに対する静的かつ規則的アクセスだけでなく,グローバルアドレス,ポインタによる巨大グローバルデータの動的アクセスなどを可能にし,新たなアルゴリズムの実装を容易にする.今年度は,mSMSを利用し,様々な応用処理を記述し,性能評価を行う. 
組織名 : 千葉大学大学院薬学研究院製剤工学研究室
申請課題名 計算化学による固体分散体中の薬物とキャリアの相互作用の評価
利用課題概要   固体分散体は難水溶性薬物の溶解性改善する方法として広く研究されている。一方、固体分散体中の薬物は非晶質状態で存在するため、物理的安定性に乏しく、その安定化は製剤設計上の大きな課題である。非晶質固体分散体の安定化には、 薬物とキャリアの分子間相互作用及び相溶性が重要な役 割を果たすことが示唆されている。本課題では、計算化学(主に分子動力学シミュレーション)を用いた固体分散体中の薬物とキャリアの相互作用形式の強さ(エンタルピー要素)と相溶性(エントロピー要素)を評価する。さらに、計算化学による固体分散体の解析法を確立し、計算化学を固体分散体製剤の評価法として新たに提案する。 
組織名 : 埼玉県環境科学国際センター
申請課題名 廃棄物最終処分場における間隙内流体挙動の数値解析
利用課題概要   廃棄物の研究において、埋立地からの浸出水やガスの量を予測し、制御するということは埋立地の設計及び管理における最重要課題である。これら流体の流動挙動は、埋立層間隙の幾何構造と密接な関係があり、間隙内での渦の発生や界面張力等の効果として流動挙動に大きく影響しているものと考えられる。そこで、本利用課題では、間隙の幾何構造に焦点を当て、廃棄物試料から取得したマイクロフォーカスX線CT画像に基づいた間隙内流れの数値シミュレーションを行い、間隙構造の特徴と流れの関連性を明らかにすることにより、埋立地における浸出水・ガスのより高品質な予測制御の実現を目的としている。 
組織名 : 東京農工大学
申請課題名 大規模メタサーフェスの光学応答解析
利用課題概要   本課題では、光メタサーフェスの設計に供するための、金属・誘電体ナノ構造の光学的な応答解析を行う。現在、可変金属ナノ構造からなる可視波長域で動作する可変メタサーフェスの開発を進めている。構造の最適化のためには光学特性の計算が必須であるが、必要なメモリが膨大となるため、従来所有していたワークステーションでは十分な計算を行えなかった。そこで、TSUBAME 3.0上でマルチフィジックス計算ソフトを利用することで、本課題の本格的な展開に取り組むことを目的として、申請を行った。2021年度には,昨年度行ったメタ原子の光学応答を発展させ,より大規模なメタ表面での解析を行う。 
組織名 : 新潟大学工学部工学科
申請課題名 揺動電磁気シミュレーションを用いた光放射現象に関する研究
利用課題概要   半導体発光素子(light emitting diode : LED)を用いた Thermophotonics(TPX)発電システムの数値解析を行う.TPX発電システムとは,LEDでの発光エネルギーをPVセルで受光し,発電しながらその一部のエネルギーをLED駆動に回すことで継続的に発電が可能となるデバイスである.しかし,現状ではTPX発電システムに最適な半導体・デバイス構造や熱力学的性質について十分に理解が進んでおらず,実現のためには揺動電磁気シミュレーションにより,半導体デバイスおよび熱力学的な数値設計および現象の解明を行う必要がある. 
組織名 : 九州大学応用力学研究所
申請課題名 液体金属流れCFD手法の開発及び核融合研究への応用
利用課題概要   We plan to use Tsubame to carry out simulations for testing and validation of GPU-accelerated, high-order CFD code for solving large-scale, free surface incompressible flows. The simulations aim to test the accuracy and computational efficiency and scaling of the code for problems, involving large meshes and high-order polynomial basis. 
組織名 : 電気通信大学
申請課題名 MPI アプリケーションのプロファイルおよびトレース予測に関する研究
利用課題概要   本研究課題ではMPI アプリケーションのプロファイルおよびトレースを予測する技術を開発する. 
組織名 : 大阪府立大学大学院工学研究科航空宇宙海洋系専攻
申請課題名 海洋底探査を加速するAIとシミュレーション技術の開発
利用課題概要  海溝型地震や熱水活動観測による資源評価など,調査船を用いた海洋底探査の重要性が増している。外乱が複雑に変化する状況下では,革新的な船舶制御が求められるため,深層強化学習にもとづく自律操船AIの開発を行う。スパコンを利用した学習環境を構築し,パラメータの最適化と分散型の強化学習を目指す。また,探査・開発の対象となる海底環境は,砂,泥,礫などの離散体で構成されており,採掘・揚鉱装置の開発を加速させるためには,連続体である海水との連成シミュレーションが求められる。本研究では,個別要素法と粒子法を組み合わせた離散対・連続体の連成シミュレーションを開発し,スパコン上で実行可能なツールとして確立する。 
組織名 : 大阪大学大学院基礎工学研究科
申請課題名 逐次導入法による長鎖化合物の全原子自由エネルギー計算
利用課題概要  物性の異なるポリマー同士を混合させて複合的な物性や機能を持つ新たな高分子材料を開発する技術をポリマーブレンド技術と呼ぶ。ポリマーブレンドの物性は、混ぜ合わせるポリマーのお互いへの溶けやすさである相溶性に依存することが知られており、目的となる系の相溶性を見積もる手法が以前より要求されている。本課題では、本グループが開発中の逐次導入法を用いて、複数の高分子種の混ぜ物であるポリマーブレンド系の混合ギブス自由エネルギーを全原子分子動力学シミュレーションを用いて計算し、ブレンドの相溶/非相溶性やその原因を原子スケールから明らかにすることを目指す。 
組織名 : 立命館大学理工学部
申請課題名 第一原理計算によるSOFC電極上の炭素析出解析
利用課題概要  固体酸化物形燃料電池(SOFC)において炭化水素ガスをNi系燃料極に供給すると,炭素析出が進行し,電極破壊の要因となる.Ni/YSZ界面は,Niバルクとは異なる反応性を有しており,従来型の連続体アプローチでは,炭素析出モデルの構築が難しい.本研究では,第一原理計算を用いて,電極構造と炭素析出の相関性を明らかにし,電極上の炭素析出モデルを原子レベルで構築する.さらに,Ni/YSZだけでなく,さまざまな電極の原子モデルを構築し,炭素析出制御につながる電極設計指針を提示することを目標とする. 
組織名 : 長岡工業高等専門学校
申請課題名 ヒト血清アルブミン-環状ペプチド複合体の相互作用解析
利用課題概要  低分子医薬品、抗体医薬品に続く第3の医薬品として環状ペプチド医薬品が注目を集めている。しかし、環状ペプチドは腎臓でろ過され、体外へと急速に排出されてしまうという課題がある。この課題を克服するためには血漿中に存在する輸送体であるヒト血清アルブミンとの結合が重要になってくる。結晶構造解析によって得られたヒト血清アルブミンと環状ペプチドの複合体構造に対して分子動力学シミュレーションおよび相互作用解析を実施し、ヒト血清アルブミンとの結合に重要となる相互作用を明らかにする。 
組織名 : 大阪府立大学大学院工学研究科
申請課題名 電気コイル隙間内に流れ込む冷却液挙動に関する大規模数値解析
利用課題概要  電気コイルの徐熱問題として,非電気伝導性の冷却液を流下する方法がとられるが,その流体挙動については不明な点が多かったため,昨年度は簡易モデルを対象とした複雑構造内の流動挙動を格子ボルツマンによる二相流解析手法を用いて解析した.今年度は継続課題として,各種液体パラメータが及ぼす流体挙動について明らかにするとともに,形状(構造)による影響についても取り組む予定である.また,熱問題の実装に取り組むことで,交換熱量の評価にもつなげる. 
組織名 : 北陸大学薬学部
申請課題名 ヘロナミド類の抗真菌作用メカニズムの解明のための計算分子設計技術の開発
利用課題概要  本研究では分子シミュレーション技術(分子動力学シミュレーション・自由エネルギー計算)を用いてヘロナミド類の抗真菌作用メカニズムを解明を目的に、以下の3つの研究課題を行う.1. 「化合物(ヘロナミド類)を含んだ脂質膜の構造・相互作用解析」2. 「化合物(ヘロナミド類)の膜会合の自由エネルギー計算手法の開発」3. 「脂質・化合物の分子構成変化に対する分子会合特性変化の検証」.これにより実在系の化合物・ペプチドの脂質膜への膜会合過程(吸着・透過・離脱)における「動的構造」や「自由エネルギー変化」の詳細が明らかになる.計算モデルをもとに新規の化合物を提案し,合成・評価の実験も行う予定である. 
組織名 : 法政大学情報科学部
申請課題名 LRnLAアルゴリズムを用いた物理シミュレーション
利用課題概要  利用課題の一番の目的は、超並列GPUコンピュータ用の新しい時空間局所化アルゴリズムの開発することである。これまで我々のアルゴリズムはメモリバウンド物理シミュレーション問題に既に利用されており、これには、ステンシルスキームなどのローカル依存関係を持つ数値スキームを用いることで様々な課題を解決してきた。これをさらに進めるためには、計算が処理順序やデータアクセス局所性、メッセージ通過速度などの更に多くの要因を考慮し、アルゴリズムの改良、検討を行う必要がある。研究対象を拡大することでLRnLA法のアルゴリズムを改良していくことが我々の研究テーマである。 
組織名 : 国立研究開発法人情報通信研究機構
申請課題名 GPUクラスタを用いたミリ波帯・テラヘルツ帯大規模広帯域電波伝搬シミュレーション
利用課題概要  ミリ波帯・テラヘルツ帯における電波は他の周波数帯と比較して,電波の直進性が大きく,見通し伝搬の形態が多い。しかし,ひとたび電波伝搬のフレネルゾーン内に該当帯域電波の吸収体・散乱・反射体などが存在すると,受信電力の予測手法の複雑さが増大し,不確かさが大きくなる。また,テラヘルツ帯において,物質表面の凹凸の寸法が波長に比べて同程度となれば,その散乱特性がかなり影響を受ける.そこで,本研究では,様々な伝搬環境(地表上・室内など)におけるミリ波帯・テラヘルツ帯広帯域電波の受信電力を高精度に予測するために,大規模電磁界シミュレーションを新たに開発する。加えて,地面やコンクリートなどの広帯域な電磁的分散特性を考慮できるようにする。 
組織名 : 東京農工大学大学院工学研究院
申請課題名 フェーズフィールド法に立脚した多結晶組織形成の大規模シミュレーション
利用課題概要  多結晶材料の諸特性は,その内部組織に強く依存する.多結晶組織を適切に制御し,材料の性能を引き出すためには,製造工程における再結晶・粒成長等の組織発展現象の高精度予測が鍵となる.本研究では,比較的高効率な組織計算が可能な現象論的手法:フェーズフィールド法と,物性値等の入力不要で組織発展を扱える原子論的手法:分子動力学法とをデータ科学により融合し,複数GPU並列計算を併用することで,原子レベルの物理を反映した大規模・定量的な多結晶組織予測を初めて可能とする.さらに,東工大のTSUBAME上で系統的計算を行い,再結晶核生成の支配因子,再結晶・粒成長に伴う結晶方位配向のメカニズムなど, 冶金学の未解決問題の解明を図る. 
組織名 : 東京大学大学院農学生命科学研究科
申請課題名 水圏動物が有する酵素の構造解析
利用課題概要  魚類などの水圏動物の組織に発現する酵素には産業利用が期待されるものが多数ある. しかし,それらの詳細な反応機構については未解明な部分が多く,ゲノム編集による活性の向上や基質特異性の改変において大きな障壁となっている.本課題では,トランスクリプトーム解析で得たmRNA配列から演繹的に推定したアミノ酸配列をもとに立体構造の予測および分子動力学シミュレーションを行い,水圏動物由来酵素の反応機構を明らかにする. 
組織名 : 国立感染症研究所
申請課題名 分子動力学シミュレーションによる新興再興感染症に関する研究
利用課題概要  新型コロナウイルスなどの易変異性ウイルスによる新興・再興感染症は、社会や経済に大きな損失をもたらす。そのため、世界が共有する公衆衛生上の重要課題になっている。我々の研究室では、計算科学により易変異性ウイルスの理解と制御に向けた基礎・応用研究を進めている。、ウイルスの性質は、ウイルスタンパク質の構造により決定される。本研究では、TSUBAMEにおいてAmberによる分子動力学シミュレーションを実施し、変異がウイルスタンパク質の動的性質や宿主因子との相互作用に及ぼす効果を解析する。得られた情報を、病原体の性質変化の分子基盤解明、リスク評価、リスク変異予測、創薬標的同定、ワクチン抗原設計等に活用する。 
組織名 : 豊橋技術科学大学
申請課題名 多様なデータを活用する深層学習モデルの検証
利用課題概要  機械翻訳に有効な深層学習法は,時系列データの予測にも効果を発揮することが分かってきた。申請者は,医薬候補化合物の活性や,新規機能材料の物性の予測にはグラフニューラルネット(GNN),野菜市場価格の予測にRNN/LSTM等の機械学習モデルを適用するなどして,比較的高い予測精度を実現している。本申請課題では,さらに予測精度を向上させるために,多様なデータを大規模に収集し,正当な精査を適用し,最先端の機械学習モデルを検証する。また,精度向上の手がかりとなる新規手法を用いた予測精度の上限の探索も行う予定である。特に,TSUBAMEの特徴であるGPUを活用することで,効率的に検証を進める予定である。 
組織名 : 立命館大学生命科学部
申請課題名 蛋白質天然変性領域の動力学特性に関する計算科学的検討
利用課題概要  蛋白質の天然変性領域は特定の立体構造を持たないにも関わらず様々な重要な機能を担っている。その構造は常に揺れ動いているため、従来の構造生物学的手法ではその分子機構を解析することが困難である。これに対し、分子動力学手法による動力学特性の解析が、分子機構解明に向けた有効な手段となる。一方で、天然変性領域の極めて高い構造自由度は、サンプリングすべき構造アンサンブルを膨大なものとするため、分子動力学法による計算も容易ではない。そこで本研究では独自の手法であるVirtual-system coupled canonical molecular dynamics法(VcMD)を用いてこの問題を解決し、蛋白質天然変性領域の動力学特性の解明を目指す。 
組織名 : 慶應義塾大学自然科学研究教育センター
申請課題名 超流動ヘリウムにおける量子乱流の数値的研究
利用課題概要  超流動とは非粘性の流れのことであり,超低温において量子力学的な効果がマクロに現れた現象である.そのような超流動の非線形・非平衡状態である量子乱流は,低温物理学のみならず,冷却原子気体や中性子星等を横断する重要な現象である.我々は,量子乱流の典型的な系である超流動ヘリウムの量子乱流の研究を行う.量子乱流の長年の未解決問題として,T1-T2遷移とよばれる超流動の2段階乱流遷移がある.その解明には大規模な量子乱流の実現が必要だと考えられている.本課題では, TSUBAMEの性能を活用することで主にそのような大規模量子乱流に取り組みたいと考えている. 
組織名 : 名古屋大学大学院医学系研究科
申請課題名 新規BRCAness 誘導阻害剤開発に向けた理論研究
利用課題概要  Domainfocused CRISPR スクリーニングから得られた合成致死性を示す機能的ドメイン近傍のタンパク質構造を予測し、当該領域に対して⼩関が有する独⾃のin silico 創薬デザイン戦略を適⽤することで、ドメイン活性特異的な新規阻害剤を設計する。この研究の一環として、TSUBAME上で、Alphafold2を用いて様々な候補タンパク質の構造予測と、分子動力学シミュレーションによるタンパク質の生体内分子挙動をサンプリングすることを計画している。 
組織名 : 大阪府立大学大学院工学研究科
申請課題名 粗さを用いた熱・運動量輸送の非相似制御に関する研究
利用課題概要  滑面の乱流熱伝達に関しては,運動量・熱輸送の間に相似性があることが知られている.しかし,表面粗さが出現すると,運動量・熱輸送ともに増大するが,熱輸送に対する運動量輸送の増大が著しく,熱・運動量輸送の相似性が崩壊する.しかし,粗さを用いた伝熱制御に際して,流動抵抗の増加を最小限にしつつ,熱伝達率を最大化することが求められる.つまり,粗さ構造を最適化することで,熱・運動量輸送の非相似性の制御を行う必要がある.本研究では,そのような理想的な粗さ構造を探求するために,粗面の乱流熱伝達に関する直接数値解析を実施し,相似性を表すパラメータであるレイノルズアナロジファクタのスケーリングに関する調査を行う. 
組織名 : 産業技術総合研究所
申請課題名 二酸化炭素の分離回収に適した分離材料の探索
利用課題概要  地球温暖化問題の解決へ向けてカーボンニュートラルを実現するためには、CO2を省エネルギーに分離回収する技術が必須である。分離回収プロセスにおいて、CO2分離材料はプロセス全体の省エネルギー性能を左右する重要な要素である。本利用課題では、CO2分離回収技術を省エネルギー化できるCO2分離材料を、量子化学計算と機械学習の融合により探索する。本研究により探索モデルを確立できれば、CO2分離材料の開発が加速される。 
組織名 : 山形大学大学院理工学研究科
申請課題名 光熱変換機構に関する第一原理計算
利用課題概要  本研究では、第一原理計算をふく射伝熱評価に応用する。固体の外部に任意の周波数をもつ電場・磁場を与えることで、固体に光が照射される場合をモデル化し、その外部電磁場によって駆動される電子分布を計算、それら電子分布によって生み出される原子の運動エネルギーを得る。さらに第一原理に基づいて得られた原子間の力定数と前述の原子間エネルギーから、原子同士の振動をニュートンの運動方程式で計算して、固体内に生じる原子の振動(フォノン)を詳細に計算する。どのような原子の振動が光(電場・磁場)によって生み出され、それらがどのような振動に変化していくかを調べ、光-熱エネルギー変換メカニズムをミクロ的に明らかにする。 
組織名 : 高度情報科学技術研究機構
申請課題名 シアシックニング機構の解明に向けた理論シミュレーション
利用課題概要  ダイラタント現象は剪断刺激に対する流体の応答形態の一つで,遅い剪断刺激には液体のように振る舞う流体が,速い剪断刺激に対しては固体のような抵抗力を示す現象(シアシックニング)である.この性質を持つ材料を衝撃緩衝材や制動装置などへ応用する研究が行われているが,シアシックニングが発現する物理的メカニズムは十分に解明されていないため,適当な材料設計指針が確立していない.本研究では,典型的なダイラタント特性を示す高分子系や粒子懸濁溶液系を対象にして,分子動力学シミュレーションおよび粗視化シミュレーションを行い,分子レベルでの現象解明に取り組む. 
組織名 : 産業技術総合研究所
申請課題名 二酸化炭素の分離回収におけるゼオライト構造の最適化
利用課題概要  カーボンニュートラルの実現には、省エネルギーなCO2分離回収技術が必要である。分離回収プロセスで使用されるCO2分離材料は、CO2分離回収プロセスの省エネルギー性能に大きな影響を及ぼす。本利用課題では、量子化学計算を用いて、CO2分離に適した固体分離材料の構造および組成を探索し、固体CO2分離材料の開発指針の確立を目指す。 
組織名 : 日本大学医学部生体機能医学系薬理学分野
申請課題名 臨床情報統合データベースの機械学習解析
利用課題概要  課題責任者はこれまで構築してきた臨床情報の統合データベースから生活習慣病についての医学的知見を抽出するために機械学習アルゴリズムを開発している.データベースは非常に大規模であり, 効率的な機械学習を行うためには変数選択や事後分布の推定においてアルゴリズム面での大幅な効率化が必要である.課題責任者のグループではこの点でブレイクスルーを与える新手法の開発に成功しており,これを複数GPUを備えた大型計算機上で動作するよう新たに実装し,既存のアルゴリズムと比較検討する.そして,データベースに基づく生活習慣病の薬剤効果判定や疾患進行予測を既存手法を超える精度で行えることを示す. 
組織名 : 新潟工科大学
申請課題名 CFD解析を用いた卓球ボールの空力特性の計算
利用課題概要  本研究では,有限要素法ソフトCOMSOLを用いて,卓球ボール周りの流れをCFD解析することにより,高精度に空力特性計算することを目的としている.本申請では,そのための環境整備及びアプリケーションの利用可能性について調査を行う. 
組織名 : 国立情報学研究所
申請課題名 声のアイデンティティに関する機械学習
利用課題概要   国立情報学研究所山岸研究室では、声のアイデンティティに関係した機械学習の研究を行っている。具体的には、①ある話者の声を別の話者に変換する声質変換、複数話者の声をテキストから合成する音声合成、声の個人性を認識する話者認識等の分野の壁を取り除き、アイデンティティに関する機械学習技術として融合した高度なモデルの検討、②生体認証の安全性と頑健性を高める研究、③音声のプライバシー保護に関する新しい音声処理技術の実現に向けた研究を行っている。本年度も、昨年度同様、音声のアイデンティティの活用と保護を両立させる技術を確立させることを目指し、深層学習による音声合成、話者認識、声質変換、音声強調等の融合研究を行う。 
組織名 : 京都工芸繊維大学材料化学系
申請課題名 アミロイド形成ペプチドの安定構造に関する自由エネルギー解析
利用課題概要   アルツハイマー病やプリオン病に代表されるアミロイド病は、アミロイド線維の形成・沈着によって細胞が破壊されることが原因と考えられている。アミロイド線維形成は、タンパク質のミスフォールディングに始まると考えられる。その後、核となる構造ができると一気に成長して線維化すると考えられているが、初期の成長過程は実験的に捉えることが難しく、計算機シミュレーションに期待が寄せられている。本課題では、分子動力学シミュレーションで自由エネルギーを計算することにより、アミロイド形成ペプチドの安定構造を定量的に評価する。モノマーおよびダイマーの構造をさまざまな外的条件で解析し、構造を決定する因子を明らかにする。 
組織名 : 物質・材料研究機構
申請課題名 第一原理計算による電池・触媒メカニズム解明と新物質探索
利用課題概要   エネルギー・環境問題の解決に向けた蓄電池・触媒の革新的転換に向けて現在多くの研究が進められている。本研究課題では、蓄電池・触媒の電解液—電極界面で起こっている、化学反応、電子移動、イオン輸送、について、精度が担保されている第一原理計算を用いた統計サンプリングを実行することにより、実験では得られることが難しい原子スケール界面過程の解明することを目的とする。その結果をベースに、革新的な蓄電池・触媒材料に向けた条件をより明確化し、実験家に提案することを究極の目標とする。また得られたデータのAI解析による記述子獲得も同時に検討する。 
組織名 : 東京農工大学
申請課題名 メタ分子の光学応答解析
利用課題概要   本課題では、光メタサーフェスの設計に供するための、金属・誘電体ナノ構造の光学的な応答解析を行う。現在、可変金属ナノ構造からなる可視波長域で動作する可変メタサーフェスの開発を進めている。構造の最適化のためには光学特性の計算が必須であるが、必要なメモリが膨大となるため、従来所有していたワークステーションでは十分な計算を行えなかった。そこで、TSUBAME 3.0上でマルチフィジックス計算ソフトを利用することで、本課題の本格的な展開に取り組むことを目的として、申請を行った。2020年度には,昨年度行ったメタ原子の光学応答を発展させ,より複雑なメタ分子系での解析を行う。 
組織名 : 千葉大学大学院薬学研究院製剤工学研究室
申請課題名 計算化学による固体分散体中の薬物とキャリアの相互作用の評価
利用課題概要   固体分散体は難水溶性薬物の溶解性改善する方法として広く研究されている。しかし、分子レベルでの薬物とキャリア間の相互作用は未だ明らかに解明されていない。本課題では、計算化学(主に分子動力学シミュレーション、フラグメント分子軌道法)を用いた固体分散体中の薬物とキャリアーの相互作用形式の質的・量的評価を目的とする。さらに、計算化学による固体分散体の解析法を確立し、計算化学を固体分散体製剤の評価法として新たに提案する。 
組織名 : 電気通信大学
申請課題名 TSUBAME3.0における機械学習のI/Oと電力評価
利用課題概要   本研究課題では,マルチGPU環境において機械学習を行った際のI/Oへの負荷を分析し,I/Oが性能上のボトルネックとなるユースケースを明らかにする.また,近年のHPCシステムの重要な評価指標の1つである消費電力についても評価する. 
組織名 : 埼玉県環境科学国際センター
申請課題名 廃棄物最終処分場における間隙内流体挙動の数値解析
利用課題概要   廃棄物の研究において、埋立地からの浸出水やガスの量を予測し、制御するということは埋立地の設計及び管理における最重要課題である。これら流体の流動挙動は、埋立層間隙の幾何構造と密接な関係があり、間隙内での渦の発生や界面張力等の効果として流動挙動に大きく影響しているものと考えられる。そこで、本利用課題では、間隙の幾何構造に焦点を当て、廃棄物試料から取得したマイクロフォーカスX線CT画像に基づいた間隙内流れの数値シミュレーションを行い、間隙構造の特徴と流れの関連性を明らかにすることにより、埋立地における浸出水・ガスのより高品質な予測制御の実現を目的としている。 
組織名 : 成蹊大学
申請課題名 大規模ソフトウェア分散共有メモリシステムにおける高性能計算の研究
利用課題概要   大規模計算機クラスタシステムにおいて,複数の計算ノードに分散したメモリを一つの大容量共有メモリとして扱うことのできる大規模アドレス空間を実現し,より容易で直感的な並列プログラム開発を可能にするシステムソフトウエアを開発する.これにより,従来のMPIを利用した分散メモリ型アルゴリズムや,配列データに対する静的かつ規則的アクセスだけでなく,グローバルアドレス,ポインタによる巨大グローバルデータの動的アクセスなどを可能にし,新たなアルゴリズムの実装を容易にする. 
組織名 : 千葉工業大学工学部応用化学科
申請課題名 凝集誘起発光についての理論的研究
利用課題概要   近年,希薄溶液中などの分散した状態では蛍光をほとんど出さないが,固体中などの凝集した状態では強く発光するという,これまでにない特異な光物性を示す蛍光色素分子が注目を集めている.テトラフェニルエチルTPEはこのような凝集誘起発光現象を示す代表的な蛍光色素分子であり,溶媒中に分散した状態での蛍光量子収率はほぼゼロだが,凝集して微粒子となった状態では強い蛍光を発する.本研究ではTPEなどの蛍光色素分子が示す凝集誘起発光現象の理論的解析に取り組み,そのメカニズムを明らかにする. 
組織名 : 東北大学大学院情報科学研究科
申請課題名 分子動力学シミュレーションを用いた膜輸送タンパク質の分子機構の解明
利用課題概要   近年のタンパク質立体構造解析技術の発展により、これまで分子構造を得ることが難しかった膜輸送タンパク質について多くのデータが得られるようになってきている。しかし立体構造データから得られる情報は静的なものであり、機能に関わる運動や変異による運動の変化などを議論するには十分でない。そこで、分子動力学シミュレーションを用いることにより、種々の膜輸送タンパク質においてその運動と機能の関係性を変異体シミュレーションなどを通じて理解することを試みる。 
組織名 : 大阪府立大学大学院工学研究科航空宇宙海洋系専攻
申請課題名 損傷船体の縦曲げ最終強度と波浪中安全性評価に関する研究
利用課題概要   船舶が衝突・座礁した場合、漂流あるいは被曳航状態の損傷船が、折損・沈没などの大規模損傷に至るかどうか、あるいは至る場合はそれまでの時間がどうなるかを、海象条件を考慮して、即時に判断する必要がある。本研究では、漂流あるいは被曳航状態の損傷船体について数値解析および水槽試験を行い、波浪中における損傷船体の縦曲げ崩壊挙動を明らかにする。次に、船体を一本の梁に単純化して取り扱う波浪中縦曲げ崩壊挙動解析法を開発し、これと確率論的安全性評価法を組み合わせて、事故時の迅速な安全性判断を支援するシステムを構築する。 
組織名 : 法政大学情報科学部
申請課題名 LRnLAアルゴリズムを用いた物理シミュレーション
利用課題概要   利用課題の一番の目的は、超並列GPUコンピュータ用の新しい時空間局所化アルゴリズムの開発することである。これまで我々のアルゴリズムはメモリバウンド物理シミュレーション問題に既に利用されており、これには、ステンシルスキームなどのローカル依存関係を持つ数値スキームを用いることで様々な課題を解決してきた。これをさらに進めるためには、計算が処理順序やデータアクセス局所性、メッセージ通過速度などの更に多くの要因を考慮し、アルゴリズムの改良、検討を行う必要がある。研究対象を拡大することでLRnLA法のアルゴリズムを改良していくことが我々の研究テーマである。 
組織名 : 情報通信研究機構ユニバーサルコミュニケーション研究所
申請課題名 HPCを利用した自然言語処理技術の研究
利用課題概要   情報通信研究機構 ユニバーサルコミュニケーション研究所データ駆動知能システム研究センターでは、Web 等に存在する大量のテキストを深く意味的に分析し、情報の価値ある組み合わせや価値ある仮 説を柔軟な入力を元に提示できる技術を開発している。こうした技術の開発には先進的な言語処 理技術と膨大な言語資源が必要となるほか、近年では深層学習ベースの言語処理技術が急速に進歩・ 複雑化しており、その研究開発には多数の GPU が不可欠である。本課題では、TSUBAME 3.0 が持つ GPU を最大限活用して自然言語向けニューラルネットワークの研究開発を加速するとともに、GPU 並列化 による深層学習ベース言語処理の高速化のための基盤技術開発に取り組む。 
組織名 : 電気通信大学
申請課題名 プロファイルおよびトレースのスケーラビリティ予測に関する研究
利用課題概要   本研究課題では,並列アプリケーションのプロファイル,ならびに,通信トレースのスケーラビリティ予測に関する研究を行う. 
組織名 : 広島大学大学院先進理工系科学研究科
申請課題名 二次制約無し二値最適化の古典計算機による高速解法
利用課題概要   量子コンピュータの一方式である量子アニーリングは,あらゆる組み合わせ最適化問題を二次制約無し二値最適化問題またはイジングモデルに変換することで高速に解くことが報告されている。しかし現在の量子コンピュータで解ける問題のサイズは限られており,また最適解を必ず得るという保証がないのが現状である。現在,GPUを搭載した古典計算機において効率的なアルゴリズムと並列計算を用いることで,より大きいサイズの問題を量子コンピュータと同等以上の速度・精度で解く研究を進めている。TSUBAME3.0の計算資源を活用することで,古典計算機における組み合わせ最適化問題の解法を限界まで高速化することを目指す。 
組織名 : 長岡工業高等専門学校
申請課題名 ヒト血清アルブミン-薬剤複合体構造の網羅的解析
利用課題概要   環状ペプチドのアルブミン結合能の低さは医薬品として仕上げる際に問題となっている。しかし、環状ペプチドのアルブミンへの結合能を改善する具体的方法は未だ提案されていない。この問題を解決するために、本課題ではアルブミンに結合することが知られている化合物の構造的特徴を明らかにすることを目的とする。Protein Data Bankに登録されているアルブミンと化合物の複合体構造94種類を対象とし、分子動力学シミュレーションおよび相互作用解析の結果に基づき、アルブミンとの結合に重要となる構造的特徴を明らかにする。 
組織名 : 国立感染症研究所
申請課題名 分子動力学シミュレーションによる新興再興感染症の研究
利用課題概要   新型コロナウイルスなどの易変異性病原体が引き起こす、新興・再興感染症は社会や経済に大きな損失をもたらす。そのため、世界が共有する公衆衛生上の重要課題になっている。我々の研究室では、計算科学により易変異性ウイルスの理解と制御に向けた基礎・応用研究を進めている。ウイルス分子の構造は、ウイルスの性質を決定する。本研究では、TSUBAMEにおいてAmberによる分子動力学シミュレーションを実施し、変異が分子の動的構造や相互作用能に及ぼす効果を解析する。得られた情報を、病原体の性質変化の分子基盤解明、リスク評価、リスク変異予測、創薬標的同定、ワクチン抗原設計等に活用する。 
組織名 : 九州大学応用力学研究所
申請課題名 液体金属流れCFD手法の開発及び核融合研究への応用
利用課題概要   We plan to use TSUBAME to carry out simulations for testing and validation of GPU-accelerated, high-order CFD code for solving large-scale, free surface incompressible flows. The simulations aim to test the accuracy and computational efficiency and scaling of the code for problems, involving large meshes and high-order polynomial basis.  
組織名 : 国立研究開発法人情報通信研究機構
申請課題名 GPUクラスタを用いたミリ波帯大規模広帯域電波伝搬シミュレーション
利用課題概要   ミリ波帯における電波は他の周波数帯と比較して,電波の直進性が大きく,見通し伝搬の形態が多い。しかし,ひとたび電波伝搬のフレネルゾーン内に該当帯域電波の吸収体・散乱・反射体などが存在すると,受信電力の予測手法の複雑さが増大し,不確かさが大きくなる。そこで,本研究では,様々な伝搬環境(地表上・室内など)におけるミリ波帯広帯域電波の受信電力を高精度に予測するために,大規模電磁界シミュレーションを新たに開発する。加えて,地面やコンクリートなどの広帯域な電磁的分散特性を考慮できるようにする。 
組織名 : 東京大学大学院医学系研究科
申請課題名 ヒト抗体における構造多様性の網羅的解析
利用課題概要   Bリンパ球ではあらゆる抗原に対応するため、同一個体内においても多様なDNA配列を持つ抗体(免疫グロブリン)を産生する。抗体の多様性を把握することは液性免疫を理解する上で重要な手がかりの一つである。しかしながら、一個体が作り出す抗体の構造多様性、および複数個体間における抗体の構造多様性がどの程度であるのかに関しては、多くの計算資源を利用することもあり、未だにほとんど知られていない。本課題では、申請者の研究室がシングルセルシークエンス技術を用いて取得したヒト抗体アミノ酸配列をもとに、多数の抗体の構造を分子動力学シミュレーションによって解析し、その構造多様性を把握することが目的である。 
組織名 : 豊橋技術科学大学
申請課題名 多様なデータを活用する深層学習モデルの検証
利用課題概要   機械翻訳に有効な深層学習法は,時系列データの予測にも効果を発揮することが分かってきた。申請者は,医薬候補化合物の活性や,新規機能材料の物性の予測にはグラフニューラルネット(GNN),野菜市場価格の予測にRNN/LSTM等の機械学習モデルを適用するなどして,比較的高い予測精度を実現している。本申請課題では,さらに予測精度を向上させるために,多様なデータを大規模に収集し,正当な精査を適用し,最先端の機械学習モデルを検証する。特に,TSUBAMEの特徴であるGPUを活用することで,効率的に検証を進める予定である。 
組織名 : 東京大学空間情報科学研究センター
申請課題名 高解像度画像を使った広域の家屋及び道路の深層学習による自動判別システムの開発(4)
利用課題概要   社会基盤情報として人口分布,交通ネットワークの整備は必須であるが,途上国,僻地の情報基盤の整備は乏しい状況にある。オープンな利用が広まりつつある高解像度衛星画像から機械学習,ディープラーニングなどの手法で家屋や道路ネットワークを自動検出し、地図データと利用することによる広域・社会基盤情報の整備に寄与する。 
組織名 : 東北大学大学院工学研究科応用物理学専攻
申請課題名 革新的4次元イメージング法:生体分子構造変化の高解像度解析への挑戦
利用課題概要   低温電子顕微鏡実験データから、生体分子の連続的な構造変化を可視化する革新的技術(4次元イメージング法)を確立する事を目的として研究を行う。4次元イメージングは、低温電子顕微鏡実験と分子動力学シミュレーションをハイブリッドする事で実現する。本研究では、低温電子顕微鏡実験を想定した計算機実験を行い、4次元イメージングが正しく出来るかを議論する。本研究で4次元イメージング法を確立し、次の段階で実際の低温電子顕微鏡実験データに適用する。 
組織名 : 大阪府立大学工学研究科
申請課題名 フラクタル構造を有する粗さ面の乱流熱流動の大規模直接数値解析
利用課題概要   壁面に設置された粗さは流体の混合を促進させ,運動量・熱・物質輸送を大幅に増大させることが知られており,人工的な粗さを設置することで伝熱機器の性能を向上させる取り組みが古くから行われてきた.これまで単一スケールの粗さを用いることが一般的だったが,本研究では,自然界などに広くみられるフラクタル構造に着目し,複数スケールの自己相似構造を有するフラクタル構造粗さを用いた伝熱促進技術の開発を行う.これらの性能評価は,複数GPU解析に対応した格子ボルツマン解析コードを用いた乱流熱伝達の直接数値解析により行うとともに,フラクタル構造粗さが熱流動特性に与える影響を詳細に議論し,フラクタル性の有用性を調査する. 
組織名 : 大阪府立大学工学研究科
申請課題名 電気コイル隙間内に流れ込む冷却液挙動に関する大規模数値解析
利用課題概要   電気コイルの徐熱問題として,非電気伝導性の冷却液を流下する方法がとられる.しかしながら狙い通りに流体が電気コイルの隙間を通過して流下しているかは経験則に依存しており,適切に冷却できているかは不明である.本課題では複雑形状を模擬できる格子ボルツマンによる二相流解析手法を用いて電気コイルのような小さな隙間を冷却液が滞りなく通過できる条件を模索することを目的とする. 
組織名 : 新潟大学工学部工学科
申請課題名 揺動電磁気シミュレーションを用いた光放射現象に関する研究
利用課題概要   半導体発光素子(light emitting diode : LED)を用いた Thermophotonics(TPX)発電システムの数値解析を行う.TPX発電システムとは,LEDでの発光エネルギーをPVセルで受光し,発電しながらその一部のエネルギーをLED駆動に回すことで継続的に発電が可能となるデバイスである.しかし,現状ではTPX発電システムに最適な半導体・デバイス構造や熱力学的性質について十分に理解が進んでおらず,実現のためには揺動電磁気シミュレーションにより,半導体デバイスおよび熱力学的な数値設計および現象の解明を行う必要がある. 
組織名 : 東京大学工学系研究科機械工学専攻
申請課題名 階層性構造を有する生体有機材料の熱輸送メカニズムの解明
利用課題概要   セルロースやカーボンナノチューブなどをベースとするファイバーや薄膜などの生体有機バルク材料は高断熱エアロゲルやフレキシブル熱電変換などへの応用が期待されている.このようなバルク材の熱伝導は構成要素単体・構成要素の集合体の内部および間など,各階層における熱輸送特性によって決定される.本研究では分子動力学法や格子動力学法などの分子シミュレーションを用いて,各階層と階層間の熱輸送メカニズムを明らかにすることで,材料全体の熱伝導特性を評価するとともに,高・低熱伝導率化など工学的価値の高い熱機能化を実現するための構造設計指針を得ることを目的とする. 
組織名 : 東京理科大学大学院理工学研究科
申請課題名 不動態皮膜の物性に関する量子化学計算
利用課題概要   高pH環境下の鉄が生成する不動態皮膜は組成の詳細が明らかでなく,その生成・破壊機構の理解の妨げになっている.申請者や他研究者の既往の成果で,不動態皮膜の密度や分子結合性,厚さ等の各種物性は不動態皮膜の生成機構に対しても破壊機構に対しても重要なパラメーターであることが明らかとなっている。本利用課題は,量子化学計算により,不動態皮膜の電気伝導度や静電ポテンシャル,構造最適化等を行い,上記のような不動態皮膜の物性を把握することで,不動態皮膜の本質に迫るものである。 
組織名 : 国立情報学研究所
申請課題名 ニューラルネットワークに基づく音声合成
利用課題概要   近年,ニューラルネットワークを用いることで,テキストから音声波形を生成する音声合成の性能は大幅に向上している。テキストから音響特徴量を予測させるだけでなく、音声波形そのものを非線形自己回帰させること、もしくは、音声波形を雑音系列へ可逆変換させることにも複雑なニューラルネットワークを用いており、計算機パワーが研究を進める上で欠かせない。さらに、音声生成と自然言語処理ネットワークが統合されたネットワークも検討されおり、GPUの処理演算が非常に重要である。本課題では最先端の音声合成のニューラルネットワーク構造について検討するだけでなく、音声合成における複数話者同時モデリング,未知話者への適応技術,多言語を同時にモデル化・生成する枠組み,End-to-end学習にも取り組み、Audio-visualモデルだけでなく、エンターテイメント分野およびセキュリティ分野といった境界領域へも応用する。 
組織名 : 大阪大学大学院基礎工学研究科
申請課題名 ハイドロゲル保水性発現機構の分子論的解明
利用課題概要   三次元網目構造の内部に水を蓄えたハイドロゲルは、加圧に対して水を離さない優れた保水性を示すことから高吸水性製品に幅広く応用されている。このような保水性を示す分子論的機構には未解明な部分が多い。そこで、本研究課題では分子動力学シミュレーションを用いた保水性発現機構の解明を目指す。自由エネルギー計算などの熱力学的安定性や水素結合ネットワーク構造などの静的性質の解析と、水分子の輸送物性などの動的性質の解析の両輪を用いて考察を行う。 
組織名 : 東京農工大学
申請課題名 メタサーフェスの光学応答解析
利用課題概要   本課題では、光メタサーフェスの設計に供するための、金属・誘電体ナノ構造の光学的な応答解析を行う。現在、可変金属ナノ構造からなる可視波長域で動作する可変メタサーフェスの開発を進めている。構造の最適化のためには光学特性の計算が必須であるが、必要なメモリが膨大となるため、従来所有していたワークステーションでは十分な計算を行えなかった。そこで、TSUBAME 3.0上でマルチフィジックス計算ソフトを利用することで、本課題の本格的な展開に取り組むことを目的とする。 
組織名 : 情報通信研究機構ユニバーサルコミュニケーション研究所
申請課題名 HPCを利用した自然言語処理技術の研究
利用課題概要   情報通信研究機構 ユニバーサルコミュニケーション研究所データ駆動知能システム研究センターでは、Web 等に存在する大量のテキストを深く意味的に分析し、情報の価値ある組み合わせや価値ある仮 説を柔軟な入力を元に提示できる技術を開発している。こうした技術の開発には先進的な言語処 理技術と膨大な言語資源が必要となるほか、近年では深層学習ベースの言語処理技術が急速に進歩・ 複雑化しており、その研究開発には多数の GPU が不可欠である。本課題では、TSUBAME 3.0 が持つ GPU を最大限活用して自然言語向けニューラルネットワークの研究開発を加速するとともに、GPU 並列化 による深層学習ベース言語処理の高速化のための基盤技術開発に取り組む。 
組織名 : 筑波大学計算科学研究センター
申請課題名 ノードローカルバーストバッファの研究
利用課題概要   計算ノードのローカルストレージを活用したシステムソフトウェアの研究を行う。計算ノードのローカルストレージはジョブの割当時間しか利用することができないが、計算ノードからの高速なストレージアクセスが可能であり、うまく利用することによりストレージアクセスのボトルネックを解消することができると考えられる。さらに、並列ファイルシステム、HPCI共用ストレージとの連携を図る。 
組織名 : 国立感染症研究所病原体ゲノム解析研究センター
申請課題名 新興再興感染症研究への分子動力学シミュレーションの応用
利用課題概要   易変異性病原体が引き起こす新興・再興感染症は、社会・経済に大きな損失をもたらす。世界が共有する公衆衛生上の重要課題になっている。我々の研究室では、コンピュータの助けを借りながら易変異性ウイルスの理解と制御に向けた基礎・応用研究を進めている。ウイルス分子の構造は、ウイルスの性質を決定する。そこで本研究では、TSUBAMEのAmberを用いて分子動力学シミュレーションを実施し、変異が分子の動的構造や相互作用能に及ぼす効果を解析する。得られた情報を、病原体の性質変化の分子基盤解明、リスク評価、リスク変異予測、創薬標的同定、ワクチン抗原設計等に活用する。 
組織名 : 東北大学材料高等研究所
申請課題名 マルチGPUによる心血管系の血流の数値シミュレーション
利用課題概要   安定化有限要素法は、複雑な境界形状を持つ領域での3次元非圧縮性Navier-Stokes方程式の数値計算に広く用いられているが、そのGPUによる高速化には、実装上いまだ困難な点が多い。そこで本研究課題ではマルチGPUによる大規模計算が行えるTSUBAMEの計算機環境を利用し、安定化有限要素法による3次元非圧縮性Navier-Stokes方程式のマルチGPU並列解法を構築し、心血管系における血流シミュレーションについての評価を行う。 
組織名 : 理化学研究所革新知能統合研究センター
申請課題名 近似ベイズ推定を用いた分散並列深層学習
利用課題概要   深層学習では、ノイズが多く不完全で欠損のあるデータを用いて汎化性能の高いモデルを学習することが最大の課題である。近似ベイズ推定は従来の点推定による深層学習とは異なり、不確かさを含めて学習することでデータが少なかったり、ノイズが多かったり、欠損があったりする場合にも高い汎化性能を保ちつつ正しく学習することができる。ただし、近似ベイズ推定による深層学習は計算コストが高く、膨大な計算資源を要する。そこで、本研究ではTSUBAME3.0を用いることで、従来では不可能であった実用規模での近似ベイズ推定による学習を行うことを目的とする。 
組織名 : 物質・材料研究機構
申請課題名 第一原理計算による電池・触媒メカニズム解明と新物質探索
利用課題概要   エネルギー・環境問題の解決に向けた蓄電池・触媒の革新的転換に向けて現在多くの研究が進められている。本研究課題では、蓄電池・触媒の電解液—電極界面で起こっている、化学反応、電子移動、イオン輸送、について、精度が担保されている第一原理計算を用いた統計サンプリングを実行することにより、実験では得られることが難しい原子スケール界面過程の解明することを目的とする。その結果をベースに、革新的な蓄電池・触媒材料に向けた条件をより明確化し、実験家に提案することを究極の目標とする。また得られたデータのAI解析による記述子獲得も同時に検討する。 
組織名 : 大阪府立大学
申請課題名 ボルテックスジェネレータ周りの熱流動直接数値解析
利用課題概要   近年の数値解析・実験技術の進化により,高度な流体制御が可能になりつつある.その1つであるボルテックスジェネレータ(VG)は,航空機・自動車などの空力性能の向上のために使用されるほか,内燃機関のシリンダー内や熱交換器内部の熱流動を制御する方法としての応用が期待されている.工学的には,乱流モデルを用いて,複数のVGの並ぶ壁面での熱流動を低コストに予測することが求められるが,VGの並ぶ壁面での乱流熱流動に関する知見は少なく,壁関数法を含む乱流モデルの開発は十分には進められていないのが現状である.本研究では,複数のVGの並ぶ壁面での直接的な熱流動解析を行い,基礎データの蓄積を目的とする. 
組織名 : 法政大学情報科学部
申請課題名 LRnLAアルゴリズムを用いた物理シミュレーション
利用課題概要   利用課題の一番の目的は、超並列GPUコンピュータ用の新しい時空間局所化アルゴリズムの開発することである。これまで我々のアルゴリズムはメモリバウンド物理シミュレーション問題に既に利用されており、これには、ステンシルスキームなどのローカル依存関係を持つ数値スキームを用いることで様々な課題を解決してきた。これをさらに進めるためには、計算が処理順序やデータアクセス局所性、メッセージ通過速度などの更に多くの要因を考慮し、アルゴリズムの改良、検討を行う必要がある。研究対象を拡大することでLRnLA法のアルゴリズムを改良していくことが我々の研究テーマである。 
組織名 : 東京大学工学系研究科
申請課題名 X線多波回折現象の計算機シミュレーション
利用課題概要   筆者は,これまで,X線多波回折現象の研究を行ってきた。高木-トウパンの式をはじめて多波ケースに拡張し,これの解を得るプログラムを開発してきた。シリコン結晶を用いた実験と計算機シミュレーションの結果は極めてよく一致する。さらに最近,これと等価なエバルト-ラウエ理論の計算結果を高速フーリエ変換することによっても,同等な計算結果が得られることを示した。タンパク質結晶に対するR因子(信頼性因子)が大きすぎることに関して,100年来用いられてきた2波近似が破れていることが原因だという仮説を立てており,2波近似理論の代わりに多波近似を用いることにより,この仮説を検証することを目指す。 
組織名 : 自然科学研究機構アストロバイオロジーセンター / 国立天文台
申請課題名 近赤外線を利用する色素の探索
利用課題概要   本研究課題では、近赤外光を利用する光合成色素を理論的に探索・提案する。より赤い光を有効利用する色素は色素増感太陽電池やバイオイメージングなどの分野でも重要性が高まっている。さらには、近年の天体観測のターゲットである低温の恒星周りの惑星において、実現可能な光合成にも有意義な示唆を与える。本課題では、クロロフィルなどの光合成色素を出発点とし、人工色素の物性を評価して、より長波長の光を光合成に利用できる色素分子を探す。 
組織名 : 東京大学空間情報科学研究センター
申請課題名 高解像度画像を使った広域の家屋及び道路の深層学習による自動判別システムの開発(3)
利用課題概要   社会基盤情報として人口分布,交通ネットワークの整備は必須であるが,途上国,僻地の情報基盤の整備は乏しい状況にある。オープンな利用が広まりつつある高解像度衛星画像から機械学習,ディープラーニングなどの手法で家屋や道路ネットワークを自動検出し、地図データと利用することによる広域・社会基盤情報の整備に寄与する。 
組織名 : 豊橋技術科学大学
申請課題名 機能物性解析のための計算科学技術の開発
利用課題概要   ソフトクリスタルをはじめとする新奇物質群は、例えば,蒸気にさらす、擦る,曲げるなどの弱い刺激によって結晶構造が遷移し,主に発光や光学特性などの機能物性が変化する。その結晶多形や準安定構造の間の遷移を制御することによって、これまで存在しなかった革新的な物質機能を創造することが期待される。本利用課題では,こうした新奇現象の機能物性を解析するための基盤となる計算科学技術を開発する。特に,TSUBAMEの特徴を活用し,GPUを用いた機械学習による物性解析,大規模構造データベースを用いた経験的ポテンシャルの開発,および立体配座データベースの自動構築とそこから得たビッグデータ解析に取り組む。 
組織名 : 電気通信大学
申請課題名 TSUBAME3.0におけるTensorFlowアプリケーションの性能評価
利用課題概要   本研究課題では,マルチGPU環境において種々のTensorFlowアプリケーションを実行した際のコア,通信,メモリ,I/O等への負荷を分析し,性能上のボトルネックを明らかにする. 
組織名 : 長岡工業高等専門学校
申請課題名 分子動力学シミュレーションを用いた抗関節リウマチ分子標的薬の設計
利用課題概要   関節リウマチの原因タンパク質としてProtein Arginine Deiminase 4(以下、PAD4)が同定されている。PAD4選択的阻害剤の開発には、PAD4とのアミノ酸配列一致度が50%を超えるアイソザイムとの基質認識機構の違いを明らかにする必要がある。本研究では、PAD4-阻害剤複合体とアイソザイム-阻害剤複合体に対して分子動力学シミュレーションを行い、基質認識機構に影響を与えるアミノ酸残基の同定を行う。シミュレーションの結果同定された重要残基との相互作用様式に基づいて新規PAD4選択的阻害剤の設計を試みる。 
組織名 : 国立研究開発法人防災科学技術研究所
申請課題名 GPGPUによる巨大地震の長周期地震動シミュレーション
利用課題概要   南海トラフ,糸魚川静岡構造線,上町断層帯といった主要な海溝型地震や活断層地震を対象として,最大で九州から関東地方全体を含む領域で三次元差分法による地震波伝播シミュレーションを実施し,周期1-2秒以上の長周期地震動を計算する.シナリオ地震の震源モデルの不確実性を考慮した多数のシナリオケースについてシミュレーションを実施し,各種地震動指標の分布とそのばらつきを求めて地震動ハザード評価を行う. シミュレーションに用いるソフトウェアであるGMSはTSUBAMEのGPU環境に対応させており,高速・安定に計算可能である. 
組織名 : 千葉大学大学院薬学研究院製剤工学研究室
申請課題名 計算化学による固体分散体中の薬物とキャリアの相互作用の評価
利用課題概要   固体分散体は難水溶性薬物の溶解性改善する方法として広く研究されている。しかし、分子レベルでの薬物とキャリア間の相互作用は未だ明らかに解明されていない。本課題では、計算化学(主に分子動力学シミュレーション、フラグメント分子軌道法)を用いた固体分散体中の薬物とキャリアーの相互作用形式の質的・量的評価を目的とする。さらに、計算化学による固体分散体の解析法を確立し、計算化学を固体分散体製剤の評価法として新たに提案する。 
組織名 : 京都大学福井謙一記念研究センター
申請課題名 サブナノ粒子の構造及び性質に関する理論的研究
利用課題概要   サブナノ粒子は粒径1 nm前後の極小粒子であり、バルクやナノ粒子とは全く異なる光学・磁気・触媒特性を有することが知られている。本課題では、「構成原子数がわずかに異なるだけで著しく物性が変化する」というサブナノ粒子の特性に着目し、既存材料を凌駕する機能性クラスターの精密設計を行う。具体的には、密度汎関数理論やポストハートリーフォック法を用いて、様々なサブナノ粒子の分子構造とスピン状態を決定し、分光スペクトルのシミュレーションや触媒機能解析などを行う。 
組織名 : 京都大学福井謙一記念研究センター
申請課題名 ダイヤモンドNV中心の励起状態に関する理論的研究
利用課題概要   時間依存密度汎関数理論を用いて、ダイヤモンド窒素空孔中心(NV center)の励起状態計算を行い、電子構造や振動構造の観点から、NV centerの特異な蛍光特性の起源を解明する。さらに、NV center含有ナノダイヤモンドの形状やサイズ、またNV center周辺の不純物や欠陥の有無が蛍光特性に及ぼす影響についても理論的に明らかにする。 
組織名 : 大阪府立大学工学研究科
申請課題名 流動摩擦抵抗予測法の構築に向けた粗面乱流直接数値解析
利用課題概要   壁面に接する流動現象に関して,壁面が流体力学的に滑らかであることは稀で,実際には粗さの影響を受ける.例えば,船底への海洋生物の付着,内燃機関内部の不燃物の付着などにより,設計時からの性能低下が起きることが知られている.一般に,粗面に生じる摩擦抵抗の大きさは,粗面の代表長さに加えて,粗さの配置や形態などにも左右される.ランダム粗面においては,粗面要素の確立分布や波長などが重要であると報告されており,これらの影響を個々に調べた研究は存在するが,その複合的な影響について調査された例は少ない.本研究では,摩擦抵抗の予測式の精度向上のために,粗面乱流の直接的な数値解析を行い,その複合的な影響を調査する. 
組織名 : 熊本大学
申請課題名 深層学習による高解像度化手法の水文学への応用
利用課題概要   近年,豪雨・洪水や渇水が世界各地で甚大化・頻発化している.また,地球温暖化の影響により今後甚大化・頻発化がさらに進む可能性が様々な研究により示唆されている.そのため,それらの事象を扱う水文学の重要性が増している.しかしながら,既存の手法では現在様々な要因により解析精度・予測精度に限界がある.そこで,近年発展が著しい深層学習に注目する.本課題においては,特に深層学習による高解像度化手法に注目し,水文学における諸問題に適用する. 
組織名 : 神戸大学海洋底探査センター
申請課題名 損傷船体の縦曲げ最終強度と波浪中安全性評価に関する研究
利用課題概要   船舶が衝突・座礁した場合、漂流あるいは被曳航状態の損傷船が、折損・沈没などの大規模損傷に至るかどうか、あるいは至る場合はそれまでの時間がどうなるかを、海象条件を考慮して、即時に判断する必要がある。本研究では、漂流あるいは被曳航状態の損傷船体について数値解析および水槽試験を行い、波浪中における損傷船体の縦曲げ崩壊挙動を明らかにする。次に、船体を一本の梁に単純化して取り扱う波浪中縦曲げ崩壊挙動解析法を開発し、これと確率論的安全性評価法を組み合わせて、事故時の迅速な安全性判断を支援するシステムを構築する。 
組織名 : 東京大学大学院医学系研究科
申請課題名 抗体の安定性解析のための分子動力学シミュレーション
利用課題概要   リンパ球の抗体(免疫グロブリン)は多様な抗原に対応できるよう、同一個体内の各クローンで異なるDNA配列を持ち多様な構造のものが作られる。抗体の構造多様性の程度を把握するために、立体構造をシミュレーションによって推定することは重要なアプローチのひとつであるが、多くの抗体の配列から構造を推定するには比較的長時間でのシミュレーションが重要であり、そのために多くの計算リソースが必要である。本課題では抗原受容体の結晶構造情報等をもとに多くの種類の抗体の構造を分子動力学計算等のシミュレーションによって解析し、抗体の構造多様性を把握することが目的である。 
組織名 : 成蹊大学
申請課題名 高性能計算向け分散メモリ・ストレージ統合システムの研究
利用課題概要   現在、高性能計算において性能上大きなボトルネックになっているメモリアクセスについて、1ノードの物理メモリサイズを超えるような大容量なデータに対しても高性能な処理を可能にする記憶システムの構築を目的とする。各ノードにあるメモリ(DRAM)やストレージ(Flash SSD),さらに複数ノードに分散した記憶資源を統合的に扱うためのソフトウエアシステム,並列処理モデルや,典型的科学技術計算向けに効率的メモリ利用を行うアルゴリズムの設計,実装実験、性能評価を行う。 
組織名 : 東京大学大学院工学系研究科
申請課題名 高性能ポリマーエレクトレット材料の開発
利用課題概要   エレクトレットとは電荷を半永久的に保持させた誘電体である.エレクトレット振動発電器は身の周りの振動を静電誘導により電気に変換することができ,省電力デバイスの動力源として注目を浴びている.発電器の性能はエレクトレット材に強く依存し,より多くの電子を安定的に保持できる材料を導入することで性能を大幅に向上させることができる.本研究では,環境発電器のための高性能エレクトレッと材料の開発を目標とする.エレクトレットの電子トラップ状態は分子動力学シミュレーションによる分子系の再現と,帯電分子の量子化学計算によって解析することができる. TSUBAMEの利用においては,量子化学計算を用いたポリマー材料の電子トラップエネルギーおよび電荷分布の解析を行う. 
組織名 : 埼玉県環境科学国際センター
申請課題名 廃棄物最終処分場における間隙内流体挙動の数値解析
利用課題概要   廃棄物の研究において、埋立地からの浸出水やガスの量を予測し、制御するということは埋立地の設計及び管理における最重要課題である。これら流体の流動挙動は、埋立層間隙の幾何構造と密接な関係があり、間隙内での渦の発生や界面張力等の効果として流動挙動に大きく影響しているものと考えられる。そこで、本利用課題では、間隙の幾何構造に焦点を当て、廃棄物試料から取得したマイクロフォーカスX線CT画像に基づいた間隙内流れの数値シミュレーションを行い、間隙構造の特徴と流れの関連性を明らかにすることにより、埋立地における浸出水・ガスのより高品質な予測制御の実現を目的としている。 
組織名 : 物質・材料研究機構
申請課題名 第一原理計算と反応速度論による触媒活性予測技術の確立
利用課題概要   本利用課題では、資源の有効利用を目指すうえで近年注目が高まっているメタン転換反応やアンモニア合成反応に対して有効な触媒を探索するため、第一原理計算と反応速度論を駆使した触媒活性予測技術の確立を目指す。TSUBAMEの利用によって、計算のボトルネックとなる第一原理計算を実行し、多くの素反応過程を検討することで精緻な反応メカニズムの検討が可能となり、触媒材料探索において高い有効性が期待できる。 
組織名 : 国立感染症研究所感染病理部
申請課題名 抗インフルエンザウイルス広域中和抗体のエスケープ変異株由来表面糖タンパク質の構造解析
利用課題概要   季節性インフルエンザ、および鳥インフルエンザの流行は社会に大きな損失をもたらす。我々は、より有効性の高いインフルエンザワクチンや抗体医薬の開発を目指している。これまでに、感染者由来の抗HA広域中和抗体F11を単離し、その耐性変異を同定した。平成29年度は、TSUBAMEのAmberを用いて耐性変異がHAタンパク質の構造に与える効果を調べ、F11の中和エピトープを推定した。本年度は、ウイルス粒子上のHA分子を模倣する糖鎖付加型HA三量体モデルを構築し、耐性変異の効果を調べることで、広域中和抗体による中和の仕組みと変異による中和回避の仕組みの理解を深める。 
組織名 : 国立感染症研究所病原体ゲノム解析研究センター
申請課題名 HIVエンベロープタンパク質の分子動力学解析
利用課題概要   ヒト免疫不全ウイルス(HIV)は、致死的感染症エイズの病原として公衆衛生上の重要な研究対象になっている。我々を含む複数の研究グループの研究により、HIV粒子表面上のエンベロープ蛋白質は三量体を形成することで主要中和エピトープを遮蔽することが知られている。しかし遮蔽構造の発現・維持の分子メカニズムは未だ明らかにされていない。そこで本研究では、TSUBAMEのAmberを用いてエンベロープ蛋白質三量体の分子モデルを構築し、その動的性質を調べることにより、抗体中和逃避能を司る構造基盤を解明する。 
組織名 : 国立感染症研究所病原体ゲノム解析研究センター
申請課題名 EV-A71カプシドタンパク質の分子動力学解析
利用課題概要   エンテロウイルスA71(EV-A71)は、小児の神経症の病原として公衆衛生上の重要な研究対象になっている。国立感染症研究所と東京都医学総合研究所の研究グループの研究により、EV-A71粒子表面上のカプシド蛋白質VP1の145番目のアミノ酸残基が変異すると、受容体親和性、抗体感受性、病原性など多様な生物活性が同時に変化することが知られている。しかし分子メカニズムは未だ全く明らかにされていない。そこで本研究では、TSUBAMEのAmberを用いてカプシド構成単位(VP1, VP2, VP3, VP4複合体)の分子モデルを構築し、変異がその構造に及ぼす影響を調べることにより、ウイルス学上の謎を解明する。 
組織名 :
申請課題名 HIV Pr55Gagタンパク質全長の分子モデリングと分子動力学解析
利用課題概要   HIV Pr55Gagタンパク質は、多機能タンパク質である。HIV感染細胞において、種々の因子と相互作用しながら細胞膜に特異的に輸送・係留され、そこでウイルス粒子の他の部品(ゲノム、外被タンパク質、脂質二重層)の集合、感染性ウイルス粒子の形成、発芽を推進する。しかし、Pr55Gagの異なる機能がなぜ順序だって進むのかは、HIV発見後35年あまり経た現在もほとんどわかっていない。主な原因の一つに、Pr55Gag全長構造情報の欠如がある。そこで本研究では、TSUBAMEを利用した分子動力学解析を用いることにより、ウイルス学上の謎の解明を試みる。 
組織名 : 東北大学材料科学高等研究所
申請課題名 マルチGPUを用いた心血管系における血流の数値シミュレーション
利用課題概要   安定化有限要素法は、複雑な境界形状を持つ領域での3次元非圧縮性Navier-Stokes方程式の数値計算に広く用いられているが、そのGPUによる高速化には、実装上いまだ困難な点が多い。そこで本研究課題ではマルチGPUによる大規模計算が行えるTSUBAMEの計算機環境を利用し、安定化有限要素法による3次元非圧縮性Navier-Stokes方程式のマルチGPU並列解法を構築し、心血管系における血流シミュレーションについての評価を行う。 
組織名 : 慶應大学自然科学研究教育センター
申請課題名 超対称ゲージ理論のGPUプログラムの開発
利用課題概要   二次元と四次元の極大超対称ゲージ理論のGPUでのシミュレーションコードを開発する。具体的には花田が松浦氏(慶應大学)、杉野氏(韓国IBS)と共同で提案した格子正則化を用いる。 
組織名 : 東京大学空間情報科学研究センター
申請課題名 高解像度画像を使った広域の家屋及び道路の深層学習による自動判別システムの開発(2)
利用課題概要   社会基盤情報として人口分布,交通ネットワークの整備は必須であるが,途上国,僻地の情報基盤の整備は乏しい状況にある。オープンな利用が広まりつつある高解像度衛星画像から機械学習,ディープラーニングなどの手法で家屋や道路ネットワークを自動検出し、地図データと利用することによる広域・社会基盤情報の整備に寄与する。 
組織名 : 京都大学大学院情報学研究科
申請課題名 知識に基づく構造的言語処理の確立と知識インフラの構築
利用課題概要   テキストは、専門家によるデータの分析結果や解釈、ステークホルダーの批判・意見などが表出されたものであり、人間の知識表現の根幹である。テキストとして表現された知識を計算機によって抽出・関連付けすることができれば、社会における知識循環を円滑化し、異なる分野間での知識の相互関連性の発見や、新しい知識・法則の発見を支援することが可能となる。言語処理はウェブをはじめとする大規模テキストの活用によって長足の進歩を遂げつつあるが、本利用課題ではこれをさらに発展させ、知識に基づく頑健で高精度な構造的言語処理を実現し、これによって様々なテキストの横断的な関連付け、検索、比較を可能とする知識インフラを構築する。 
組織名 : 法政大学情報科学部
申請課題名 LRnLAアルゴリズムを用いた物理シミュレーション
利用課題概要   今回申請する利用課題の一番の目的は、超並列GPUコンピュータ用の新しい時空間局所化アルゴリズムの開発することである。これまで我々のアルゴリズムはメモリバウンド物理シミュレーション問題に既に利用されており、これには、ステンシルスキームなどのローカル依存関係を持つ数値スキームを用いることで様々な課題を解決してきた。これをさらに進めるためには、計算が処理順序やデータアクセス局所性、メッセージ通過速度などの更に多くの要因を考慮し、アルゴリズムの改良、検討を行う必要がある。特に、新しいTSUBAMEの最大の性能を引き出すため、LRnLA法を用い新しいアルゴリズムを考案するための研究開発を行うことが我々の研究テーマである。 
組織名 : 情報通信研究機構ユニバーサルコミュニケーション研究所
申請課題名 HPCを利用した自然言語処理技術の研究
利用課題概要   情報通信研究機構 ユニバーサルコミュニケーション研究所 データ駆動知能システム研究センターで は、Web 等に存在する大量のテキストを深く意味的に分析し、情報の価値ある組み合わせや価値ある仮 説を柔軟な入力を元に提示できる技術を開発している。こうした技術の開発には先進的な言語処 理技術と膨大な言語資源が必要となるほか、近年では深層学習ベースの言語処理技術が急速に進歩・ 複雑化しており、その研究開発には多数の GPU が不可欠である。本課題では、TSUBAME 3.0 が持つ GPU を最大限活用して自然言語向けニューラルネットワークの研究開発を加速するとともに、GPU 並列化 による深層学習ベース言語処理の高速化のための基盤技術開発に取り組む。 
組織名 : 筑波大学計算科学研究センター
申請課題名 GPU加速化フラグメント分子軌道法プログラムの開発と応用
利用課題概要   量子効果が顕著に関与する生体機能の微視的メカニズムを第一原理的に明らかにするためには、巨大分子である蛋白質の電子状態を解く必要がある。その目的のため、申請者らは、GPU化されたフラグメント分子軌道(FMO)法プログラム”OpenFMO”を利用した解析手法の開発を進めている。これまで、FermiやKepler世代で、ハートリーフォックレベルのFMO計算のGPU化によるベンチマークを行ってきた。今回、Pascalを用いた場合の加速化の検証を行うと共に、生体系のへの応用に繋げることを目指す。 
組織名 : 産業技術総合研究所RWBC-OIL
申請課題名 スパコンのメモリ階層を活用したスケーラブル・大規模計算
利用課題概要   本課題ではスパコンのメモリ容量の限界を超えるような超大規模演算の実現を目的とし、ソフトウェア分野における研究開発を推進する。そのために、TSUBAME3.0が備える高速NVMe SSDを含めメモリ階層を有効活用する。研究項目は以下の通りである:(1) MPIなどよりもプログラミングが容易なPGASモデルから、SSDの大容量を利用可能なミドルウェアvGASNetを開発中であり、その実装の改良・大規模評価を行う、(2) SSDの大容量を効率的に利用可能なアルゴリズムを、ステンシル計算を中心に提案・評価する。 
組織名 : 京都大学生存圏研究所
申請課題名 ラージ・エディ・シミュレーションとドップラー・ライダーを組み合わせた都市域の大気境界層3次元構造の解明
利用課題概要   大気境界層の影響を受けて発生する自由大気中の気象現象の発生メカニズムを理解する上で、大気境界層に発生する微細構造を理解することは重要である。都市域は複雑な地表面状態を持ち、大気境界層の構造に影響を与えていると考えられている。 そこで都市の街区レベルの地面状態や熱を考慮でき、大気境界層全体の構造を計算できるLES(Large Eddy Simulation)を用いて東京都市域の実気象シミュレーションを行う。CDL(Coherent Doppler Lidar)観測結果の水平風解析も行うことで、LESとCDLを組み合わせて大気境界層の3次元構造を明らかにする。 
組織名 : 電気通信大学
申請課題名 MEMS構造の光学応答解析
利用課題概要   本課題では、MEMSにより構成した、マイクロナノ構造に光を照射した際の、光学的な応答を解析する。現在、赤外光を波長選択的に吸収する金属マイクロ・ナノ構造を用いた、シリコン製のMEMS赤外受光素子の研究を進めている。入射した赤外光が金属表面の自由電子を励振することで表面プラズモン共鳴(SPR)が発生することで、光が吸収される。金属マイクロ・ナノ構造の組成・形状によりSPRが発生する波長や偏光、および入射角度の条件が異なるため、受光素子の性能向上には計算による構造探索が必要である。しかし、通常のワークステーションでは計算速度に限界があり、有効な探索が難しかった。そこで、有限要素アプリケーションを貴学の計算機上で用いることで、本課題の本格的な展開に取り組む。 
組織名 : 筑波大学計算科学研究センター
申請課題名 ノードローカルバーストバッファの研究
利用課題概要   計算ノードのローカルストレージを活用したシステムソフトウェアの研究を行う。計算ノードのローカルストレージはジョブの割当時間しか利用することができないが、計算ノードからの高速なストレージアクセスが可能であり、うまく利用することによりストレージアクセスのボトルネックを解消することができると考えられる。さらに、並列ファイルシステム、HPCI共用ストレージとの連携を図る。 
組織名 : 理化学研究所革新知能統合研究センター
申請課題名 近似ベイズ推定を用いた分散並列深層学習
利用課題概要   深層学習では、ノイズが多く不完全で欠損のあるデータを用いて汎化性能の高いモデルを学習することが最大の課題である。近似ベイズ推定は従来の点推定による深層学習とは異なり、不確かさを含めて学習することでデータが少なかったり、ノイズが多かったり、欠損があったりする場合にも高い汎化性能を保ちつつ正しく学習することができる。ただし、近似ベイズ推定による深層学習は計算コストが高く、膨大な計算資源を要する。そこで、本研究ではTSUBAME3.0を用いることで、従来では不可能であった実用規模での近似ベイズ推定による学習を行うことを目的とする。 
組織名 : 国立情報学研究所コンテンツ科学研究系
申請課題名 ニューラルネットワークに基づく音声合成
利用課題概要   近年,ニューラルネットワークを用いることで,テキストから音声波形を生成する音声合成の性能は大幅に向上している。テキストから音響特徴量を予測させるだけでなく、音声波形そのものを非線形自己回帰させることにも複雑なニューラルネットワークを用いており、計算機パワーが研究を進める上で欠かせない。本課題では最先端の音声合成のニューラルネットワーク構造について検討するだけでなく、音声合成における複数話者同時モデリング,未知話者への適応技術,多言語を同時にモデル化・生成する枠組み,End-to-end学習にも取り組み、またエンターテイメント分野,セキュリティ分野といった境界領域へも応用する。 
組織名 : 国立研究開発法人防災科学技術研究所
申請課題名 GPGPUによる長周期地震動シミュレーション
利用課題概要   本課題では、南海トラフで発生する海溝型巨大地震を対象として、3次元差分法を用いた大規模地震波伝播シミュレーションにより長周期地震動の検討を行う。具体的には、震源パラメータの不確実性や破壊不均質性を考慮して100ケース程度の震源モデルを設定し、関東から九州までを計算対象領域とし、申請者らがTSUBAMEのGPU環境に対応させた地震動シミュレータGMSによる地震波伝播シミュレーションを実施する。これらの結果をもとに震源モデルの不確実性や不均質性が長周期地震動に及ぼす影響について検討する。 
組織名 : 電気通信大学
申請課題名 機械学習を用いた逆問題解析の研究
利用課題概要   大規模な画像処理の逆問題に対して、ディープラーニングモデルを適用し学習する。大規模なモデルの学習ではニューラルネットの重みが大きくなり、消費メモリ量が大きくなる。これをTSUBAMEの利用により解決する。またmultigpu利用による学習の高速化も期待する。 
組織名 : 国立情報学研究所情報社会相関研究系
申請課題名 ニューラルネットワークに基づく生成音声と画像の識別
利用課題概要   近年、ニューラルネットワークを用いることで、音声と画像の合成や音声と画像の認識の性能は大幅に向上しており、合成した音声と画像では自然音声と画像に区別できなくなっている。合成した音声と画像は悪用された場合、社会の安全に大きく影響する懸念がある。これにより生じる問題を解決するために、合成音声と合成画像を識別する手法を用いる。より精密に識別するため、複雑なニューラルネットワークが必要となり、計算機パワーが研究を進める上で欠かせない。本課題では最先端のニューラルネットワーク構造について検討するだけではなく、教師なしの変換やリアルタイムの識別方法にも取り組む。 
組織名 : 岡山大学異分野基礎科学研究所
申請課題名 時間依存密度汎関数法による原子内包フラーレンX@C60の励起状態研究
利用課題概要   籠状構造を持つC60に内包された異種原子Xは, 外殻のC60と強く相互作用しない原子種Xを適切に選択すると,擬似的な中性原子とみなすことができる.さらに,この内包フラーレンX@C60を集積させた系は巨視的な数量の孤立原子の集団とみなせる.このような系では,通常では観測が困難な脱励起過程の反応頻度を量子干渉性によって増幅できるため,ニュートリノ対放出などの現象が観測できるようになると期待される.本課題では,時間依存密度汎関数理論(TDDFT)計算を用いてX@C60の励起状態のエネルギー準位を調べることで,C60に散乱・吸収されない波長領域の入射光で励起できるような最適な原子種Xの探索を行う. 
組織名 : 豊橋技術科学大学
申請課題名 ソフトクリスタル機能物性解析のための計算科学技術の開発
利用課題概要   ソフトクリスタルは、蒸気にさらす、擦るなどの低エネルギー刺激によって結晶構造が遷移することで、主に発光や光学特性などの機能物性が変化する新奇物質群であり、その準安定構造や結晶多形間の遷移を制御することによって、これまで存在しなかった革新的な物質機能を創造することが期待されている。本利用課題では,こうしたソフトクリスタル現象の機能物性を解析するための基盤となる計算科学技術を開発する。特に,TSUBAMEの特徴を活用し,GPUを用いた機械学習による物性解析,大規模構造データベースを用いた経験的ポテンシャルの開発,および立体配座データベースの自動構築とそこから得たビッグデータ解析に取り組む。 
組織名 : 物質・材料研究機構
申請課題名 第一原理計算による電池・触媒メカニズム解明と新物質探索
利用課題概要   エネルギー・環境問題の解決に向けた蓄電池・触媒の革新的転換に向けて現在多くの研究が進められている。本研究課題では、蓄電池・触媒の電解液—電極界面で起こっている、化学反応、電子移動、イオン輸送、について、精度が担保されている第一原理計算を用いた統計サンプリングを実行することにより、実験では得られることが難しい原子スケール界面過程の解明することを目的とする。その結果をベースに、革新的な蓄電池・触媒材料に向けた条件をより明確化し、実験家に提案することを究極の目標とする。また得られたデータのAI解析による記述子獲得も同時に検討する。 
組織名 :
申請課題名
利用課題概要    
組織名 : 埼玉県環境科学国際センター
申請課題名 廃棄物最終処分場における間隙内流体挙動の数値解析
利用課題概要   廃棄物の研究において、埋立地からの浸出水やガスの量を予測し、制御するというのは埋立地の設計及び管理における最重要課題である。これら流体の流動挙動は、埋立層間隙の幾何構造と密接な関係があり、間隙内での渦の発生や界面張力等の効果として流動挙動に大きく影響しているものと考えられる。そこで、本利用課題では、間隙の幾何構造に焦点を当て、廃棄物試料から取得したマイクロフォーカスX線CT画像に基づいた間隙内流れの数値シミュレーションを行い、間隙構造の特徴と流れの関連性を明らかにすることにより、埋立地における浸出水・ガスのより高品質な予測制御の実現を目的としている。 
組織名 : 東京大学空間情報科学研究センター
申請課題名 高解像度画像を使った広域の家屋及び道路の深層学習による自動判別システムの開発
利用課題概要   社会基盤情報として人口分布,交通ネットワークの整備は必須であるが,途上国,僻地の情報基盤の整備は乏しい状況にある。オープンな利用が広まりつつある高解像度衛星画像から機械学習,ディープラーニングなどの手法で家屋や道路ネットワークを自動検出し、地図データと利用することによる広域・社会基盤情報の整備に寄与する。 
組織名 : 成蹊大学
申請課題名 高性能計算向け分散メモリ・ストレージ統合システムの研究
利用課題概要   現在、高性能計算において性能上大きなボトルネックになっているメモリアクセスについて、1ノードの物理メモリサイズを超えるような大容量なデータに対しても高性能なアクセスを可能にするような記憶システムの構築を目的とする。各ノードにあるDRAMメモリ, SSDなどを用い、複数ノードに分散した記憶資源を統合的に扱うためのソフトウエアシステムを設計、構築するための実装実験、性能評価を行う。特に記憶階層について着目し、各ノードの計算処理において、メモリアクセス局所性を生かすようなアルゴリズムを導入し、大規模サイズの問題に対して、多数ノードを用いて高速処理できるようにすることを目指す。応用分野は、当面、ステンシル計算、行列計算などの典型的な科学技術計算などとする。 
組織名 : 大阪大学蛋白質研究所
申請課題名 蛋白質-リガンド複合体の会合・解離の速度定数を平衡論から導く
利用課題概要   蛋白質やDNAなど生体高分子の大規模構造変化(状態間遷移)の速度定数を計算科学的に求めるには、通常、大規模な計算を長時間行い、カノニカル分子動力学(MD)シミュレーションを実行する必要がある。一方、拡張アンサンブル法では大規模構造変化が容易に起き、平衡状態の自由エネルギー地形を導く。そのかわり速度定数は算出できない。本研究では、拡張アンサンブル法の一つである VcMD 法を行い、算出不可能のはずの速度定数を導く。蛋白質とリガンドの結合状態、解離状態、その他中間状態の間の遷移の速度定数を求める。以上の研究により、構造探索効率の良い拡張アンサンブル法から平衡論だけでなく速度論も議論できる手法を確立する。 
組織名 : 東京大学情報理工学系研究科
申請課題名 先進的ステンシル・コード技術
利用課題概要   我々が研究開発している高度なステンシル計算のためのドメイン専用言語 (DSL) の実行時性能を検証するためにTSUBAMEを利用する。また検証するとともに研究開発しているDSLの性能改善をおこなう。本研究は日独共同研究で、ステンシル計算のための外部 DSL と内部 DSL を開発し、外部DSLでは記述能力と性能を、内部DSLでは利用の容易さを追求する。また両者の実行時性能の比較をおこなう。TSUBAMEを用いることで、日本最大級のGPU搭載スーパーコンピュータで実用的な性能を達成するDSLの実現手法の研究をおこなう。これに加え、DSLの実行基盤として分散システムの資源管理システムの研究もおこなう。 
組織名 : 法政大学情報科学部
申請課題名 LRnLAアルゴリズムを用いた物理シミュレーション
利用課題概要   マルチスケールに関する物理シミュレーションには様々な出離の課題がある。もちろん非常に多い格子点が必要となるので、大きな計算コストがかかる。解析領域のデータが大きくなるので、データアクセス時間が問題となり、並列化の際データ通信は計算より長い時間がかかる。LRnLA (Locally Recursive non-Locally asynchronous) アルゴリズムは空間積分と時間発展を部分的に同時に行うことを特徴としている.具体的にはシミュレーションにおける空間積分と時間発展の依存性をグラフの分析から最適な計算順序を求めている。これによりデータ通信と計算性能の不均衡に柔軟に対応できる。我々は2015年度よりFDTDコードに関して実施しパーフォマンスの評価を行っており、2016年度はOLED素子、WGM共振器に関する解析をμmサイズで実行可能であることを示すことができた。今後、様々な物理シミュレーションに対して同様に適用していきたい。 
組織名 : 千葉工業大学工学部応用化学科
申請課題名 凝集誘起発光についての理論的研究
利用課題概要   近年,希薄溶液中などの分散した状態では蛍光をほとんど出さないが,固体中などの凝集した状態では強く発光するという,これまでにない特異な光物性を示す蛍光色素分子が注目を集めている.シアノスチルベン誘導体であるCN-MBEはこのような凝集誘起発光現象を示す代表的な蛍光色素分子であり,溶媒中に分散した状態での蛍光量子収率はほぼゼロだが,凝集して微粒子となった状態では強い蛍光を発する.本研究ではCN-MBEなどの蛍光色素分子が示す凝集誘起発光現象の理論的解析に取り組み,そのメカニズムを明らかにする. 
組織名 : 京都大学
申請課題名 知識に基づく構造的言語処理の確立と知識インフラの構築
利用課題概要   テキストは、専門家によるデータの分析結果や解釈、ステークホルダーの批判・意見、種々の手続きや ノウハウなどが表出されたものであり、人間の知識表現の根幹である。テキストとして表現された知識を 計算機によって抽出・関連付けすることができれば、社会における知識循環を円滑化し、異なる分野間での知識の相互関連性の発見や、新しい知識・法則の発見を支援することが可能となる。言語情報処理はウェブをはじめとする大規模テキストの活用によって長足の進歩を遂げつつあるが、本利用課題ではこれをさらに発展させ、知識に基づく頑健で高精度な構造的言語処理を実現し、これによって様々なテキストの横断的な関連付け、検索、比較を可能とする知識インフラを構築する。 
組織名 : 理化学研究所計算科学研究機構
申請課題名 深層学習を利用したリアルタイム宇宙天気予報システムの開発
利用課題概要   我々は、公開されている太陽観測データをリアルタイムに取得し、深層学習を利用することにより、 24時間未来までの太陽フレアの発生を、数分ごとに自動的に予報するシステムを開発している。これにあたっては、深層学習のハイパーパラメータのチューニングのために、数多くのモデルを並行して試験することが必要である。本研究では、このためにTSUBAMEを利用し、次のようなモデルを試す。
1.Recurrent Neural Network(RNN)を用い、太陽連続画像をWavelet変換等で前処理して作った時系列データを入力として、時系列の終了時点から24時間将来までの太陽X線フラックスなどの予測を行う。
2. Convolutional Neural Network(CNN)を用い、ある時刻での太陽画像を入力として、そこから24時間将来までの太陽X線フラックスなどの予測を行う。
3. 2.で訓練済みのCNNを利用し、入力層から中間層までの演算を1.の前処理の部分で用いて時系列データを作ることで、CNNとRNNを組み合わせて予測を行う。 
組織名 : 大阪府立大学
申請課題名 解析的壁関数を用いた格子ボルツマン法による高レイノルズ数乱流解析コードの開発
利用課題概要   計算密度が高く並列計算に適した格子ボルツマン法(LBM)は,その解析精度や妥当性向上の為に多くの研究が行われ,目覚ましい発展を遂げてきた.特に,乱流解析においては,高い精度で安定に解析が可能である衝突演算モデルや,乱流モデルを用いた解析手法,高い精度を持つ局所細密格子法などが提案されてきた.しかし,LBMは等間隔格子を用いるために,船舶や航空機周りなどの高いレイノルズ数を対象とする乱流解析においては,壁面近傍の格子解像度の不足は原理上避けることができない.そこで,本課題では,これまで差分法などの乱流解析で広く用いられてきた壁関数法を格子ボルツマン法に組み合わせることで,LBMによる高いレイノルズ数乱流解析を可能とすることを目的とする.本研究では,壁面近傍の流れに対数則を仮定する標準的な壁関数法ではなく,解析的に積分した運動量式を用いることで剥離・再循環・衝突流れを含む複雑な流れ場を汎用的に扱える解析的壁関数法を,LBMに組み合わせる.開発した手法を用いて,高レイノルズ数チャネル乱流解析などの解析を行い,妥当性の詳細な検証を経て,複雑な流動場での応用解析を目指す. 
組織名 : 国立研究開発法人情報通信研究機構
申請課題名 大型ホログラム記録とホログラフィックディスプレイのためのホログラム計算
利用課題概要   情報通信研究機構(以下NICT)では,光の情報を自在に透明なフィルムに記録するホログラムプリンタやホログラムプリンタによって作成したホログラムを投影スクリーンとするホログラフィックディスプレイに関する研究開発を行っている.本利用課題では、現状の記録環境で10cm四方辺り約700億画素となるホログラムデータの計算や上述のホログラフィックディスプレイに表示するための8K解像度(7,680×4,320画素)で動画対応のホログラムデータの計算をTSUBAME2.5および3.0の高い並列処理能力と潤沢なメモリ資源を有効に活用することで実現する。また、生成されたデータを数値シミュレーションおよび光学的に記録・再生することによりその妥当性を評価する。 
組織名 : 国立感染症研究所
申請課題名 抗インフルエンザウイルス広域中和抗体のエスケープ変異株由来表面糖タンパク質の構造解析
利用課題概要   現行の季節性インフルエンザワクチンの効果は限定的で、効果の向上が求められている。ワクチンの効果を高めるためには、その作用機序を理解することが重要である。インフルエンザワクチンの有効性はウイルス粒子表面の糖タンパク質に対する抗体誘導により規定される。我々は、これまでに様々なウイルスを中和できる広域中和抗体を単離した。さらに、粒子表面の糖タンパク質ヘマグルチニン(HA)の1アミノ酸変異で、抗体の感染阻止効果が低下することを見出した。そこで本研究では、分子動力学法を用いて、HA変異による構造特性変化を明らかにする。解析には、ウイルス粒子上で機能する糖鎖付加型HA三量体全構造を用いる。 
組織名 : 産業技術総合研究所 RWBC-OIL
申請課題名 スマートデータセンター実現に向けたデータ解析基盤の構築
利用課題概要   我々は、スパコンや大規模データセンターを構成する各種サーバ、ストレージのログやセンサーデータを解析し、電力消費の最適化や資源利用率向上を行い運用にフィードバックするシステムの研究開発を進めている。本課題では、オープンデータとして公開されているTSUBAME2.0のGangliaデータを主な対象とし、データの統計処理や相関性の解析を行い、ログ・センサーデータ蓄積用ストレージの設計、機械学習/深層学習を用いた大規模センサーデータの解析方法についての調査を行う。 
組織名 : 電気通信大学
申請課題名 MEMS構造の光学応答解析
利用課題概要   本課題では、MEMSにより構成した、マイクロナノ構造に光を照射した際の、光学的な応答を解析する。現在、赤外光を波長選択的に吸収する金属ナノピラー構造を用いた、シリコン製のMEMS赤外受光素子の研究を進めている。入射した赤外光が金属表面の自由電子を励振することで表面プラズモン共鳴(SPR)が発生することで、光が吸収される。ナノピラー構造の組成・形状によりSPRが発生する波長や偏光、および入射角度の条件が異なるため、受光素子の性能向上には計算による構造探索が必要である。しかし、通常のワークステーションでは計算速度に限界があり、有効な探索が難しかった。そこで、有限要素アプリケーションを貴学の計算機上で用いることで、本課題の本格的な展開に取り組む。 
組織名 : 国立研究開発法人防災科学技術研究所
申請課題名 GPGPUによる長周期地震動シミュレーション
利用課題概要   本課題では、南海トラフで発生する海溝型巨大地震を対象として、3次元差分法を用いた大規模地震波伝播シミュレーションにより長周期地震動の検討を行う。具体的には、震源パラメータの不確実性や破壊不均質性を考慮して100ケース程度の震源モデルを設定し、関東から九州までを計算対象領域とし、申請者らがTSUBAMEのGPU環境に対応させた地震動シミュレータGMSによる地震波伝播シミュレーションを実施し、それらの結果をもとに震源モデルの不確実性や不均質性が長周期地震動に及ぼす影響について検討する。 
組織名 : 京都大学生存圏研究所
申請課題名 都市解像モデルへのドップラーライダー観測データ同化による局地域豪雨発生予測の精度向上
利用課題概要   人間活動に影響を及ぼす集中豪雨等の極端気象現象の中でも、都市部で発生する局地的豪雨は予測への社会的需要の大きさにも関わらずその発生予測は極めて難しい。この予報精度向上には、その発生メカニズムをモデルで陽に表すことが必要不可欠である。 そこで積雲対流活動発生メカニズムを表現できるLES(Large Eddy Simulation)を用いて東京都市域の実気象シミュレーションを実現する。 詳細な街区レベルの地表面データを入力するだけでなく、CDL (Coherent Doppler Lidar)による稠密な風況を同化する。 
組織名 : 物質・材料研究機構
申請課題名 第一原理計算と反応速度論による触媒活性予測技術の確立
利用課題概要   本利用課題では、近年天然ガス利用としての重要性が高まっているメタン変換反応の有効な触媒を探索するため、第一原理計算と反応速度論を駆使した触媒活性予測を行う。TSUBAMEの利用においては、計算のボトルネックとなる第一原理計算を実行し、多数の触媒材料を検討することで有効な触媒の発見につなげる。TSUBAMEが保有する多大な計算機資源を用いることにより、研究の大幅な進展を図る。 
組織名 : 情報通信研究機構ユニバーサルコミュニケーション研究所
申請課題名 HPCを利用した自然言語処理技術の研究
利用課題概要   情報通信研究機構 ユニバーサルコミュニケーション研究所 データ駆動知能システム研究センターで は、Web 等に存在する大量のテキストを深く意味的に分析し、情報の価値ある組み合わせや価値ある仮 説を柔軟な入力を元に提示できる技術を開発している。一見かけ離れた情報間の予想もしなかった繋が りが非常に重大な帰結をもたらす事例があるなかで、情報間の組み合わせをユーザーに分かりやすい形 で入手可能にすることを目指す。具体的には、文の同義性やテキストに書かれた因果関係などの事象間 の意味的関係を元に、ユーザーの多様なニーズに応えられる情報やその組み合わせ、あるいは仮説を、 Web 等に存在する膨大な情報源をもとに生成する技術である。こうした技術の開発には先進的な言語処 理技術と膨大な言語資源が必要となるほか、近年では深層学習ベースの言語処理技術が急速に進歩・ 複雑化しており、その研究開発には多数の GPU が不可欠である。本課題では、TSUBAME3.0 が持つ GPU を最大限活用して自然言語向けニューラルネットワークの研究開発を加速するとともに、GPU 並列化 による深層学習ベース言語処理の高速化のための基盤技術開発に取り組む 
組織名 : 理化学研究所計算科学研究機構
申請課題名 有機分子集合体の半導体特性・光応答特性の解明
利用課題概要   本研究課題では、有機分集合体を対象に、半導体特性特性や光応答特性の発現機構を第一原理電子状態計算や古典分子動力学シミュレーションなどの大規模計算化学シミュレーションにより解明する。研究対象としては、従来型の有機半導体や有機発光材料だけでなく、外力などの外部刺激に応答して発現および変化する動的な半導体統制やメカノクロミック発光特性を示す分子を対象に、圧力に誘起されて発現するこれらの電子機能の発現機構を解明する。さらに、仮想的な計算機実験を実施し、新奇有機分子材料の理論的分子設計、外力などの外部刺激に寄る動的な半導体特性や光応答特性の制御方法の提案も試みる。 
組織名 : 東京大学新領域創成科学研究科メディカル情報生命専攻
申請課題名 深層学習によるゲノム上の遺伝子発現制御情報抽出
利用課題概要   遺伝子の発現量はゲノム上のDNA配列によって制御されると考えられるが、どの配列がどのように発現量を制御するかといった情報は、ごく一部しか明らかにされていない。近年、シークエンサーの発展により、細胞型ごとの遺伝子発現プロファイル(トランスクリプトームデータ)が容易に得られるようになった。そこで、本研究では、 畳み込みニューラルネットワークモデルを用いてDNA配列から各細胞型における遺伝子の発現量を予測するモデルを作成することにより、転写因子結合モチーフといったゲノム上の遺伝子発現制御情報を網羅的に抽出することを目指す。 
組織名 : 東京大学工学系研究科機械工学専攻
申請課題名 ナノ構造界面における熱輸送特性の分子シミュレーション
利用課題概要   近年のナノ技術の発達により,ナノスケールにおける熱・電子輸送特性制御が可能になりつつある.そこで,本研究では,従来の熱・電子輸送特性解析技術(材料科学)と情報科学を組み合わせたマテリアルズ・インフォマティクス(MI)を駆使することで,種々の目的にかなった最適なナノ構造を提案する.特に,熱電変換材料として注目されているナノ構造体(ナノ粒子の焼結材やナノ粒子を母材に埋め込んだ構造体)を対象とし,第一原理解析やグリーン関数法を用いた界面熱・電子輸送特性の解析とレイトレーシング法等を用いてバルク材料特性を評価する.これにベイズ統計を組み合わせることで,最適なナノ構造を効率よく探索し,設計指針を確立する. 
組織名 : 産業技術総合研究所
申請課題名 深層学習処理基盤を用いた大規模環境計測データの解析と応用(マルチメディア情報処理の深層学習)
利用課題概要   社会に埋め込まれる様々な高精度センサから得られる、映像、音響、音声を含むマルチモーダルデータを統合的に処理できる深層学習処理基盤の構築を行う。ドライブレコーダや監視カメラ等から所得される映像、音響、音声のデータの収集及び整備、大規模スーパーコンピュータを用いた個別データにおける深層学習処理の高性能化を進める。映像、音響、音声等の異種マルチモーダルデータを統合的に処理できる深層学習処理基盤の構築を行い、評価実験に向けて実フィールド、実データの整備を進める。 
組織名 : 産業技術総合研究所 RWBC-OIL
申請課題名 大規模分散深層学習の性能調査
利用課題概要   今後のスーパーコンピュータでの最重要カーネルである分散深層学習を対象に,大規模環境下での学習の際のアルゴリズムやハイパーパラメータの設定の精度への影響の調査,ネットワーク通信やストレージI/Oなどシステムに対するバンド幅や遅延などの性能要求の調査,を行うことで,将来のAI/ビッグデータ処理に特化したクラウド上での実社会ビッグデータを活用するアプリケーションの実行やシステムソフトウェアの要素技術の要求要件・設計情報となることを目指す. 
組織名 : 株式会社Lily MedTech
申請課題名 3D 超音波CTにおける腫瘍の検出と判別手法の開発
利用課題概要   超音波CT (USCT) は乳がんの診断のための新しい画像診断装置である。再現性の高い超音波による三次元ボリュームが得られることから、より効果的な乳がん診断が実現できると期待される。しかしながら、既存の画像診断装置と比べて読影のための労力が大きく、また新しい装置であり診断方法が確立されていないため、読影ができる医師の数が少ないという問題がある。本研究はこの問題を解決するため自動診断支援 (Computer-Aided Diagnosis, CAD) ソフトウェアによって医師を支援することで読影負担を軽減する手法の検討を行う。 本研究の目的はUSCTのためのCADソフトウェアを実現するため、画像から腫瘍症例を提示する機械学習モデルを開発し、その性能を評価することである。データ並列化によって複数GPUを利用した深層学習を行い、USCTの画像中の病変候補領域を提示する検出タスクと、提示された領域が悪性腫瘍であるかを判定する判別タスクを解決するためのモデルを学習させる。MRI・針生検などの診断で悪性と判定された症例を真値として、判別モデルの感度・特異度・AUROCを評価する。
 
組織名 : マツダ株式会社技術研究所
申請課題名 車載レーダにおけるターゲット表面電流分布のFDTD法による数値解析
利用課題概要   車載レーダは夜間や悪天候化でも活用できる耐環境性と計測精度に優れた走行環境認識デバイスである。ただし、検出ターゲット(車両)の形状、サイズ、材質等により反射特性が変化するとともに、ターゲットの相対距離や相対角度により反射波の発生と伝搬方向が変化する。これにより受信電力は大きく変動して誤検出や未検出の要因となる。レーダ検知性能の向上にはターゲットからの反射波の発生と伝搬メカニズムの解明が必要と考える。当社では、電波伝搬の数値解析技術として、FDTD法(Finite Difference Time Domain method)による大規模・高速・高精度解析プログラムを自社開発してきた。本課題では、検出ターゲットの相対角度変化による反射波の発生変容を把握することを目的に、ターゲット近傍の反射波強度と相関のあるターゲット表面電流分布の数値解析に取り組む。 
組織名 : 株式会社アグロデザイン・スタジオ
申請課題名 分子標的型農薬開発のためのタンパク質-阻害剤複合体シミュレーション
利用課題概要   次世代の農薬には、高い安全性と薬剤抵抗性への対処が求められている。そのための開発手法の一つとして、特定のターゲットタンパク質を低分子農薬の標的とした分子標的農薬の研究開発を進めている。本研究課題では、標的タンパク質-阻害剤複合体の分子動力学シミュレーションやフラグメント分子軌道法の条件検討を行い、TSUBAMEを利用した具体的な分子標的農薬の研究開発に繋げる。 
組織名 : 株式会社朝日新聞社
申請課題名 大規模記事コーパスを用いたニューラルネットワークの応用に関する研究
利用課題概要   弊社保有の大規模記事データベース(日本語)に、ニューラルネットワークの手法(ディープラーニング)を適用し、その応用可能性について探る。具体的には自動要約生成、自動校正、言語表現モデル、音声認識などの、メディアおよび社会に必要な技術を中心に、最近論文などで発表されている様々な手法を適用し、またはそれらの手法を改良しながらその有効性について検討する。特に、大規模データから得られた学習モデルを小規模のデータでファインチューンする手法について検討する他、学習データの擬似データ作成(Augumentation)について検討する。 
組織名 : フォスター電機株式会社
申請課題名 HPCとOpenFOAMを利用した音響機器の熱流体シミュレーション
利用課題概要   自動車やテレビなどに用いられる動電型スピーカにおいて、ボイスコイルの発熱による振動系全体の温度上昇は、部品の接着層の破損や、部品自体の劣化などの原因となり、これを防止することは製品の信頼性向上のためには不可欠である。また、バスレフポートを持つスピーカシステムの場合、バスレフポート出口での空気の渦の発生に起因するノイズが発生することで、スピーカシステムの評価を低下させることがよくある。よって、空気の渦の発生を抑制することが、スピーカシステム全体の音響的な品質の低下を防止することにつながる。これらを数値的な解析により検討しようとした場合、熱流体の時間領域の解析が必要となるが、数周期程度でも数千ステップの解析が必要で、周波数領域の音響解析などと比べると解析回数が膨大で、実用上許容できる解析が難しい。そこで、本課題ではTSUBAMEとOpenFOAMを用いた多数の並列化を行い、時間領域での熱流体解析を、実用上許容可能なレベルでの高速化に取り組む。 
組織名 : 先端素材高速開発技術研究組合
申請課題名 フィラー分散ポリマー複合材料の相分離構造シミュレーション
利用課題概要   高分子材料は、様々なフィラーが添加され、その物性が改良されて用いられることが非常に多い、例えばカーボンブラックやシリカが添加されたタイヤ材料がその代表例である。最近はCNTを添加し電気伝導性・熱伝導性に優れた材料が開発されており、今後も様々な高性能材料の創生が期待されている。しかし、フィラーが添加された高分子材料は、フィラー高分子間の相互作用や高分子の絡み合い・分子量・自己組織化の影響等により様々な相分離構造をとる。よって、フィラー・高分子複合材料の開発期間は長時間となる場合が多い。当技術組合は、NEDOの公募を受けたプロジェクト(超超プロジェクト)、において高性能な高分子複合材料の開発期間短縮のため、多数のコード開発をすることを目的に18社の企業連合と産業総合研究所の協力により創設された。その開発コードの一つとして高分子のSCF法(密度汎関数法の一つ)を利用し、フィラーの凝集構造と高分子マトリックスの相分離構造を同時にシミュレートできるSoft Blends Analyzer(SOBA)を開発中である。このコードをMPI+GPU並列化に対応させ、大規模複合材料をシミュレートできるような改良に取り組んできた。SCF法は高分子のスケールで精度のよい相分離構造を計算する手法であるが、フィラーのスケールも計算するために大規模計算が可能となった。具体的なアプリケーションに向けたパラメータサーベイやさらなる高速化のためにSOBAの改良を続ける。 
組織名 : 株式会社豊田中央研究所
申請課題名 金属錯体を触媒とするCO2還元の反応機構に関する理論的研究
利用課題概要   実用可能な人工光合成の実現に向け、CO2からCOまたはHCOOHを生成する金属錯体触媒が数多く報告されている。しかし、CO2還元反応の詳細な機構は不明であり、COとHCOOHの生成比を決める因子も未解明である。我々は、実験と理論の両面から裏付けられた反応機構を提案し、COやHCOOHの選択的合成や反応の高効率化に向けた触媒設計および反応条件の指針を見い出すことを目的に研究を実施している。実験では、金属錯体-半導体ハイブリッド光電極を用いた新しい光電気化学的アプローチにより、従来よりもシンプルかつ定量的に、生成物選択性の決定因子を解析している。これに、量子化学計算を用いた反応中間体の分子構造、分子軌道、電子密度、反応のエネルギープロファイルに関する理論的解析を併用し、CO2還元反応の全体像解明を図る。 
組織名 : マツダ株式会社技術研究所
申請課題名 車載レーダにおけるターゲット反射現象と受信特性のFDTD法による数値解析
利用課題概要   車載レーダは夜間や悪天候化でも活用できる耐環境性と計測精度に優れた走行環境認識デバイスである。ただし、検出ターゲット(車両、歩行者、自転車)の形状、サイズ、材質等による反射特性とターゲットの位置や姿勢変化により、反射波の発生と伝搬方向が変化するとともに、伝搬過程における路面や地物からの反射波のマルチパス干渉により、受信特性は大きく変動する。レーダ検知性能の向上にはターゲットでの反射現象の詳細と受信特性の関係解明が必要と考える。当社では、電波伝搬の数値解析技術として、自社開発のFDTD法(Finite Difference Time Domain method)の大規模・高速・高精度解析プログラムを開発してきた。本課題では、車両ターゲット近傍での反射・散乱・回折現象の詳細と、受信特性の数値解析に取り組む。 
組織名 : 先端素材高速開発技術研究組合
申請課題名 フィラー分散ポリマー複合材料の相分離構造シミュレーション
利用課題概要   高分子材料は、様々なフィラーが添加され、その物性が改良されて用いられることが非常に多い、例えばカーボンブラックやシリカが添加されたタイヤ材料がその代表例である。最近はCNTを添加し電気伝導性・熱伝導性に優れた材料が開発されており、今後も様々な高性能材料の創生が期待されている。しかし、フィラーが添加された高分子材料は、フィラー高分子間の相互作用や高分子の絡み合い・分子量・自己組織化の影響等により様々な相分離構造をとる。よって、フィラー・高分子複合材料の開発期間は長時間となる場合が多い。当技術組合は、NEDOの公募を受けたプロジェクト(超超プロジェクト)、において高性能な高分子複合材料の開発期間短縮のため、多数のコード開発をすることを目的に18社の企業連合と産業総合研究所の協力により創設された。その開発コードの一つとして高分子のSCF法(密度汎関数法の一つ)を利用し、フィラーの凝集構造と高分子マトリックスの相分離構造を同時にシミュレートできるSoft Blends Analyzer(SOBA)を開発中である。このコードをMPI+GPU並列化に対応させ、大規模複合材料をシミュレートできるような改良に取り組む。 
組織名 : マツダ株式会社技術研究所
申請課題名 車載レーダにおけるターゲット散乱とレーダ反射断面積のFDTD法による詳細解析
利用課題概要   安全運転支援システムにおける外界センサの一つであるミリ波レーダは、実環境においては路面、路側構造物に加え様々な散乱体により、ターゲットへ入射するまでの伝搬過程でも、ターゲットで反射され受信アンテナに戻って来る伝搬過程のいずれでもマルチパス干渉が起こるとともに、検知ターゲットとなる車両、自転車、歩行者などは、材質、大きさ、形状が様々で姿勢変化も加わり反射特性は大きく変動すると考えられる。今回、TSUBAMEを利用し、実環境での検知性能向上に必要な、環境・ターゲット条件に対するレーダ受信信号変化の関係性を明らかにすることを目的とし、実スケール3Dモデルに対し、2019年度までに自社開発済みのFDTD法プログラムにて、ミリ波レーダの反射、回折、散乱、透過、減衰などの物理現象の厳密な再現と解析に取り組む。 
組織名 : 株式会社PRISM BioLab
申請課題名 中分子創薬のための天然変性蛋白質と中分子の相互作用の研究
利用課題概要   製薬・医療健康分野において、中分子創薬は、エピゲノム調整や遺伝子の調整に必要な蛋白質間相互作用を阻害・ないし促進できる新しい分野の薬(新規モダリティー)として注目を集めており、多くの国内企業も中分子への取り組みを始めている。しかし、中分子が実際に生体において、どうやって標的蛋白質を認識し、結合し、薬効を発揮できるのか、といったことには、十分な理解が得られていない。そこで、構造の柔軟な天然変性蛋白質と、それに結合しうる中分子の実際の薬物―蛋白質結合過程を分子動力学シミュレーションによって再現する。株式会社PRISM BioLabでは、この精密な分子シミュレーションで得られた結合過程の知見を用いて中分子創薬の効率化・最適化を目指している。本課題では、当社で発見し、既に臨床試験を行い文献にて公開しているmS-11化合物とmSin3-NRSF/REST複合体を例にとり、中分子創薬の高精度化に取り組む。 
組織名 : 株式会社朝日新聞社
申請課題名 大規模記事コーパスを用いたニューラルネットワークの応用に関する研究
利用課題概要   弊社保有の大規模記事データベース(日本語)に、ニューラルネットワークの手法(ディープラーニング)を適用し、その応用可能性について探る。具体的には自動要約生成、自動校正、言語表現モデル、音声認識などの、メディアおよび社会に必要な技術を中心に、最近論文などで発表されている様々な手法を適用し、またはそれらの手法を改良しながらその有効性について検討する。 
組織名 : 先端素材高速開発技術研究組合
申請課題名 フィラー分散ポリマー複合材料の相分離構造シミュレーション
利用課題概要   高分子材料は、様々なフィラーが添加され、その物性が改良されて用いられることが非常に多い、例えばカーボンブラックやシリカが添加されたタイヤ材料がその代表例である。最近はCNTを添加し電気伝導性・熱伝導性に優れた材料が開発されており、今後も様々な高性能材料の創生が期待されている。しかし、フィラーが添加された高分子材料は、フィラー高分子間の相互作用や高分子の絡み合い・分子量・自己組織化の影響等により様々な相分離構造をとる。よって、フィラー・高分子複合材料の開発期間は長時間となる場合が多い。当技術組合は、NEDOの公募を受けたプロジェクト(超超プロジェクト)、において高性能な高分子複合材料の開発期間短縮のため、多数のコード開発をすることを目的に18社の企業連合と産業総合研究所の協力により創設された。その開発コードの一つとして高分子のSCF法(密度汎関数法の一つ)を利用し、フィラーの凝集構造と高分子マトリックスの相分離構造を同時にシミュレートできるSoft Blends Analyzer(SOBA)を開発中である。このコードをMPI+GPU並列化に対応させ、大規模複合材料をシミュレートできるような改良に取り組む。 
組織名 : 株式会社豊田中央研究所
申請課題名 車載電子システムの低周波漏えい磁界のシミュレーション
利用課題概要   HV,PHVでは、DCDCコンバータ等により大電流を高速に切り替えるため、低周波磁界が発生する。しかし、現状では、ボデーの機械的要件を満足するためにDCDCコンバータは、厚い鋼板によって囲われているため、結果的にその漏えい磁界はシールドされ、車室内の磁界強度は十分弱くなっている。しかしながら、ボデーの軽量化のため、従来の鋼板以外に一部にCFRP(炭素繊維強化プラスチック)等の樹脂が用いられるようになっている。一般的に樹脂には、磁界シールド効果はほとんどないため磁界シールド効果は低下することになり、それを考慮したシミュレーション技術の開発が重要となる。
100kHz以下の低周波で、鋼板の磁界シールドを高精度にシミュレーションするためには、厚み方向の分割数を多くする必要があるため、複雑な形状で複数の材料で構成される車両のボデー全体を考慮したシミュレーションでは、非常に多くのメッシュ分割数を必要とする。一般的なPCワークステーションでは計算実行が困難であり、有限要素法によるシミュレーションで1000万メッシュを超える超大規模モデルについてTSUBAMEにより解析を試みる。 
組織名 : 株式会社パナソニックシステムネットワークス開発研究所
申請課題名 5GHz帯無線LANにおける大型車両内電磁界特性に関する基礎検討
利用課題概要   近年、鉄道やバス等の公共交通機関において多種多様な情報を活用するクラウド化が進んでいる.大型車両内での安定した高速・大容量通信を実現するための無線通信システムとして、無線LANシステムや第5世代移動通信システム(5G)などが想定されており、それぞれの無線システムに適したアンテナが必要となる.その具体的な実現方法の一つとして、基地局と大型車両との間の通信には5Gを利用し、大型車両の車室内においては5GHz帯を用いた無線LANシステムを用いてユーザ(端末)と車両との間で通信を行うことにより、ユーザスループットを向上できると考えられる.このような無線システムを構築する上において、大型車両に搭載される5G用アンテナの特性や車室内における無線LANシステムにおける車両構造物や人体の影響を把握することが重要である.しかしながら、大型車両に搭載したアンテナ特性や車室内の電磁界分布を測定することは、評価設備等の問題から非常に困難となる.そこで、本利用課題では、基礎検討として、大型車両に搭載された5GHz帯無線LANシステム用アンテナに与える車室内の構造物や人体の影響を、電磁界解析を用いて把握する. 
組織名 : マツダ株式会社技術研究所
申請課題名 車載レーダにおけるターゲット散乱及び伝搬構造のFDTD法による詳細解析
利用課題概要   安全運転支援システムにおける外界センサの一つであるミリ波レーダは、実環境においては路面、路側構造物に加え様々な散乱体により、ターゲットへ入射するまでの往路伝搬過程、ターゲットで散乱された電波が受信アンテナまで戻る復路伝搬過程共に複雑なマルチパス干渉が起こる。さらに、車載レーダのターゲットとなる自動車・自転車・歩行者などは、大きさ・形状も様々であることや、特有の挙動に起因した散乱プロファイルとなると考えられる。今回、実環境における検知性能変動に関係する環境・ターゲット要因を解析することを目的とし、実スケールの大規模3次元走行環境にて、車載レーダにおける伝搬路でのマルチパス現象とターゲット散乱界の関係、及び、レーダ受信信号特性との関係を、昨年度までにTSUBAME3トライアル制度を活用して社内開発検証まで完了済のTSUBAME3対応大規模高速FDTDプログラムにてシミュレーション実験を実施する。 
組織名 : スタッフ株式会社
申請課題名 大容量データ伝送用ミリ波アンテナのレドームに関する基礎検討
利用課題概要   近年モバイル端末の普及、およびコンテンツ情報量の増大に伴い、通信ネットワークトラフィックが爆発的に増大しているなか、ミリ波帯を使用した大容量のデータ伝送が可能な無線装置が注目されている。使用されるアンテナにおいては、通信距離の確保、通信の安定化などを実現する為に、アンテナに求められる性能は極めて高く、また屋外で使用するため、気象の悪条件も考慮したものが必要となる。本課題では、気象の悪条件からアンテナを保護する役割をもつレドームに注目、ミリ波帯におけるレドームの影響を電磁界解析で明らかにする。前年度まではレドームの材質・形状に注目し電磁界解析を行ったが、レドームの影響は放射素子の利得によってもレドームの影響が違うと考えられる。今年度は放射素子を変化させ、平成26年度から今年度までで最適化を行ったレドームを用いて、レドームあり、なしの特性比較を行う事で、アンテナ放射素子とレドームの関係を明らかする。 
組織名 : 株式会社豊田中央研究所
申請課題名 車両レーダー断面積の大規模電磁界解析
利用課題概要   自動運転システムや、ドライバに対して高度な運転支援を提供するシステムを実現する上で、走行中の車両の周囲に存在する他の車両や歩行者といった走行環境を認識することは必須であり、夜間や荒天時といったカメラが不得手とする場面においてはレーダーが有効である。認識対象物体の電磁波散乱特性を詳細に知ることによって、レーダーを効果的に活用することができる。物体の電磁波散乱特性を解析するための高精度な計算機シミュレーション方法には、FDTD法やFITといった時間領域の電磁界シミュレーション手法があるが、単体のPCワークステーションでは電磁界シミュレーションを実行可能な周波数や空間の大きさに対する制約が大きい。本利用課題では、物体の電磁波散乱特性として一般的によく用いられるレーダー断面積(RCS)を対象とし、様々な車両に対するRCSを時間領域の電磁界シミュレーション手法によってTSUBAME3.0の複数ノードを用いて計算し、車両形状とRCSの関係に関する知見を得る。 
組織名 :
申請課題名
利用課題概要    
組織名 : 株式会社豊田中央研究所
申請課題名 自動車搭載ミリ波レーダの超大規模電磁界シミュレーション
利用課題概要   歩行者、自動車、障害物との衝突回避による更なる安全性向上を実現するキーテクノロジとして車載ミリ波レーダが製品化されている。
ミリ波レーダは、77GHzの高周波電磁波のドップラー効果によって、自動車と対象物の相対位置・速度を高精度に測定する。一方で、その波長は文字通り数ミリと短い為、降雨等が原因で電力減衰し易い。また周辺の構造物、例えばアンテナレドーム、車体フレーム、バンパー、フロントグリル等による電波散乱も生じやすく、それらは全て測位誤差要因となる為、設計段階の電磁界シミュレーションに際し、レーダ周辺の車体構造物を忠実にモデル化することが望ましい。しかしながら、波長比でのメッシュ分割を要する電磁界解析においては、限定的な構造であってもミリ波伝搬を再現するのに非常に多くのメッシュ分割数を必要とし、一般的なコンピュータでは計算実行が困難である。スパコンTSUBAMEにおける本課題遂行に際し、商用電磁界解析ソフトCST STUDIO SUITEを駆使し、最大20億メッシュに及ぶ超大規模モデルについて解析を試みる。 
組織名 : 清水建設株式会社
申請課題名 建築環境の評価に向けた気候変動データの高度化
利用課題概要   異常高温,集中豪雨,大型台風などの極端な気象現象による人的,経済的損失は極めて大きい.近年の気候変動として地球温暖化の影響で一部の地域ではその気象現象の強度はすでに増加傾向にあり,今後も世界規模でさらに増えていく.特に,2080年頃になると「スーパー台風」の強度を保ったまま日本に接近する台風が発生し,そのなかにはこれまで経験したことのない台風が上陸する可能性がある.これらにより既存のライフラインやインフラを破壊して,都市機能を停止させる等,甚大な被害をもたらす恐れがある.最大限の緩和策でも完全に避けられない事象である.日本政府では,「気候変動の影響への適応策」に関して既に適応計画策定検討を着手し始めた.建設分野では,その気候変動を考慮する必要があり,適用策などの提案は喫緊の課題である.本利用課題は,TSUBAMEスパコンで構築した気候変動データベースの活用や気象解析モデルとの連携解析による高度化および大規模データの並列処理を行い,過去に自然災害を引き起こした気象現象の要因分析および,将来の気候変動による極端気象現象や施設に影響する外力等の変化を評価する.気候変動がもたらす建築環境への影響を明らかにする. 
組織名 : 株式会社パナソニックシステムネットワークス開発研究所
申請課題名 ワイヤレス電力伝送による漏えい電波の環境解析技術の研究開発
利用課題概要   近年、電波の利用方法の一つとしては、電力伝送技術が注目されており、ワイヤレス電力伝送(WPT)システムとして、電気自動車の充電用途のものや、家電機器への給電用途のものなど、多種多様な方式開発が進められている。
このようにWPT システムの使用範囲は住宅内に限らず屋外の駐車場も含めた広い空間が想定されている。本環境でWPT システムを実現するには、WPT システムから発生する漏えい電波が、近接する機器に与える影響を分析する必要があるが、数十kHz~数GHz の周波数領域の漏えい電波の強度分布をシミュレーションにより評価する技術の確立が必要である。
そこで、H28 年度の利用課題において、WPT システムや各種電子機器などが密集して設置される環境の一つとして、戸建て住宅や近隣住宅を含む空間に漏えい電波発生源(WPT)を配置し、漏えい電波の分布状況を解析及び定量検証を行ってきた。本年度は、これまでの住宅と異なる設置条件として、複数台の電気自動車用ワイヤレス充電設備を備える大規模な商業施設を想定し、施設内外における漏えい電波の分布状況を解析する。これにより、将来のWPT システム普及で想定される課題を把握する。 
組織名 : スタッフ株式会社
申請課題名 大容量データ伝送用ミリ波アンテナのレドームに関する基礎検討
利用課題概要   近年モバイル端末の普及、およびコンテンツ情報量の増大に伴い、通信ネットワークトラフィックが爆発的に増大しているなか、ミリ波帯を使用した大容量のデータ伝送が可能な無線装置が注目されている。使用されるアンテナにおいては、通信距離の確保、通信の安定化などを実現する為に、アンテナに求められる性能は極めて高く、また屋外で使用するため、気象の悪条件も考慮したものが必要となる。本課題では、気象の悪条件からアンテナを保護する役割をもつレドームに注目、ミリ波帯におけるレドームの影響を電磁界解析で明らかにする。26、27、28年度の利用で、レドームの厚み、レドームの比誘電率、検討アンテナとレドームの間隔について検証を行ってきた。その時のレドームの形状は平ら形状としていたが、気象の悪条件(風)などを考慮した場合、レドームは曲面とした方が機構面で有利と考えられる。ただし、アンテナ利得、指向性も考慮した形状とする必要がある為、本年度は、特にレドーム形状を曲面にした時の、アンテナ利得、指向性の変化について検証を行う。 
組織名 : 株式会社富士通研究所
申請課題名 産業利用のための大規模ディープラーニング
利用課題概要   人工知能研究の中心の一つであるディープラーニング(DL) 技術は,多くのフレームワークが公開されていることもあり,ものづくりから医療まで,様々な産業のフィールドで広く用いられ,特に画像・音声認識に威力を発揮し始めている.しかし,応用の際にはまだ課題も多い.例えばDLの性能は学習データの量や質に大きく依存するが,既存のフレームワークを用いるだけでは,大規模データを効率良く使うことはできない.我々のプロジェクトでは,DL を大規模並列化し,ものづくりの現場で利用できる効率の良い DL コードを実装したいと考えている.1ヶ月のトライアル的な利用において, MPI + GPU 環境での既存DL コードの効率を含む基礎的な調査を行い,詳細な課題を抽出する. 
組織名 : 理化学研究所計算科学研究機構
申請課題名 高性能・高生産性を達成する垂直統合型アプリケーションフレームワーク
利用課題概要   我々はステンシル計算の代表例である気象気候計算についてエクサスケールに向けた計算技法の開発、およびそれを実際にシステム上で高効率かつ高生産性を有した形で実現するためのプログラミング技術について日独仏共同研究として進める。具体的にはこれまで我々が開発してきたステンシル向けフレームワークについて、日独仏にて開発が進められている気象気候モデルへの適用評価を行い、開発してきたソフトウェアの有用性の実証を狙う。特に、1) 日独仏の気象気候モデルの調査、2) 評価用カーネルの整備、3) フレームワークの日独仏気象・気候モデルへの適用、に取り組み、気象気候モデルの現状の課題およびエクサスケールに向けた高度化の方向性を確立することを目的とする。 
組織名 : 都城工業高等専門学校
申請課題名 超電導電力ケーブルの交流損失解析
利用課題概要   電気回路モデルと2次元有限要素法を組み合わせた準3次元電磁界解析法により、超電導電力ケーブルの交流損失を計算し、新たな損失低減法を開発する。今年度の計算対象は、古河電工㈱のMukoyama等により製作された3層REBCOケーブルである。このケーブルは、REBCOテープ断面に対して臨界電流密度が均一として計算した場合には、計算値が測定値より小さくなることがすでに分かっている。そのため、テープ断面のエッジにおいて臨界電流密度が減少していると仮定して計算を行なう。この臨界電流密度の減少は、すでに測定結果より明らかにされている実験事実である。 
組織名 : 東京大学情報理工学系研究科
申請課題名 ポストペタ時代の大規模並列数値計算のための技術開発
利用課題概要   TSUBAME, 京コンピュータなど,ペタフロップスを達成するスーパーコンピュータが登場して数年,エクサフロップス級計算機に向けてプロジェクトが進められている.エクサフロップス達成のためには100万コア以上の並列性が必要で,深いメモリ階層,ネットワーク遅延などの影響を緩和する手法が必要である.本研究ではこのような視点から,計算科学をターゲットとして次世代の超並列超高性能計算科学ソフトウェアの構成方式,アルゴリズム,実装技術を開発してゆく.本プロジェクトでは,日本最大のGPU搭載スーパーコンピュータであるTSUBAMEを用いて,共同研究により次世代の計算機のためのアルゴリズム,並列化手法,最適化,プログラミングモデル,アプリケーションの確立に向けた研究を行う. 
組織名 : 成蹊大学
申請課題名 高性能計算向け分散メモリ・ストレージ統合システムの研究
利用課題概要   現在、高性能計算において性能上大きなボトルネックになっているメモリアクセスについて、1ノードの物理メモリサイズを超えるような大容量なデータに対しても高性能なアクセスを可能にするような記憶システムの構築を目的とする。各ノードにあるDRAMメモリ, SSDなどを用い、複数ノードに分散した記憶資源を統合的に扱うためのソフトウエアシステムを設計、構築するための実装実験、性能評価を行う。特に記憶階層について着目し、各ノードの計算処理において、メモリアクセス局所性を生かすようなアルゴリズムを導入し、大規模サイズの問題に対して、多数ノードを用いて高速処理できるようにすることを目指す。応用分野は、当面、ステンシル計算、行列計算などの典型的な科学技術計算などとする。 
組織名 : 東京医科歯科大学難治疾患研究所
申請課題名 癌とがん間質の成立に関わる分子レベル・組織レベルの挙動の解明
利用課題概要   癌組織は癌細胞と線維芽細胞やリンパ球を含めた間質細胞とが複雑な相互作用をへて成り立っている。その癌や間質の相互作用について、そのがん関連遺伝子産物や免疫抗原受容体などの鍵となる分子の挙動を正確に予測し、また組織レベルの構築との対応をつけることは癌組織の解明と診断・治療に重要である。分子動力学等を用いた計算においてがん関連遺伝子産物や、抗原受容体の構造変化を正確に推定するには比較的長時間でのシミュレーションが重要であり、そのために多くの計算リソースが必要である。本課題ではがん関連遺伝子や抗原受容体の結晶構造情報等を用いて、タンパク単体や複合体、化合物-タンパク間の相互作用の構造・エネルギーの変化を分子動力学計算等のシミュレーションによって解析し、その活性のメカニズムを同定することが目的である。またこのような癌と間質細胞とによってつくられる巨視的な構築について癌組織の画像情報等から機械学習を用いてその特徴をとらえ、さらに癌ゲノミクス情報等との比較対応も試みる予定である。 
組織名 : 法政大学 情報科学部
申請課題名 LRnLAアルゴリズムを用いた物理シミュレーション
利用課題概要  マルチスケールに関する物理シミュレーションには様々な出離の課題がある。もちろん非常に多い格子点が必要となるので、大きな計算コストがかかる。解析領域のデータが大きくなるので、データアクセス時間が問題となり、並列化の際データ通信は計算より長い時間がかかる。LRnLA (Locally Recursive non-Locally asynchronous) アルゴリズムは空間積分と時間発展を部分的に同時に行うことを特徴としている.具体的にはシミュレーションにおける空間積分と時間発展の依存性をグラフの分析から最適な計算順序を求めている。これによりデータ通信と計算性能の不均衡に柔軟に対応できる。我々は2015年度にFDTDコードに関して実施しパーフォマンスの評価を行った。その結果、満足得られる結果が得られたので、様々な物理シミュレーションに対して同様に適用していきたい。 
組織名 : 奈良先端科学技術大学院大学情報科学研究科
申請課題名 高度な制御可能性を有するニューラルネット言語生成モデル
利用課題概要  自然言語の文を処理し、生成する技術は、人間の言語同士を翻訳する機械翻訳、人間と自然言語で対話を行う対話システム、画像から説明文を生成するマルチモーダル文生成など、様々な応用で用いられる汎用的な技術である。近年ニューラルネット(NN)に基づく言語処理モデルは、従来のモデルを大幅に上回る精度を実現し、注目を浴びている。しかし、これらのモデルには、予期せぬ致命的な誤りが起こりやすく、この誤りを人手で修正することが容易ではないという深刻な欠点もあり、実際の応用で利用できるとは言い難い。本研究では、外部から結果が制御可能なNN言語生成という新たな自然言語処理枠組みを開発し、従来のNN言語処理モデルの精度を保ちながら実用に耐えられる技術の開発を目指す。 
組織名 : 京都大学
申請課題名 知識に基づく構造的言語処理の確立と知識インフラの構築
利用課題概要  テキストは、専門家によるデータの分析結果や解釈、ステークホルダーの批判・意見、種々の手続きや ノウハウなどが表出されたものであり、人間の知識表現の根幹である。テキストとして表現された知識を 計算機によって抽出・関連付けすることができれば、社会における知識循環を円滑化し、異なる分野間での知識の相互関連性の発見や、新しい知識・法則の発見を支援することが可能となる。言語情報処理はウェブをはじめとする大規模テキストの活用によって長足の進歩を遂げつつあるが、本利用課題ではこれをさらに発展させ、知識に基づく頑健で高精度な構造的言語処理を実現し、これによって様々なテキストの横断的な関連付け、検索、比較を可能とする知識インフラを構築する。 
組織名 : 東京大学情報理工学系研究科
申請課題名 先進的ステンシル・コード技術
利用課題概要  高度なステンシル計算のためのドメイン専用言語 (DSL) の開発を行い、その実行時性能をTSUBAME上で検証するとともに性能改善をおこなう。ステンシル計算の利用者にとってなじみやすい行列表現など抽象度の高い記述によるプログラムを、計算機に近い表現で記述されたプログラムに匹敵する速度で実行可能にすることを目指す。日独共同研究で、ステンシル計算のための外部 DSL と内部 DSL を開発し、外部DSLでは記述能力と性能を、内部DSLでは利用の容易さを追求する。TSUBAMEを用いることで、日本最大級のGPU搭載スーパーコンピュータで実用的な性能を達成するDSLの実現手法の研究をおこなう。これに加え、DSLの実行基盤として分散システムの資源管理システムの研究もおこなう。 
組織名 : 物質・材料研究機構 情報統合型物質・材料研究拠点
申請課題名 ナノ構造相界面における熱輸送特性の分子シミュレーション
利用課題概要  近年,ナノスケールにおける材料構造制御が進むに伴い,材料の伝熱特性に及ぼす固体-固体界面(固固界面)や固体-液体界面(固液界面)等の相界面状態の影響が重要となってきている.本研究では固固界面や固液界面における熱輸送特性をマルチスケールで評価することで,系全体の熱輸送特性を予測することを目的としている.
固固界面では,特にナノ構造体(ナノ粒子の焼結材やナノ粒子を母材に埋め込んだ構造体)の熱電特性を明らかにする。具体的には,密度汎関数法と格子動力学法,分子動力学法を用い,原子レベルで界面のフォノン・電子輸送特性を解明する.さらに,これらの結果をモンテカルロ計算に組込み,ナノ構造体バルク熱電変換材料の熱電特性を評価する.次に固液界面では,沸騰初期における気泡核生成メカニズムの解明に向けて,表面粗さや濡れ性などの表面物性が気泡核生成に与える影響を分子動力学法を用いて評価する.さらに,分子動力学計算結果をフェーズ・フィールド法に組み込み,固液界面における熱輸送特性がマクロな伝熱現象に与える影響を検証する. 
組織名 : 大阪大学蛋白質研究所
申請課題名 蛋白質-リガンド複合体の会合・解離の速度定数を平衡論から導く
利用課題概要  蛋白質やDNAなど生体高分子の大規模構造変化(状態間遷移)の速度定数を計算科学的に求めるには、通常、大がかりな計算機を長時間使い、カノニカル分子動力学(MD)シミュレーションを実行する必要がある。一方、拡張アンサンブル法の一種であるadaptive umbrella sampling (AUS)シミュレーションは大規模構造変化を容易に起こし、平衡状態の自由エネルギー地形を導く。そのかわり速度定数は算出できない。本研究では、AUSから算出不可能のはずの速度定数を導く。蛋白質とリガンドの結合状態、解離状態、その他中間状態の間の遷移の速度定数を求める。以上の研究により、構造探索効率の良いAUSシミュレーションから平衡論だけでなく速度論も議論できる手法を確立する。 
組織名 : 東京大学情報基盤センター
申請課題名 OpenACCの拡張によるアプリケーション自動最適化
利用課題概要  次世代のスーパーコンピュータにおいて主流になると考えられる、メニーコアプロセッサを用いた計算環境において、現在のメニーコアプロセッサのためのプログラミングモデルにおける問題点を解決し、既存のアプリケーションを自動並列化・最適化する、高性能・高生産性を持つフレームワークを構築することが本研究の目的である。本課題ではメニーコアプロセッサ向けの記述言語として注目されているOpenACCをターゲットとし、異なるプロセッサ間での性能の可搬性に大きく影響する、プログラムのデータ構造を最適化する仕組みを取り入れることで、アプリケーションの自動最適化を目指す。 
組織名 : 九州大学応用力学研究所
申請課題名 多相流格子ボルツマン法ソルバーのマルチGPU実装
利用課題概要  海洋工学問題に応用するために、多相流格子ボルツマン法(LBM)を開発しており、目標は複数 GPU を用いた大規模数値計算により従来の手法(FVM、FEMなど)では達成できない高解像度シミュレーションの実現である。本研究は、東京工業大学のTSUBAMEシステムを利用して、これまで開発してきた多相流格子ボルツマン法ソルバーについてマルチGPU実装を行い、複雑自由表面問題に対する大規模数値シミュレーションを試みする。 
組織名 : 大阪大学蛋白質研究所
申請課題名 転写サイクルを制御する蛋白質複合体ダイナミクスの解析
利用課題概要  DNA上に記された遺伝情報を読み取る転写の過程は、開始・RNA鎖の伸長・終結という転写サイクルと呼ばれる段階からなっており、多数の転写因子とそれらの間の相互作用によって精緻に制御されている。近年、種々の転写因子やRNAポリメラーゼの立体構造がX線結晶解析によって明らかにされたが、それらの因子間の動的な相互作用については未知のことが多い。特に、リン酸化による天然変性領域のアロステリックな制御が与える構造と相互作用への影響や、古細菌のRNAポリメラーゼの動的なドメイン間相互作用について、効率的なサンプリング手法による分子シミュレーションを行って解析する。この研究は、科研費新学術領域研究(研究領域提案型)「高精細アプローチで迫る転写サイクル機構の統一的理解(転写サイクル)」研究の一部として実施する。 
組織名 : 岡山大学大学院環境生命科学研究科
申請課題名 安定化有限要素法による3次元非圧縮性Navier-Stokes方程式のマルチGPU並列解法の開発
利用課題概要  安定化有限要素法は、複雑な境界形状を持つ領域での3次元非圧縮性Navier-Stokes方程式の数値計算に広く用いられているが、そのGPUによる高速化には、実装上いまだ困難な点が多い。そこで本研究課題ではマルチGPUによる大規模計算が行えるTSUBAMEの計算機環境を利用し、安定化有限要素法による3次元非圧縮性Navier-Stokes方程式のマルチGPU並列解法を構築し、スケーラビリティについての考察・評価を行う。 
組織名 : 情報通信研究機構
申請課題名 ホログラムプリンタ用の大規模なホログラム計算
利用課題概要  情報通信研究機構(以下NICT)では,光の情報を自在に透明なフィルムに記録するホログラムプリンタを開発している.現状の記録環境では,10cm四方のホログラムに対して約775億画素(278,528×278,528画素)のホログラムデータが必要であり,ホログラムサイズの拡大に比例して必要となる総画素数はさらに増加する.ホログラム計算の際は,このような巨大なデータを確保するための十分なメモリと,計算量の多い光波分布の伝搬計算を行う必要があることから,一般的な計算機ではホログラムプリンタ用のホログラムデータを現実的な計算時間で得ることが困難である.そこで, TSUBAME2.5の高い並列処理能力と潤沢なメモリ資源を有効に活用することで、大規模な光の波面伝搬計算およびホログラムデータの生成を実現する。生成されたデータは数値シミュレーションおよびホログラムプリンタによる記録・光学再生を行うことで,その妥当性を評価する。 
組織名 : 防災科学技術研究所
申請課題名 GPGPUによる長周期地震動シミュレーション
利用課題概要  本課題では、内陸活断層で発生する地震を対象として、3次元差分法を用いた大規模地震波伝播シミュレーションにより関東地域における長周期地震動のハザード評価を行う。具体的には、震源パラメータの不確実性を考慮して100ケース程度の震源モデルを設定し、関東地域を対象に構築されている詳細な地下構造モデルを用い、申請者らがTSUBAMEのGPU環境に対応させた地震動シミュレータGMSを利用して多数回の地震波伝播シミュレーションを実施し、それらの結果をもとに長周期地震動のハザード評価を行う。 
組織名 : 科学技術振興機構
申請課題名 日中・中日機械翻訳実用化プロジェクト
利用課題概要  本プロジェクトは、平成18~22年度に実施された科学技術振興調整費「日中・中日言語処理の開発研究」プロジェクトの成果をもとに、日中の担当大臣の合意に基づき、日中両国で予算を負担し、共同の技術開発により実用化を目指すJSTの事業「日中・中日機械翻訳実用化プロジェクト」として、平成25~29年度の5年間で実施されている。
科学技術振興調整費「日中・中日言語処理技術の研究」(平成18~22年度)の成果(日中対訳コーパスや翻訳エンジン)を母体として、それらの成果を最大限活用して翻訳エンジンの性能向上、対訳コーパスの増強、日本語・中国語の形態素解析システムの向上などの研究を進め、科学技術文献に対する実用的な日中・中日機械翻訳システムを構築し、言語障壁を取り除くことで、日中間の科学技術交流・発展を促進することを目的とする。 
組織名 : 理化学研究所計算科学研究機構
申請課題名 深層学習を利用したリアルタイム宇宙天気予報システムの開発
利用課題概要  我々は、公開されている太陽観測データをリアルタイムに取得し、深層学習を利用することにより、 24時間未来までの太陽フレアの発生を、数分ごとに自動的に予報するシステムを開発している。これにあたっては、深層学習のハイパーパラメータのチューニングのために、数多くのモデルを並行して試験することが必要である。本研究では、このためにTSUBAMEを利用し、次のようなモデルを試す。
1.Recurrent Neural Network(RNN)を用い、太陽連続画像をWavelet変換等で前処理して作った時系列データを入力として、時系列の終了時点から24時間将来までの太陽X線フラックスなどの予測を行う。
2. Convolutional Neural Network(CNN)を用い、ある時刻での太陽画像を入力として、そこから24時間将来までの太陽X線フラックスなどの予測を行う。
3. 2.で訓練済みのCNNを利用し、入力層から中間層までの演算を1.の前処理の部分で用いて時系列データを作ることで、CNNとRNNを組み合わせて予測を行う。 
組織名 : 東京大学情報基盤センター
申請課題名 OpenACCによる圧縮性流体解析プログラムUPACSの高速化に関する研究
利用課題概要  次世代のスーパーコンピュータにおいて主流になると考えられる、メニーコアプロセッサを用いた計算環境へのアプリケーションの対応が急務である。昨年度までに、東京工業大学松岡聡研究室との共同研究により、IHIが所有するアプリケーションであるUPACSについて、メニーコアプロセッサ向けの記述言語として注目されているOpenACCにより並列化を行い、TSUBMAE2.5の1 GPUを用いた評価の結果、良好な結果を確認している。本課題では、単体のGPU向けの最適化を行った上で、複数GPUを効率良く利用するための手法を開発し、実際の大規模なシミュレーションデータによる評価を行うことを目的としている。 
組織名 : 信州大学水環境土木工学科
申請課題名 大規模シミュレーションを用いた革新的ロバスト炭素膜による水処理機構に関する研究
利用課題概要  本研究は、スパコンを活用した大規模シミュレーションと信州大学の革新的実験技術との連携により、これまでの延長上にはないカーボン系材料から強靭で耐久性、透水性の優れたRO水処理膜を開発し、高度な造水・水循環システムにより世界の水問題を解決することを目的とている。従来使われている芳香族ポリアミドは、高い透水性、脱塩性を有しているが、海水・淡水化処理では海水中のタンパク質が膜の細孔に付着・体積しファウリング(膜の汚染)を起こし、その表面洗浄に塩素を使われるため、細孔の破壊につながり水処理膜の機能が低下することから、より耐久性の高い強靭な水処理膜が望まれていた。これまで信州大学では、CNT複合ポリアミド膜、DLC膜、ナノ炭素複合膜などの高機能水処理膜を合成し、透水性、脱塩性、などのシミュレーション結果を得ており、さらにファウリングが起き難いことが特徴であるが、そのメカニズムが未だ解明されていない。本件研究ではそのメカニズム解明に取り組む。本利用申請課題は、平成25年11月文部科学省の「COIプログラム」として信州大学に設置された『世界の豊かな生活環境と地球規模の持続可能性に貢献するアクア・イノベーション拠点』の研究開発の一環として実施する。 
組織名 : 北海道大学大学院理学研究院化学部門
申請課題名 AFIR法を用いた有機化学・光化学反応の系統的反応経路探索
利用課題概要  化学反応の反応機構に関する計算化学的研究は多く報告されている。しかしながら、推定機構を利用した従来の解析手段では、複雑な反応や未知な反応の解析には適していない。前田らによって開発された人工力誘起反応法(AFIR法)は、反応物に定義したフラグメント同士を人工力で押し付けて反応を誘起させ、生成物と遷移状態の構造ならびに反応経路を自動探索する計算手法である。様々なフラグメント間にAFIR法を適用することで、素反応の系統的・網羅的探索を行うことができるため、従来の解析手法の問題点を解決できると期待される。現在までに、いくつかの有機反応や光化学反応に適用し、複雑な反応機構の解明に成功しており、AFIR法は強力な解析手法として確立されつつある。当課題では、AFIR法に基づく反応経路自動探索法を利用した反応機構の解析を大規模計算機TSUBAMEで行う。様々なタイプの有機反応・光化学反応に適用し、本計算手法の有用性と汎用性をさらに高める。具体的には、遷移金属触媒や有機分子触媒を利用した新規有機合成反応を解析する。光機能性分子である有機化合物や金属錯体の光化学過程を解析する。 
組織名 : 大阪大学基礎工学研究科
申請課題名 マルチドメインデータの多変量解析とその応用
利用課題概要  画像やテキストなどのマルチモーダルデータから情報統合する多変量解析法は様々なタスクの基盤技術として重要である.各ドメインの要素はベクトル(たとえば画像の特徴ベクトル)とする.ベクトル間の関連の強さをマッチングウェイトで表すと,一種のグラフ埋め込みによって次元削減を行い,すべてのドメインのベクトルが共通空間に射影される.本研究ではCDMCA(Cross-Domain Matching Correlation Analysis)を用いて,各ドメインにおけるベクトルの数や次元に制限のない柔軟な方法の開発,検証,応用を行う. 
組織名 : お茶の水女子大学
申請課題名 第一原理有効フラグメントポテンシャル-分子動力学法(EFP-MD)によるイオン液体の溶液構造調査
利用課題概要  イオン液体は,「100℃以下に融点を有し,少なくともカチオン・アニオンのいずれかが有機物である塩」と定義される。不揮発性,高安定性,高耐熱性などの特性を持ち,イオン液体は工業・電気化学・生化学など種々の分野で注目を集めている。さらに,イオン液体はその構成イオンを変えることにより,無限に異なるイオン液体を作り出すことができるという「デザイン可能性」を持つ。デザイナー液体としても期待を寄せられるイオン液体について,これまで実験的な溶液物性の調査が精力的に推進されてきた。一方,その理論的調査は未だ発展途上な状態にあり,実験に先立つ溶液物性の理論的設計のレベルには至っていない。本研究ではイオン液体の熱力学的物性を,申請者らが研究開発を推進している有効フラグメントポテンシャル-分子動力学法(EFP-MD)を基盤に,第一原理的なイオン液体物性の理論設計スキームの開発に取り組む。 
組織名 : 国立がん研究センター研究所
申請課題名 薬剤耐性に関わる分子機構解明のためのシミュレーション解析
利用課題概要  申請者の研究室では、がんの遺伝子異常に基づく個別化治療の進展に取り組んでいる。遺伝子変異に基づく、キナーゼの薬剤感受性の差に関して、動的構造の分子機構は依然多くが不明である。キナーゼと薬剤との相互作用が動的構造に与える影響を解析することにより、薬剤感受性の差における分子機構が明らかになることが期待され、薬剤感受性を改善させる知見を得ることができる。本申請では、キナーゼに着目し、複数の薬剤との相互作用を分子動力学シミュレーションにて解析を行う。 
組織名 : 情報通信研究機構ユニバーサルコミュニケーション研究所
申請課題名 HPC を利用した自然言語処理技術の研究
利用課題概要  情報通信研究機構 ユニバーサルコミュニケーション研究所 データ駆動知能システム研究センターでは、Web等に存在する大量のテキストを深く意味的に分析し、情報の価値ある組み合わせや価値ある仮説を柔軟な入力を元に提示できる技術を開発している。一見かけ離れた情報間の予想もしなかった繋がりが非常に重大な帰結をもたらす事例があるなかで、情報間の組み合わせをユーザーに分かりやすい形で入手可能にすることを目指す。具体的には、文の同義性やテキストに書かれた因果関係などの事象間の意味的関係を元に、ユーザーの多様なニーズに応えられる情報やその組み合わせ、あるいは仮説を、Web等に存在する膨大な情報源をもとに生成する技術である。こうした技術の開発には先進的な言語処理技術と膨大な言語資源が必要となるほか、近年では深層学習ベースの言語処理技術が急速に進歩・複雑化しており、その研究開発には多数のGPUが不可欠である。本課題では、TSUBAME 2.5が持つGPUを最大限活用して自然言語向けニューラルネットワークの研究開発を加速するとともに、GPU並列化による深層学習ベース言語処理の高速化のための基盤技術開発に取り組む。 
組織名 : 清水建設株式会社技術研究所
申請課題名 気候変動を考慮した気象モデル解析システムの構築
利用課題概要   異常高温,集中豪雨,大型台風などの極端な気象現象による人的,経済的ロスは極めて大きい.近年の気候変動として地球温暖化の影響で一部の地域ではその気象現象の強度はすでに増加傾向にあり,今後も世界規模でさらに増えていく.特に,2080年頃になると「スーパー台風」の強度を保ったまま日本に接近する台風が発生し,そのなかにはこれまで経験したことのない台風が上陸する可能性がある.これらにより既存のライフラインやインフラを破壊して,都市機能を停止させる等,甚大な被害をもたらす恐れがある.最大限の緩和策でも完全に避けられない事象である.日本政府では,昨年末に「気候変動の影響への適応策」に関して既に適応計画策定検討を着手し始めた.建設分野では,その気候変動を考慮する必要があり,適用策などの提案は喫緊の課題である.本利用課題は,気候変動データを導入して,TSUBAMEスパコンで構築された気象解析モデルとの連携解析システムの構築を行っており,過去に自然災害を引き起こした気象現象の再現によりそれらに対する要因分析を行うことで,将来の気候変動により発生する極端気象現象や施設に影響する外力等の変化を評価する.気候変動がもたらす建設分野への影響を検討するものである. 
組織名 : スタッフ株式会社
申請課題名 大容量データ伝送用ミリ波アンテナのレドームに関する基礎検討
利用課題概要   近年モバイル端末の普及、およびコンテンツ情報量の増大に伴い、通信ネットワークトラフィックが爆発的に増大しているなか、ミリ波帯を使用した大容量のデータ伝送が可能な無線装置が注目されている。
使用されるアンテナにおいては、通信距離の確保、通信の安定化などを実現する為に、アンテナに求められる性能は極めて高く、また屋外で使用するため、気象の悪条件も考慮したものが必要となる。
本課題では、気象の悪条件からアンテナを保護する役割をもつレドームに注目、ミリ波帯におけるレドームの影響を電磁界解析で明らかにする。
特に検討アンテナとレドームの位置関係によるアンテナ利得、指向性の変化について検証を行う。 
組織名 : マツダ株式会社
申請課題名 GPUマルチノードを活用した大規模電波伝搬のFDTD法による再現
利用課題概要   自動車同士でお互いの位置や状態を無線通信にて交換し合うことで、ドライバからは確認しづらい交差点での接近する車両の存在をシステムで検知し注意喚起する協調型安全運転支援システムの実用化が始まっている。一方、道路交通環境では、無線通信電波は建物や道路上の車両などにより複雑な干渉が起こり、受信特性は大きく変動する。場合によっては、データ復元に最低限確保すべきPER(パケットエラー率)を越えて、安全運転支援サービスを提供できなくなる事態も起こりうる。環境変化に対してロバスト性が高いシステムを実現するには、現実の道路交通環境下の電波伝搬特性を精度高く把握し、システム設計に反映することが重要となる。
当社では、この道路交通環境に特有な電波伝搬特性を正確に把握するために、電磁波の支配原理からその振る舞いを計算するFDTD法を、従来の計算環境では困難であった、数百メートル規模での電波伝搬現象の再現に適用可能とするため、GPU基本プログラムの開発検証を進めてきた。本課題では、このGPU基本プログラムをGPU-MPI並列システムに拡張することで、大規模領域の高速計算を可能とし、道路交通環境に特有な伝搬特性解明を加速する。 
組織名 : 新日鉄住金化学株式会社
申請課題名 エポキシ樹脂の分子動力学シミュレーション
利用課題概要   エポキシ樹脂は、エポキシ基で架橋ネットワークが形成された熱硬化性樹脂である。そのため、溶媒に溶かした分析などの通常の分析が困難であり、樹脂中のネットワーク構造が明らかになっていない。本課題では、分子動力学シミュレーションを大規模に用いることで、大規模なエポキシ樹脂構造を作成し、得られた構造を解析すると共に、物性値と比較して構造物性相関を調べることを目的とする。 
組織名 : 太陽ホールディングス株式会社
申請課題名 有機色素の光吸収特性予測を目指したTD-DFTによる励起状態計算
利用課題概要   新規有機色素の開発は、その吸収スペクトルが色素を合成、単離した後に初めて確認可能となることから、狙い通りの吸収スペクトルを有する化合物の設計には、大きな労力と時間が必要であった。本課題では、Gaussian09を用いたTD-DFT計算により、種々の有機色素の吸収特性を精度よく再現できる計算条件を明らかとすることを目的とする。 
組織名 : 株式会社パナソニックシステムネットワークス開発研究所
申請課題名 ワイヤレス電力伝送による漏えい電波の環境解析技術の研究開発
利用課題概要   近年、電波の利用方法としては、通信だけではなく、電力伝送技術が注目されている。2015年以降の実用化が予定されているワイヤレス電力伝送(以下「WPT」)システムとして、数kW伝送の電気自動車の充電用途のものや、数100百W伝送の家電機器への給電用途のものなど、多種多様な方式開発が進められている。このようにWPTシステムの使用範囲は住宅内に限らず屋外の駐車場も含めた広い空間が想定されている。本環境でWPTシステムを実現するには、WPTシステムから発生する漏えい電波が、近接する機器に与える影響を分析することが必須であるが、数十kHz~数GHzの周波数領域における漏えい電波の強度分布をシミュレーションにより評価する技術の確立が必要である。 そこで、本研究開発では、WPT システムをはじめとする各種電子機器などが密集して設置された環境における漏えい電波の発生源および設置環境をモデル化して、戸建て住宅や近隣住宅を含む大規模な空間における漏えい電波の分布状況を計算機シミュレーションにより解析する。 
組織名 : 関西電力株式会社技術研究所
申請課題名 第一原理分子動力学計算による鉛蓄電池の電極の劣化に関する研究
利用課題概要   電力・通信設備の無停電電源装置として,数多く使用されている鉛蓄電池の劣化指標を知ることは,電池の保守の観点から非常に重要である。しかしながら,我々の知る限り鉛蓄電池の劣化に関して原子・分子レベルで解明した研究はない。そこで,第一原理分子動力学(Ab initio
molecular dynamics: AIMD)計算を用いて,電極表面と電解液の相互作用を調べ,劣化の機構を明らかにする。鉛蓄電池にはさまざまな劣化機構が存在する。本研究では負極サルフェーションについて調べる。 
組織名 : 株式会社デンソーアイティーラボラトリ
申請課題名 大規模画像データセットの深層学習のスケーラビリティ評価
利用課題概要   当社では、平成26年度の産業利用トライアルユースを通じて、大規模画像データの深層学習の分散処理技術の開発に取り組んだ。このたび、改良した学習ソフトウエアの評価の目的で、大規模な計算リソースを用いた分散処理を実施する。特に大規模な並列数における学習速度を評価する。 
組織名 : 情報通信研究機構
申請課題名 TSUBAME2.5利用による大規模なホログラム計算
利用課題概要   光の情報を任意に再現できるホログラフィは,次世代の立体映像表示技術や光学素子としての応用が期待されている.一方で,再生・記録時に必要なホログラムデータを計算する際は,光の波長オーダーでサンプリングされた情報を扱うことから,データ量・計算量が膨大となり,一般的な計算機を使用した場合はホログラムのサイズやクオリティが大きく制限される。本利用課題では、TSUBAME2.5の高い並列処理能力と潤沢なメモリ資源を有効に活用することで、ホログラム計算時に生じる制約を打開し,大規模な光の波面伝搬計算およびホログラムデータの生成を実現する。生成されたデータは数値シミュレーション又は当機構が開発した電子ホログラフィ装置を介して妥当性を評価する。 
組織名 :理化学研究所計算科学研究機構
申請課題名 PCクラスタにおける並列入出力の高速化に関する研究
利用課題概要   並列ファイルシステムであるLustreを用いたPCクラスタにおける大規模並列入出力のさらなる高速化を目指すために、MPI-IO実装であるROMIOにおける最適化の実装と検証を進めている。特に集団型I/Oと呼ばれる入出力パターンにおける最適化であるTwo-Phase I/Oの実装に関して、Lustre向けに最適化された実装を目指しており、近年のCPUのコア数増加やノード内に複数のCPUソケットが配置されていることに伴う局所性に対応した高速化実装の検証を中心に行っている。本申請においては、ノード間・ノード内の構成やMPIプロセス配置を考慮したスケーラブルな入出力を実現する実装を開発する。これにより、並列入出力の処理効率を高めることが可能になり、大規模データの入出力を必要とする計算アプリケーションでのスケーラビリティ向上にも繋がることが期待できる。 
組織名 : 日本原子力研究開発機構
申請課題名 GPGPUにおける核融合プラズマコードの性能評価
利用課題概要  本課題はエクサスケール計算を見据えた第一原理的核融合プラズマ乱流コードの計算手法開発を目的として、GPGPUにおける主要計算カーネルの性能評価を実施する。エクサスケール計算機においては、従来のCPUと異なるメニーコアアーキテクチャを持つプロセッサでの計算能力が重要になる。有力視されるアーキテクチャとしてGPUやMICを始めとする並列プロセッサが挙げられるが、これらのデバイスで性能を発揮する数値スキームはCPU上で有力な数値スキームとは異なる可能性がある。本課題では、異なる三つの第一原理核融合プラズマ乱流コードの主要演算カーネルの比較を通じて、GPU上で計算能力を発揮する数値スキームの適性を明らかにし、エクサスケール計算のための計算手法開発を行う上で必要となる知見を獲得する。 
組織名 : 法政大学 情報科学部
申請課題名 LRnLAアルゴリズムを用いたFDTD法による電磁場伝搬解析
利用課題概要  電磁場伝搬のシミュレーションは光学系の設計に有益である。本課題はマルチスケールFDTD問題を解決するための効率的な並列アルゴリズムの実装と検証である。電磁場伝搬問題の数値解法においてFDTD方法はもっとも簡単で直接的な方法の一つである。ただし,非常に多い格子点が必要となるので、大きな計算コストがかかる。解析領域のデータが大きくなるので、データアクセス時間が問題となり、並列化の際データ通信は計算より長い時間がかかる。LRnLA (Locally Recursive non-Locally Asynchronous) アルゴリズムは 空間積分と時間発展を部分的に同時に行うことを特徴としている.具体的にはシミュレーションにおける空間積分と時間発展の依存性をグラフの分析から最適な計算順序を求めている。これによりデータ通信と計算性能の不均衡に柔軟に対応できる。我々はMany-GPUの環境に最適なLRnLAアルゴリズムを実装したFDTDコードを更にTSUBAMEで最適化し、そのパーフォマンスを評価する予定である。 
組織名 : 早稲田大学理工学研究所
申請課題名 量子化学計算による酸化物担持金属クラスター系における触媒反応の検討
利用課題概要  本課題は、大規模系に適した量子化学計算法を利用することにより、金属クラスターと酸化物からなる「酸化物担持金属触媒」の理論計算を行う。本課題でターゲットとしているのは、自動車触媒等におけるCO酸化反応、CHx酸化反応、NOx還元反応の金属種・金属サイズおよび担体依存性を主に検討することである。計算手法・プログラムとしては、Gauss基底と平面波基底を効率的に混合した手法を用いるCP2Kをメインに利用する。CP2Kプログラムは並列化効率が高く、またGPUの利用も可能であるためTSUBAMEでの大規模計算に適しているものと考えられる。 
組織名 : 防災科学技術研究所
申請課題名 GPGPUによる長周期地震動シミュレーション
利用課題概要  本課題では、相模トラフ沿いの海溝型巨大地震を対象として、3次元差分法を用いた大規模地震波伝播シミュレーションにより長周期地震動のハザード評価を行う。具体的には、震源モデルの不確実性を考慮して500ケース程度の震源モデルを設定し、関東地域を対象に構築されている詳細な地下構造モデルを用い、申請者らがTSUBAMEのGPU環境に対応させた地震動シミュレータGMSを利用して多数回の地震波伝播シミュレーションを実施し、それらの結果をもとにばらつきを含んだ長周期地震動の予測を行う。 
組織名 : 理化学研究所計算科学研究機構
申請課題名 Lustreにおける並列入出力の高速化に関する研究
利用課題概要  メニーコア混在型並列計算機用基盤システムソフトウェアの研究の一つとして、MPI-IO実装であるROMIOにおける高速化を目指した最適化の実装と検証を進めている。特に集団型I/Oと呼ばれる入出力パターンにおける最適化であるTwo-Phase I/Oの実装に関して、Lustreのような並列ファイルシステムを用いた大規模環境向けに最適化された実装を目指している。近年のCPUのコア数増加やノード内に複数のCPUソケットが配置されていることに伴い、Two-Phase I/Oにおいてファイルアクセスを行うプロセス(アグリゲータ)へのデータ収集がプロセス数の増加に伴い、性能低下を招く大きなボトルネックになっている。本申請においては、ノード間・ノード内の構成やMPIプロセス配置を考慮した効率的なデータ収集機構を開発する。これにより、ROMIOを用いた並列入出力の処理効率を高めることが可能になり、大規模データの入出力を必要とする計算アプリケーションでのスケーラビリティ向上にも繋がることが期待できる。 
組織名 : 理化学研究所計算科学研究機構
申請課題名 スペアノードを用いた実行継続手法の通信性能評価
利用課題概要  エクサスケールでは構成するハードウェアの大規模化に伴い、耐故障性をいかに確保するかが重要な課題となっている。現在広く用いられているシステムレベルでのチェックポイント・リスタートによる耐故障手法は、データ量が増大するためにエクサ規模では破綻すると言われている。この問題を解決すべく、注目を集めているのがアプリケーションレベルでの故障対策である。故障時の対応をシステムではなくアプリケーションで行うことで、より柔軟かつ効率的な耐故障手法が実現可能になるが、どのように実行を継続することが効果的であるか、現状ではあまり研究がなされていない。本課題では、我々が検討と評価を進めているスペアノードを用いた実行継続手法について、その評価を行う。スペアノードを用いた実行継続では、アプリケーションプログラムへの大きな変更無しにロードバランスを維持した実行継続が可能な一方、スペアノードを利用することで通信性能が低下することを確認している。そこで、TSUBAMEの持つFat Treeネットワークトポロジ環境において、スペアノードを用いた実行継続による通信性能への影響について評価を行う。 
組織名 : 東京都立産業技術研究センター
申請課題名 GPU 上での離散イベントシミュレーション実行に向けた基礎的検討
利用課題概要  本課題では,GPGPU 等を用いた並列計算機において,離散イベントシミュレーション(DES)を実行する手法について研究と開発を行う.近年,GPGPU を用いた連続系シミュレーションの高速化は広く取り組まれているが,DES の並列化を試みた事例は報告が少ない.DES の応用は待ち行列やネットワーク,論理回路シミュレーションなど幅広く,これらの分野でも並列化による性能の向上が強く求められている.本課題では,楽観的手法によってGPGPU を用いたDES の性能向上を図る.また,多数の計算ノードを用いた大規模シミュレーションでは,これらのノード間で同期を行いながら処理を進める.このため,一部のノードの故障や通信遅延によって,シミュレーションの進行が停滞する可能性を考慮しなければならない.このような耐故障技術を確立するための基礎的な検討を行う. 
組織名 : 大阪府立大学
申請課題名 多孔体界面乱流の直接数値計算
利用課題概要   多孔体は,医療,環境工学のみならず,工業製品においては燃料電池内のガス拡散層,熱交換器,触媒装置などで見られる.したがって,多孔体内外の流動現象を理解することは,これら工業製品の設計において重要である.しかし,多孔体内外の乱流現象は,多孔体構造の影響を強く受け,複雑な流動となる,とりわけ,多孔体壁表層の乱流現象は,滑面での現象と大きく異なることが報告されている.しかし,微細な構造をもつ多孔体内部は実験的計測が難しく,多孔体表層の乱流生成・輸送現象の詳細なメカニズムは未だ分かっていない.そこで,格子ボルツマンを用いて,チャネルの下面に多孔体を敷き詰めた,多孔体チャネル乱流の直接数値計算を行う. H26年度は,多孔体界面近傍の渦構造,大規模な圧力変動を伴う乱流現象について調べ,さらに,乱流方程式の収支解析から乱流輸送メカニズムの理解を進めた.そこで,H27年度は大規模な乱流現象のモードについてより詳細に調べる.また,これらの現象のモデル化のために必要な体積・レイノルズ方程式の収支について調べることを目標とし,多孔体構造を変えたケースについて計算を行う. 
組織名 : 京都工芸繊維大学
申請課題名 超大規模フェーズフィールドGPU計算によるデンドライト競合成長メカニズムの解明Ⅱ
利用課題概要   本研究課題は,科学研究費助成事業(基盤研究(B))「超大規模フェーズフィールドGPU計算によるデンドライト競合成長メカニズムの解明」(平成25~27年度)の下で行われるものである.材料強度を支配する材料組織は,凝固プロセスにおけるデンドライトの成長によって創生される.しかしながら,デンドライト凝固組織の3次元構造形成メカニズムは,実験観察の困難さもあり未だに解明されていない.本研究では,フェーズフィールド法によるGPUスパコンを用いた超大規模計算法を構築し,二元合金の一方向凝固計算を体系的に行うことで,3次元デンドライト競合成長メカニズムを世界で初めて解明する.本年度は,昨年度構築したコードを用いた一方向凝固過程における3次元競合成長シミュレーションを行い,3次元状態における新しい淘汰現象の解明を図る.また,二元合金凝固の定量的シングルフェーズフィールドモデルと格子ボルツマン法を用いた対流内でのデンドライト凝固モデルを構築し,強制対流および自然対流がデンドライト形態に及ぼす影響を評価可能とする大規模シミュレーションコードを作成する. 
組織名 : 首都大学東京 理工学研究科
申請課題名 TSUBAME2 GPU によるスピン系のクラスターアルゴリズム・モンテカルロシミュレーション
利用課題概要   本研究では、格子スピン系に対し、複数のGPUを使った大規模なクラスターアルゴリズム・モンテカルロシミュレーションの開発を行う。多体系の物理的性質の研究法としてモンテカルロ法が標準的な手法として広く用いられているが、シングルスピンフリップ法には転移温度付近で緩和時間が急激に大きくなるなどの問題があり、解消する手法としてクラスターアルゴリズムが提唱されている。近年、GPUを用いた計算の高速化が研究され、シングルスピンフリップ法に関しては、数十倍の加速が報告されているが、クラスターアルゴリズムへのGPUの利用は始まったばかりである。申請者のグループは、1個のGPUを用いたクラスターアルゴリズムの効率的な計算方法を開発し、ライブラリーとして公開している[ http://cpc.cs.qub.ac.uk/summaries/AERM_v1_0.html ]。さらに、TSUBAME2システムを利用して、MPI並列により複数のGPUの計算に拡張することに成功した。これらの計算については、TSUBAME ESJ Vol.7 に解説記事を掲載しているが、今年度は多くの問題に応用していく。 
組織名 : 理化学研究所生命システム研究センター
申請課題名 GPUによる高速化を利用した計算分子設計
利用課題概要   近年では標的タンパク質に強く結合する ”低分子化合物” を設計する技術として計算機を利用する分子設計技術が広く用いられている。しかし、ペプチドなどの ”非” 低分子化合物を対象とした分子設計にこれらの技術をそのまま適用することは難しい。 本課題では、低分子化合物より大きな分子群を対象とした分子設計技術の開発を目指す。このような分子群はより大きな分子内自由度を持つため、莫大な計算処理能力が必要となる。また物性の面でも異なるため、より複雑な評価関数が必要となり、これも大きな計算処理能力を要求する。そこで我々はGPUが持つ計算処理能力を利用して問題の解決にあたる。GPU を利用するプログラム開発や、実際のタンパク質を対象としたスクリーニングテストを実行し、低分子化合物より大きな分子群を対象とした計算分子設計技術の確立を目指す。 
組織名 : 理化学研究所計算科学研究機構
申請課題名 GPU を用いた気象・気候アプリケーションライブラリの開発
利用課題概要   ポストペタスケールにおける気象・気候シミュレーションにおいて、ヘテロジーニアスな構成の並列計算機の性能を引き出し、有効活用することが命題になっている。一般的に気象シミュレーションのコードは用いる変数の数、データ量共に多く、かつアルゴリズムの要求B/F 比が高いという特徴を持っている。またプログラム規模が大きく書き換えには困難を伴う。少ない工数でGPU の利用を加速するOpenACC プログラミングモデルは、これらの問題を総合的に解決すると期待される。本研究では全球雲解像度モデルNICAM および高解像度LES モデルSCALE を対象とし、OpenACC を用いたGPU 最適化コードの実装を行い、GPU を用いた大規模並列計算の評価を行う。同時に、GPU 利用に適したアプリケーションフレームワークの検討と改良を行う。 
組織名 : 桐蔭横浜大学
申請課題名 ATP加水分解によって惹き起こされるミオシン分子モーターの偏った揺らぎ運動に関する分子動力学シミュレーション
利用課題概要   筋肉の収縮を蛍光顕微鏡で観ると、ミオシン繊維とアクチン繊維が入れ子構造をなしていて、ミオシン分子の頭部に取り込まれたアデノシン三リン酸(ATP)の加水分解がトリガーとなって、ミオシンがランダムな熱運動をしながらもアクチンを一方向に動かすことが分かっているが、ランダムな熱運動がどうやって方向性のある運動を生じさせるのかは明らかでない。われわれは先に、TSUBAME 2.0 を利用して、ミオシン頭部のATP ポケット周辺の原子にATP の加水分解で放出されるエネルギーを運動エネルギーとして配分することにより、ミオシン頭部全体の揺らぎ運動がどう変調されるか、100 ns の分子動力学シミュレーションを行った結果、ミオシン頭部は頸部との接合部を蝶番とするランダムな首ふり運動をするが、それが特に300 K の場合にはATP の摂動によって一方向に偏る傾向があるという結果を得た。ただ、対象としたホタテガイのミオシン分子構造(PDB:1kk7)の欠損部分を補綴する段階で、主鎖の一部が元々の構造と若干異なる構造となってしまったので、公開論文をまとめるに当たって、修正した初期構造からのシミュレーションを再度行い、完璧を期したいと考えている。 
会社名 : 杏林大学 保健学部
申請課題名 食品に含まれる抗酸化物質を対象とした多配座解析
利用課題概要   生体内において、抗酸化物質による抗酸化作用が健康に寄与しているといわれている。そこで食品に含まれる抗酸化物質の抗酸化プロセスを解明することで、これらのより効果的な摂取方法や食品加工方法等について新たな知見が得られると考えている。 本研究では量子化学計算を用いて、食品由来の抗酸化物質の構造について配座異性体も含めて明らかにし、抗酸化プロセスについて検討する。計算実験において、より精度の高い計算結果を得るためには、精度の高いモデルを用いる必要があるため、これらのモデルを用いた計算は指数関数的に計算コストが増大する。そこで、TSUBAMEの高度な計算資源を利用して精度の高い計算結果に基づいた検討を行いたい。 
組織名 : 理化学研究所計算科学研究機構
申請課題名 高性能・高生産性を達成する垂直統合型アプリケーションフレームワーク
利用課題概要   ポストペタスケールに向けた最重要課題である「並列性の克服」、「信頼性」、「低消費電力化」の解決に大きく貢献する高生産性垂直統合型ソフトウェアスタックの研究開発を行う。これはスケーラブルマルチスレッドランタイムを基盤としたドメイン特化型アプリケーションフレームワークであり、自動並列化、自動チューニング、耐故障性、電力最適化等の各種技術を透過的に内包する。我々は提案ソフトウェアスタック構成法を流体シミュレーション(CFD)および分子動力学法(MD)を対象として設計し、それらを最新の大規模ヘテロジニアススーパーコンピュータであるTSUBAME2を基盤として設計開発する。 
組織名 : 独立行政法人海洋研究開発機構
申請課題名 福島原発事故由来の硫黄放射性同位体モデルを用いた硫酸塩エアロゾルの動態の解明
利用課題概要   平成25-26年度(2013-2014年度) 新学術領域研究(研究領域提案型)公募研究の研究課題「福島原発事故由来の硫黄放射性同位体モデルを用いた硫酸塩エアロゾルの動態の解明」の一環として、TSUBAMEを用いて、硫黄放射性同位体(35S)の循環を導入した全球・領域3 次元大気輸送モデルを開発し、福島原発事故により放出された放射性セシウムの輸送媒体としての硫酸塩エアロゾルの動態の解明を行う。 
組織名 : 東京大学 情報理工学系研究科
申請課題名 ポストペタ時代の大規模並列数値計算のための技術開発
利用課題概要   TSUBAME, 京コンピュータなど,ペタフロップスを達成するスーパーコンピュータが登場して数年,エクサフロップス級計算機に向けてプロジェクトが進められている.エクサフロップス達成のためには100万コア以上の並列性が必要で,深いメモリ階層,ネットワーク遅延などの影響を緩和する手法が必要である.本研究ではこのような視点から,計算科学をターゲットとして次世代の超並列超高性能計算科学ソフトウェアの構成方式,アルゴリズム,実装技術を開発してゆく.本プロジェクトでは,ナノサイエンス,バイオインフォマティクス,コンピュータサイエンスの研究者の協力により,日本最大のGPU搭載スーパーコンピュータであるTSUBAMEを用いて,共同研究により次世代の計算機のためのアルゴリズム,並列化手法,最適化,プログラミングモデル,アプリケーションの確立に向けた研究を行う. 
組織名 : 九州大学 カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所
申請課題名 多層流LBMシミュレーションを用いたCO2トラッピングメカニズムの解明
利用課題概要   二酸化炭素の地中貯留(CCS)は、岩石の間隙にCO2を注入することで永久的に地下に閉じ込める技術で、大気中のCO2を近未来的に削減できる技術として注目されている。このプロジェクトにおいて、安全に、また効果的にCO2を地中貯留するためには、間隙内部のCO2の挙動を調べることが重要となる。
本研究では、格子ボルツマン法を用いて、界面張力や粘性等のパラメータを変更しながら、岩石孔内の水とCO2挙動を明らかにする。GPUを用いて計算領域のサイズアップを図り、これまでポアスケール(μmスケール)で行ってきた計算を、実験スケール(cmスケール)に拡張する。それにより、実験室で得られる結果と比較した議論が可能となる。また、実験データとの比較により、シミュレーション結果の検証を行う。今年度は、特に貯留層の条件を変えたシミュレーションの結果から、CO2 圧入に適した貯留層の条件と、CO2の圧入方法を明らかにすることを試みる。 
組織名 : 都城工業高等専門学校
申請課題名 超電導電力ケーブルの交流損失解析
利用課題概要   有限要素解析ソフトCOMSOLを使って超電導ケーブルの電磁界解析を行うことにより、交流損失の最小化設計を行う。REBCOケーブルは、1:1000~1:4000と高い縦横比を持つREBCOテープから構成されており、電磁界解析のための自由度が非常に高くなる。また、この超電導テープは複数本フォーマ上に螺旋状に配置され、4層の導電層と2層のシールド層からなる。各層のテープ巻付けピッチを変えることにより層電流を制御できるため、回路モデルにより層電流を求め、2次元有限要素解析により各層の交流損失を計算するという準3次元的な解析法により、交流損失を最小化する巻付けピッチの最適化を行なう。 
組織名 : 神奈川大学
申請課題名 ユーザ間対等受付制御における大規模数値計算
利用課題概要   本研究課題においては、様々な要求帯域を持つストリーミング環境において,ユーザ全員の満足度を向上させるための受付制御の実現を目的とする.全ユーザ満足度を向上させるために,基礎検討として,異なる要求帯域(広帯域フローと狭帯域フローの二種類に分類)に対し,収容時に同じ満足度を得る(対等)と仮定し,広帯域フローを1本収容しない事で,狭帯域フローを複数収容可能とする受付制御方式を提案している.具体的には,全ユーザ満足度の最大化と等価である,網内への広帯域及び狭帯域フロー両者をあわせた呼損となる確率(トータル呼損率)を最小にする受付制御方式を提案する.制御を実現させるためには,制御パラメータで取りうる閾値に対して最適な値を導出する必要がある.
この最適な閾値を導出するために,本研究課題においては、定常状態を仮定し待ち行列理論を用いて解析を行う.しかし,最適な閾値導出のための,定常状態における状態方程式の解を導出するためには,大規模な行列計算が必要となる.そこで,TSUBAMEを用いた大規模並列処理により、これまで実現不可能であったトラヒック規模を持つ際の,最適な閾値を導出する. 
組織名 : 慶應義塾大学
申請課題名 仮想GPUを用いた分子動力学シミュレーションコードの開発と評価
利用課題概要   前年度から継続して分子動力学シミュレーションの大規模並列計算において重要になる高速化・並列化に関する手法を提案し、以下のアプローチで性能評価と検討を行う。 昨年度開発を行った GPU 仮想化ミドルウェア DS-CUDA の機能と、GPU用の分子動力学シミュレーションコードを用いて、相転移現象の分子動力学シミュレーションを実施する。 本ミドルウェアは、単一計算ノード用に開発されたアプリケーションのソースコードを大規模分散コンピューティング環境でも利用可能にする機能を有し、分散コンピューティング環境でのプログラム開発を容易にする特徴をもつ。また、相転移現象のシミュレーションは大量のコンピュータリソースが必要であるシミュレーションとして知られており、GPU上の分子動力学シミュレーションを並列で実行しなければならない。そのため、DS-CUDAの機能が必要となってくる。 我々は、このシミュレーションを通じて、本ミドルウェアの大規模並列計算に対する有効性を検討する。これは、今後様々な分子動力学のアプリケーションソフトウェアが次世代超並列計算機で性能を発揮する上で重要な役割を果たすと考えられる。 
組織名 : 千葉工業大学
申請課題名 結晶構造中における有機蛍光色素の光物性
利用課題概要   有機蛍光分子は、鮮やかな発光性・多彩な色調可変性など、機能性色素としての優れた特性を持つため、エレクトロルミネッセンス素子・色素増感型太陽電池などの様々な用途が期待されている。このような分子を機能性材料として利用する場合、密に凝集させた固相状態としてデバイス化する必要がある。しかし、気相中や溶液中では強い発光性を持つ分子が、固相中では蛍光量子収率が著しく減少してしまうことも多々ある。また、結晶構造の違い(結晶多形)によって全く異なる発光効率・発色性・光感受性を示すことがあり、固体中における光物性の発現を予測できないことが問題であった。発光材料の光物性を意図的に制御して、用途に応じた機能性色素を自在に設計するためには、固相中における発光プロセスを詳細に解析するための新しい方法が不可欠である。そこで本研究では、結晶構造中における有機蛍光色素の光物性を理論的に予測するための方法を確立することを目指す。 
組織名 : 東京大学大学院情報理工学系研究科
申請課題名 高性能と高生産性を両立する並列分散ランタイムシステム
利用課題概要   分散メモリ並列計算機において現在主流のプログラミングモデルであるMPIは、並列アルゴリズムの開発に加えて、並列に実行可能な処理(タスク)と処理に必要なデータを適切な粒度に分割、各プロセッサに配置し、各プロセッサ間の通信処理を明示的に記述する必要がある。このような記述は、概して煩雑であり、並列プログラム開発の生産性を低下させる要因となっている。この問題に対して、当研究グループでは、大規模並列計算機上で、プロセッサへのタスク・データの配置を自動化するタスク並列処理系について研究・開発している。本利用課題では、提案するタスク並列処理系を構成する「軽量マルチスレッド機構」「大域アドレス空間機構」について、より高度なアルゴリズム・実装技術を研究・開発し、性能評価を実施する。 
組織名 : 東京大学 地震研究所
申請課題名 不均質地球構造における地震波・津波伝播シミュレーション
利用課題概要  マルチコア並列計算機での差分法に基づく動的固体力学計算のアプリケーションの大規模実用計算と有効性検証のために、3次元的に不均質な粘弾性構造中の地震波動伝播ならびに津波波動伝播の数値シミュレーションを実施する。陸海プレート境界地震や内陸活断層の地震に伴って放射される地震動が、不均質な地殻・上部マントルを伝播し、地殻表層部の軟弱な堆積層により強く増幅され、そして構造物に被害を引き起こす強震動が生成される一連の物理過程、また断層運動が海底を地殻変動によって動的に変動させ津波が生成・伝播し陸域に到達するまでの一連の過程運動方程式の大規模計算により理解する。 特に近い将来のヘテロジニアスな大規模計算機環境下での地震波動・津波波動伝播シミュレーションの実現を見据え、特にOpenACCを用いた既存シミュレーションコードのGPU対応版開発・チューニングおよびその性能評価を行う。 
組織名 : 大阪府立大学
申請課題名 分子動力学法によるナノ間隙内流動特性の解明
利用課題概要   近年カーボンナノチューブ内を流れるガスや水が高速に流れることが報告されるなど,マイクロ・ナノオーダーにおける流動特性の特異性が注目されている.そのような流れはガス交換膜のようなマイクロ多孔質にも現れさらには,MEMS/NEMSやバイオ,医療,宇宙といった様々な分野での応用が期待されている.しかし,そのような流れ場を実験的に解明するのは難しいため,分子動力学法(MD)による数値シミュレーションが有効な手段である.そこで本研究では分子動力学法を用いて,カーボンナノチューブ内やグラフェンチャネル内部の流動解析を行うことで,炭素の六員環構造を持った壁面近傍での基本的流動特性について詳細に調べる.また,GPUを用いることにより,従来のCPUのみの計算機ではできなかった大きな計算領域の解析を行う. 
組織名 : 理化学研究所計算科学研究機構
申請課題名 ミニアプリケーションの開発
利用課題概要   平成25年度に理化学研究所と東京工業大学とで「将来のHPCI システムのあり方の調査研究アプリケーション分野」を実施した。その調査研究成果の一環としてミニアプリ集Fiberの整備および公開を進めている。ミニアプリは次世代スーパーコンピュータの実現に向けたアプリケーションとアーキテクチャの相互理解の促進を目的とする簡略化されたアプリケーションであり、特定のアーキテクチャによらず様々なアーキテクチャでの動作検証および性能評価を必要とする。本課題はミニアプリ集Fiberの大規模IntelプロセッサクラスタおよびGPUアクセラレータへの対応、性能評価、動作検証を目的としている。特に通常の小規模ワークステーションとは異なり大規模な計算およびデータを用いた評価を実施する。 
組織名 : 大阪大学蛋白質研究所
申請課題名 転写サイクルを制御する蛋白質複合体ダイナミクスの解析
利用課題概要   DNA 上に記された遺伝情報を読み取る転写の過程は、開始・RNA 鎖の伸長・終結という転写サイクルと呼ばれる段階からなっており、多数の転写因子とそれらの間の相互作用によって精緻に制御されている。 近年、種々の転写因子やRNAポリメラーゼの立体構造がX線結晶解析によって明らかにされたが、それらの因子間の動的な相互作用については未知のことが多い。特に、リン酸化によるアロステリックな制御が与える構造と相互作用への影響や、古細菌のRNA ポリメラーゼの動的なドメイン間相互作用について、長時間の分子動力学シミュレーションを行って解析する。 
組織名 : 東京医科歯科大学 難治疾患研究所
申請課題名 タンパク複合体相互作用の計算
利用課題概要   タンパク複合体におけるタンパクとタンパクとの相互作用の計算シミュレーションは創薬過程における創薬ポイントの探索に重要な情報となる。分子動力学等を用いた計算において、タンパクとタンパクとの相互作用や、それによる構造変化を正確に推定するには比較的長時間でのシミュレーションが重要であり、そのために多くの計算リソースが必要である。本研究ではがん関連遺伝子の結晶構造情報を用いて、タンパク複合体内や化合物-タンパク間の相互作用、それによる構造・エネルギーの変化を分子動力学計算等のシミュレーションによって解析し生体活性のメカニズムを同定することが目的である。 
組織名 : 成蹊大学
申請課題名 高性能計算向け分散メモリ・ストレージ統合システムの研究
利用課題概要   現在、高性能計算において性能上大きなボトルネックになっているメモリアクセスについて、1 ノードの物理メモリサイズを超えるような大容量なデータに対しても高性能なアクセスを可能にするような記憶システムの構築を目的とする。各ノードにあるDRAM メモリ, SSD などを用い、複数ノードに分散した記憶資源を統合的に扱うためのソフトウエアシステムを設計、構築するための実装実験、性能評価を行う。特に記憶階層について着目し、各ノードの計算処理において、メモリアクセス局所性を生かすようなアルゴリズムを導入し、大規模サイズの問題に対して、多数ノードを用いて高速処理できるようにすることを目指す。応用分野は、当面、ステンシル計算、行列計算などの典型的な科学技術計算などとする。 
組織名 : 情報通信研究機構
申請課題名 GPUクラスタを利用した詳細人体モデルの大規模電磁界計算
利用課題概要   近年では,中間周波数帯(10kHz~10MHz)を利用した電子機器が増加しつつある。その電子機器の近傍にいる人体に対する電波の安全性を考えるとき,それらの電子機器から発する電波に対して,人体のどこにどれだけの電波エネルギーが吸収されているかを定量的に調べる必要がある。また中間周波数帯において,神経に対する刺激作用を防護するために,電波ばく露による人体内に誘発される内部誘導電界を評価する必要がある。そのために,詳細な人体モデルに対して,高速に吸収電力や人体内部誘導電界の解析を行い,ばく露評価を行う技術として,GPUを用いた詳細人体モデルの大規模電磁界解析を行う。本研究では,最小0.5mmの解像度を持つ詳細人体モデルを用いて,様々な電子機器から発する電波にさらされたときの吸収エネルギー分布を計算できるシミュレーション技術を確立する. 
組織名 : 東京大学工学系研究科
申請課題名 ナノ構造界面における熱輸送特性の分子シミュレーション
利用課題概要  本研究では固体-固体間と固体-液体間を含む系の熱輸送特性に関する数値計算を多角的に行うことを目的としている.特に,熱電変換や沸騰・凍結など界面の微視的な熱輸送物性が系全体の伝熱に大きく影響する現象を対象に,第一原理計算,分子動力学計算,格子動力学計算,モンテカルロ計算,連続体計算を適材適所に組み合わせながら,マルチスケール熱・物質輸送解析を実施する.固体-固体間界面では,近年熱電変換の分野で成功を収めているナノ構造体が母材に埋め込まれた系に対して,密度汎関数法と格子動力学法,分子動力学法を用いて,界面フォノンモード解析を行う.これにより得られる界面フォノン透過関数を入力としたモンテカルロ計算を実施し,ナノ構造化バルク熱電変換材料の熱伝導特性を評価する.次に固体-液体間界面では,沸騰初期における気泡核生成メカニズムの解明に向けて,表面粗さや濡れ性などの表面物性が気泡核生成に与える影響を分子動力学法を用いて評価する.さらに,分子動力学計算結果をフェーズ・フィールド法に組み込み,沸騰のシミュレーションを行うことで,ナノ構造界面における熱輸送特性がマクロな沸騰現象に与える影響を検証する. 
組織名 : 高エネルギー加速器研究機構(KEK)
申請課題名 ヘテロ環境での大規模並列シミュレーションの研究
利用課題概要   大規模なシミュレーションを必要としている研究者にとって、プログラム開発環境と実行環境がシームレスであることが望ましいが、これまでは、自分の研究室のクラスターと大学などの機関にあるスーパーコンピュータを使い分けて研究を進めていた。シミュレーションに必要なデータが大規模であったり、利用環境のOSが異なるなど大きな障害となっている。このような不便を解消して、可能な限り、使える計算機資源を有効に連携して使う方法として、昨年度まで、行われたRENKEIプロジェクトの成果であるUniversal Grid User Interface(UGI)を使い、同プロジェクトで使われていたNAREGI環境を通して、Tsubame2の専用資源を利用して、放射線治療計画シミュレーションを行う。同シミュレーションは、放射線粒子が人体を通過するときの物理過程をモンテカルロ法で追跡し、人体の各部位での線量を計算する。計算に用いるプログラムは、Geant4と呼ばれ、原子レベルの物理過程を詳細に計算するため、膨大な計算時間が必要である。特に、新しい治療方法を開発する際には、詳細なシミュレーションが必要で、大規模なシミュレーションを効率よく実行できるユーザインターフェースも含めた環境を確立したい。 
組織名 : 京都大学
申請課題名 知識に基づく構造的言語処理の確立と知識インフラの構築
利用課題概要   テキストは、専門家によるデータの分析結果や解釈、ステークホルダーの批判・意見、種々の手続きや ノウハウなどが表出されたものであり、人間の知識表現の根幹である。テキストとして表現された知識を 計算機によって抽出・関連付けすることができれば、社会における知識循環を円滑化し、異なる分野間での知識の相互関連性の発見や、新しい知識・法則の発見を支援することが可能となる。言語情報処理はウェブをはじめとする大規模テキストの活用によって長足の進歩を遂げつつあるが、本利用課題ではこれをさらに発展させ、知識に基づく頑健で高精度な構造的言語処理を実現し、これによって様々なテキストの横断的な関連付け、検索、比較を可能とする知識インフラを構築する。 
組織名 : 量子化学研究協会研究所
申請課題名 並列計算機を利用したFC-LSE法による原子・分子のシュレーディンガー方程式の解
利用課題概要  シュレーディンガー方程式は、化学を始めとする物質科学における支配方程式であり、これを正確に解くことで様々な現象の量子レベルでの理解と予測が可能となる。我々はこれまでシュレーディンガー方程式をその方程式の本来の精度で解くための方法としてFree Complement Local Schrödinger equation (FC-LSE)法を開発してきた。
FC-LSE法のアルゴリズムは超並列計算に向いており、高い並列化効率が得られている。そこで本研究課題では昨年度に引き続き、これまでの計算機環境では現実的には求めることができなかった分子系に対し、TSUBAMEを用いてシュレーディンガー方程式を解き、一般の原子・分子の実際的な解法を確立したい。また、シュレーディンガー方程式の解(エネルギーと波動関数)だけではなく、そこから求められる諸所の物理量(Local Energy など)も計算したい。 
組織名 : 大阪大学蛋白質研究所
申請課題名 GPCR膜蛋白質の作動薬認識におけるダイナミクスの解析
利用課題概要  細胞膜上に存在するG蛋白質共役型受容体(GPCR: G-Protein Coupled Receptor)蛋白質は、細胞外のシグナル物質を認識し、作動薬の場合には細胞内での生体反応を促進する一方、阻害剤や逆作動薬では生体反応が抑制される。最近、種々のGPCRの結晶構造が明らかになるとともに、GPCRには活性型と不活性型とが存在し平衡状態にあることが判明したが、このダイナミクスの立体構造的な知見はほとんど得られていない。長時間の分子動力学シミュレーションを行うことにより、リガンド結合によっておこる活性型と不活性型の双方における構造のダイナミクスを調べる。 
組織名 : 名古屋工業大学
申請課題名 第一原理計算によるナトリウムイオン電池電極材料の相安定性
利用課題概要  リチウムイオン電池のコンセプトを引き継いだナトリウムイオン電池は、元素戦略の観点から大型電池用途に期待されている。しかし、研究開発期間が浅いことから、その電極反応に伴う材料の相安定性の詳細は不明な点が多い。 本研究では、ナトリウムイオン電池として有望な正極材料のうち、層状遷移金属酸化物材料(NaMO2)に着目し、密度汎関数に基づく高精度第一原理計算とモンテカルロ計算を組み合わせることで、電極反応過程における相安定性評価を行う。これにより、充放電反応に伴う結晶構造変化や電子構造変化を明らかにすることが可能になる。 
組織名 : 国立情報学研究所
申請課題名 マルチメディア内容解析に関する研究
利用課題概要  本研究では、映像等のマルチメディアコンテンツの主として視覚情報を解析し、その意味内容情報を自動抽出する手法について検討する。 
会社名 : 株式会社半導体理工学研究センター
申請課題名 大規模・大領域TCADへのHPC応用技術の開発
利用課題概要   本課題の対象とするIGBT(絶縁ゲート型バイポーラ・トランジスタ)はインバータ回路を構成する半導体素子である。本来IGBTは高い耐圧性能を有するが、ハイブリット車等の高性能化により、より高耐圧かつ低導通損失の性能が求められている。しかし高耐圧のIGBTの開発には、多大な開発コストが必要となるとともに製造工程における歩留まり向上が求められている。このためSTARCと産総研は、IGBT設計の高精度化のため、本課題で利用する半導体向けデバイス/プロセスシミュレータ(TCAプログラム)の解析コードを並列化することで、従来解析することが現実的には不可能だった数十万セルで構成されるIGBTを解析可能とすることに取組んでいる。 IGBTの解析は、1セル当たり約10万メッシュが必要であり、仮に1000セルの一括計算を想定すると、1000ノードでのMPI並列によるスーパーコンピューティングが必要となる。このため本課題では、TSUBAMEの計算資源を用い、大規模並列計算において高電圧印加時におけるIGBTの挙動シミュレーションを行い、実験との比較による有用性の基礎検証を行うものとする。 
会社名 : パナソニック株式会社 AVCネットワークス社
申請課題名 長距離海中ワイヤレス電力伝送の電磁界シミュレーション基礎検討
利用課題概要   日本近海の深海には豊富な鉱物資源が眠っている.これらの資源は,海洋資源のフロンティア開拓として期待される.海中で地形や熱水鉱床などを効率よく調査するため,海底を自走するロボット「Remotely Operated Vehicle (ROV:遠隔操作無人探査機)」,海中を自由に動く潜水艇型のロボット「Autonomous Underwater Vehicle(AUV:自立型無人探査機)」があるが,ケーブルで電力送るため広範囲な調査を行うことが難しい,バッテリーの容量が小さく半日程度の運用しかできない課題がある. ROVやAUVへワイヤレスで電力を供給しバッテリーレスで動作できれば24時間の運用も可能になり海底資源探査の効率は飛躍的に拡大する.また,バッテリーの小型化,軽量化,完全密閉構造も可能となり低コストかつ高信頼性の機材を作ることができ,海底資源の開発が飛躍的に進むことが期待できる. 本利用課題は,上記の基礎検討として,水中や海中で長距離にワイヤレスで電力を伝送する解析することである.電磁界シミュレータを用いて,水中,海中を媒質とした空間で,磁界共鳴方式と複数の無給電コイルによる長距離無線電力伝送の電磁界解析を実施する. 
会社名 : 清水建設株式会社
申請課題名 気象イベントを考慮した建築環境解析システムの高度化
利用課題概要   竜巻・突風などの気象イベントによる人的,経済的ロスは極めて大きい.特に,竜巻では建物や鉄道施設に甚大な被害が発生しており,内閣府の防災基本計画にも風水害に係る事象として竜巻などの突風が明記され,竜巻の発生予測は先端科学技術の開発として重点的に取り組まれている.また,米国で2011年に発生した竜巻は,多数の死傷者の発生に加えて原子力発電施設の稼働に影響を与えるなど,気象イベントは国際社会にも大きなインパクトを与えた.本利用課題は建築環境を対象にしてTSUBAMEスパコンで構築された気象解析モデルおよびそれとの広域建築環境との連携解析システムの構築を行っており,解析システムの高精度化などと既存の記録結果との比較によりこれらの気象ベントの特徴とその与える影響を調べ,局所的気象イベントを考慮した合理的な建築環境の構築を目指すものである. 
会社名 : 新日鐵住金株式会社
申請課題名 鋼中析出物の水素捕捉能の高精度計算
利用課題概要   鋼材の水素脆化に影響を及ぼす微細析出物の水素捕捉機構解明のためのシミュレーションを実施する。具体的には、NaCl型析出物のNbCについて、その部分整合界面での水素捕捉能を第一原理計算によって見積る。これまで整合界面での水素捕捉能については、弊社において調べられてきたが、部分整合界面の水素捕捉能については計算規模が大きく、弊社内の計算機では計算することができなかった。平成25年度の共同利用において、NaCl型析出物のNbCについて部分整合界面での水素捕捉能の計算を実施し、大まかな傾向の把握に成功した。更に、平成26年度の共同利用において、高精度計算のための計算条件の調査を実施した。それらの計算結果をベースに計算精度を向上させた計算を実施することを目的とする。 
会社名 : 武田薬品工業株式会社 医薬研究本部
申請課題名 拡張アンサンブルシミュレーションによるタンパク質とリガンドの結合構造予測の展開
利用課題概要  拡張アンサンブル分子シミュレーション法によりタンパク質とリガンドの結合構造、結合自由エネルギー、機能ダイナミクスを予測する手法の開発と検証をする。従来の手法では実験を置き換えるレベルに至っておらず、それを目指したシミュレーション手法のさらなる高精度化と検証が必要とされている。本年度は特に、これまでに開発した二次元レプリカ交換法の、1.初期配置の最適化、2.束縛条件の検討、3.膜タンパク質のためのプロトコルのさらなる改良、に取り組む。また、昨年度に引き続き、自由エネルギー計算との連携を強化して結合モード予測から結合自由エネルギー予測をスムーズに実施できるように検討する。さらにGPUを効率的に使用して、主成分解析などの手法を用いた機能性ダイナミクスの解析を実施する。 
会社名 : 太陽誘電株式会社
申請課題名 電子デバイス材料の計算機設計
利用課題概要   電子デバイスには様々な機能を有する材料が求められている。そこで用いられる固体無機材料はごくわずかな欠陥や不純物に起因する材料内部のナノレベルの構造変化によってその電子物性が大きく変化する事が知られており、また有機材料においてもデバイスに応じた原子レベルでの特性理解と分子構造設計が必要とされている。本利用課題では、実験のみのアプローチでは理解が困難なこれら原子レベルでの材料設計を計算機上で行い、その有効性を示す。 
会社名 : 株式会社JVCケンウッド
申請課題名 TSUBAME2.5利用による大規模な光の波面伝搬計算
利用課題概要   光の情報を忠実に再現できるホログラフィ技術は次世代の立体映像表示技術として期待されており、電子化による動画再生が可能なディスプレイの開発や静止画記録に関する研究が行われている。しかし一般的に光の波長オーダーでサンプリングされた情報を扱うことから、再生するための光の情報を計算する際にデータ量・計算量が膨大となり、映像のサイズやクオリティが大きく制限されている。本利用課題では、TSUBAME2.5の高い並列処理能力と潤沢なメモリ資源を有効に活用することで、大規模な光の波面伝搬計算およびホログラムデータの生成を実現する。生成されたデータは数値シミュレーション又は静止画のホログラム記録を介して妥当性を評価し、既存の制約を超えた立体映像表現を実現することを目的とする。 
会社名 : 株式会社構造計画研究所
申請課題名 三次元の広帯域地震動シミュレーションの実用化に向けた検討
利用課題概要  平成23年度の課題では3次元波動伝播プログラムをTSUBAMEに移植して最適化を行い、発生確率が高いと言われている東海・東南海・南海地震を対象とした大規模波動伝播シミュレーションを実施した。平成24年度は、強震動評価結果の工学的な妥当性、および耐震工学上重要な周期1秒以下の短周期地震動の計算精度の向上のための検討を行い、プログラムの実用化に向けた取り組み(平成25年度8月まで継続して行う計画)の一部を実施し、中間的な報告を行った。本課題では、引き続き実用化に向けた検討を実施する。 
会社名 : TOTO株式会社 技術開発センター
申請課題名 衛生陶器混相流シミュレーションの商品設計および販促への展開
利用課題概要  TOTOでは2017年環境ビジョン「TOTO GREEN CHALLENGE」を掲げ、全商品にわたる節水化およびそれに伴うCO2削減を強力に推進している。トイレ等の衛生陶器では、「GREENMAX」と銘打ち、「少ない水でもしっかり流す。」をコンセプトに商品を展開している。衛生陶器節水化の技術課題の一つとして、陶器表面に付着汚れを残さず洗い流すための効率的な流し方の確立が挙げられる。流体解析を用いることにより試作を繰り返すことなく様々な陶器形状や給水方法を事前検討できるが、陶器表面の薄膜の流れは気液二相流体解析では非常に細かいメッシュ分割および高精度な混相流計算手法が必要である。平成25年12月~平成26年3月の有償利用により、TSUBAME2.5においてあらゆる衛生陶器商品において薄膜陶器表面流れをシミュレートできるようになり、現在新商品設計等に活用している。次の課題として、洗浄時の陶器表面流れを含めた諸現象の評価検討を行うとともに、この技術を販売の第一線におけるお客様プレゼンツールとしても活用を検討する。 
会社名 : トヨタ自動車株式会社
申請課題名 塗工スラリーの分子シミュレーション
利用課題概要  スラリーの塗工は電池の電極作成などで広く行われている工業プロセスであり、微粒子・溶質・溶媒を基板の上に塗布した後に加熱して溶媒を蒸発させることで微粒子・溶質からなる多孔質体構造を得る。この工業プロセスを改善するためには、微粒子の表面改質や溶質・溶媒の分子構造の改良が重要であるが、現状は経験的・試行錯誤的なアプローチが一般的である。この問題に対し、本課題では、スラリーからの溶媒蒸発のシミュレーションを大規模な分子モデルにより実施し、溶媒・溶質分子種による形成構造の違いについて検討し、性能改善の指針を得ることを目的とする。 
会社名 : 株式会社パナソニックシステムネットワークス開発研究所
申請課題名 ワイヤレス電力伝送による漏えい電波の環境解析技術の研究開発
利用課題概要  近年、電波の利用方法としては、通信だけではなく、電力伝送技術が注目されている。2015年以降の実用化が予定されているワイヤレス電力伝送(WPT)システムとして、電気自動車用の大電力(数kW)を伝送するものや、家電機器用の中電力(数百W)を伝送するものなど、多種多様な方式開発が進められている。WPTシステムは、一般家庭や集合住宅への普及が見込まれており、使用範囲として住宅内に限らず屋外の駐車場も含めた広い空間が想定されている。そのような環境でWPTシステムを実現するには、WPTシステムから発生する漏えい電波が、近接する機器に与える影響を分析することが必須であるが、そのためには数十kHz~数GHzの周波数領域における漏えい電波の強度分布をシミュレーションにより評価する技術を確立する必要がある。そこで、本研究開発では、WPTシステムをはじめとする各種電子機器等が密集して設置された環境(住宅内等)における漏えい電波の発生源及び設置環境をモデル化して、漏えい電波の状況を分析できるシミュレーション技術を確立する。なお、本研究開発は、総務省委託研究開発「ワイヤレス電力伝送による漏えい電波の環境解析技術の研究開発」の一環として実施する。 
会社名 : スタッフ株式会社
申請課題名 大容量データ伝送用ミリ波アンテナのレドームに関する基礎検討
利用課題概要  近年モバイル端末の普及、およびコンテンツ情報量の増大に伴い、通信ネットワークトラフィックが爆発的に増大しているなか、ミリ波帯を使用した大容量のデータ伝送が可能な無線装置が注目されている。使用されるアンテナにおいては、通信距離の確保、通信の安定化などを実現する為に、アンテナに求められる性能は極めて高く、また屋外で使用するため、気象の悪条件も考慮したものが必要となる。本課題では、気象の悪条件からアンテナを保護する役割をもつレドームに注目、ミリ波帯におけるレドームの影響を電磁界解析で明らかにする。 特にレドームの比誘電率の違いによるアンテナ利得、指向性の変化について検証を行う。 
会社名 : 株式会社豊田中央研究所
申請課題名 Liイオン二次電池負極/被膜界面におけるLi 脱挿入過程に関するハイブリッド量子古典シミュレーション
利用課題概要   リチウム(Li)イオン二次電池では、電解質相を介して正極と負極の間でLi イオンが移動し、それに付随して種々の反応が進行することで充放電が行われる為、各反応過程の詳細を理解する必要がある。電極活物質や電解質材料に対しては実験・理論の両面からさまざまな解析が進められているが、電極界面反応はあまり明確にされていない。特に、負極界面には有機電解液の還元分解に伴って有機化合物と無機化合物から成る被膜(SEI)が形成されるため、負極/被膜界面反応のメカニズムを理解することは、高性能Li イオン二次電池の開発にとって重要となる。本利用課題では、負極/被膜界面におけるLi 移動と電気化学反応の詳細を、ハイブリッド量子古典法を用いて調べる。ハイブリッド量子古典シミュレーション法では、電子状態の変化が重要となる量子領域に密度汎関数法など高精度量子力学計算手法を適用し、量子領域を経験的相互作用モデルで表したシステム全体に埋め込んで計算を行う。従って大規模系の物質移動と化学反応の両方を取り扱うことができるため、界面におけるLi 移動反応を調べるのに適した手法である。 
会社名 : 株式会社風工学研究所
申請課題名 オープンソースコードによる風速の地形影響評価に関するLES
利用課題概要   地形の起伏がある場所に建築物を建てる場合には,建築基準法に基づき地形の影響による風の増速を評価する必要があるが,その評価手法や評価基準については明確な情報が示されていないのが現状である。近年,計算機資源が充実したことや数値流体解析技術が進歩したことにより,数値流体解析による風速の地形による影響評価が実施されるようになってきており,その実用化への期待が高まっている。本研究では,フリーソフトであるOpenFOAM を用いて変動成分まで予測可能なLES により,単純化した地形および複雑な起伏を有する実在地形を対象として変動成分まで含めた風速の予測を行う。LES は一般的に計算負荷がかなり高くなるが,TSUBAME2 の計算資源を利用することで大規模な並列化が可能となり,高解像度の解析格子を用いた解析が高速に実行されることが期待される。得られた解析結果を既往の風洞実験結果や観測結果と比較して計算精度の検証を行ったうえで,適切に解析を行うための解析モデルの作成方法や計算条件の整理を行い,適切な風速の地形影響評価のための解析を実施するための道筋を示すことを目的とする。 
会社名 : 住友化学株式会社先端材料探索研究所
申請課題名 理論計算に基づく有機半導体材料の開発
利用課題概要   理論計算に基づく新規有機半導体材料の設計・開発を目的とする。例えば、導電性高分子における伝導現象を理論的に解析し、実験結果と比較することによって、有用な知見を得、それを材料設計にフィードバックして開発を促進する。 

 

 

PageTop